言葉

 【第13話】で純が矢晴を形容して『思慮深いが故に 言葉に憑りつかれて言葉に苦しんで言葉を厭う人なのだろう』と語るのが、前々から思ってることではあるけども、純の言語センスが高度すぎるなと思う。

なんかこう、矢晴も言語センス高い方だと思うのだけど、純の方が言葉の選び方、使い方が、矢晴よりも詩的で上品で洗練されてる気がして。

もしかして、ここらへんが、矢晴が望海可純に対して抱いている劣等感みたいなところなのかしら? と思い始めた。

望海可純がデビューした時の漫画を読んで、そこに自分の理想とする言葉の使い方があったのだとしたら。

望海可純は古印葵の極力削った言葉のセンスと多くの言葉が凝縮されて込められた絵や画面に惹かれてるけど、古印葵は望海可純の言葉を尽くした表現に惹かれてるとしたら。

漫画としてのジャンルが恋愛ものと王道バトルで違うから比較されるようなものではないけども、矢晴自身が自分の漫画と理想の漫画として比較してしまうからA誌から離れたとしたら。

ただでさえ、漫画が読めなくなってきていた時期、B誌で自分の漫画はまったく採用されずもがいているところで、望海可純は連載を始めてて、自分の理想の言葉が並ぶ望海可純の漫画を読むことなんてできなくて『望海可純の連載は3話目から読んだ記憶がない』ということだったとしたら。

お互いが相手を理想としていて、望海可純は古印葵に近づきたい、古印葵は望海可純に劣等感を抱くから離れたい、みたいに思っているのだとしたら……。

と、考えてしまう。

小さくても賞をとって、これからというときに矢晴がA誌からB誌に移ってしまったのが謎なので、いろいろ理由を考えてしまう、そのうちのひとつの仮説だけども。

【第5話】の『もし私の漫画が嫌いだったら私が原因で来ないかもしれません』とか、【第4話】の『私は純さんの漫画読んでないです』『私はあなたに無関心です』『たぶんこれから先も望海可純先生の漫画は読まないです』とか。ちょっと気になるなーと。やっぱり矢晴は望海可純を意識してA誌から離れたのかしら?


A誌では短編しか描かせてもらえてないけど、賞とったとたんにB誌から「すぐにでも連載しませんか?」みたいに誘われてつい移っちゃっただけかもしれないけども。矢晴が雑誌移った理由ってこれから明かされたりするのかなー?


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