背中の目

 純に対する矢晴(鬱)のフィルターが「出来た」のは、編集部で会って「純が四階をやりこめたのを見たから」というと、どうにも、「純の自業自得」みたいに思えちゃってちょっと異を唱えたい気にもなるのだけど。そんな自業自得だったら辛いわ。

もともと、うつ状態のなかで「誰も信用してない・信用できない」のが、純にも発動してるんだな、とは思う。

きっかけとして、矢晴フィルターが発動を始めたのは、【第3話】の『それ以上喋るな』あたりからかなーとは思うけど。いろいろ理由をつけて、「こいつは信用できない」って決めつけた感じ。

矢晴が見てない状態の純の顔が胡散臭い感じで表現されるのは【第4話】の『いっぱい食べさせたくなりましたよ』『夕食も奢らせてください』なんだけど。あと、矢晴の部屋を掃除して同居もちかけて『何様だよあんた!!』って矢晴に拒絶された後の『じゃあここで死ぬんですか?』『それはやだなあ…』『ファンとして…』かな。

『私があなたを助けたいのと』『私の漫画はなにか関係あるんですか?』はフィルターかかってなくて、『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』にはフィルターがかかってるようには思える。

で、特に問題の【第7話】は全面的に、矢晴フィルターかかってるよな……。怯えて部屋の隅に逃げてるし、再訪時には布団から出てないし。

寝込んで考え続けてる中で『呪いか?』『あいつはそれを分かってて言ってる』『私がそう思うだろうこともあいつは分かってる』で、どんどんフィルター強固にして。

で、『やっとこっち見てくれた』だけはフィルター解除されてるかなー? と思う。純の顔がやさしいから。ただちょっとつながりがわからないんだけど。蜘蛛を見て、『外のことを私に見せないでくれ』って考えてるところから、首筋に蜘蛛がいるところまでは矢晴フィルター発動中の合図には見える。

同居してからは、「矢晴が恐怖を感じているところ」の純には矢晴フィルターかかってると思う。【第9話】だと『もしかしてこれが…目的ですか?』からのシーン。

【第11話】の『矢晴さんはヒモの才能ありますよ』あたりからのシーンは、純の台詞からして矢晴フィルターで歪んでると思われ。純が背中側にいるから矢晴からはまったく顔が見えない。蜘蛛が登場してから蜘蛛が立ち去るまでの一連くらい、かな?

【第12話】は全体的にほんのり矢晴フィルター発動してる気がする。純がちょっと嫌な子だから(どういう理由だ)。

んー、とすると、えーっと、前に書いた蜘蛛で、どなたかが言っていた「蜘蛛は矢晴の幻覚と幻聴の産物」というのは当たってるのかな? 私には、メタ的に作者からの「ここからここまでは矢晴フィルター発動中ですよー」の合図かなーみたいには思えるんだけども。

とはいえ、【第13話】の分からの答え合わせというか、確認だと、【第10話】の前半部分、同居4日目まででいいわけだけども。

【第13話】でああ言われて……【第10話】での4日目の夜『夜の隅から魍魎のように湧いてでてくる』を考えると、純のあの言葉……全く届いてないんじゃ……? という気になるのだけど。

あと、「矢晴が純に背中を向けている・純から視線を外してる時」が矢晴フィルターのトリガーになるなら、【第10話】のラストページが、ちょっと納得いかんことになるんだけど……? んー……わかんねー。

 

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