矢晴と古印葵

 純が好きなのは福田矢晴なのか、古印葵なのか。

純が最初に惚れたのは古印葵の漫画で。授賞式で生身の古印葵を見て、恋をしたと思っているんだけども。

古印葵に会いたくて、会える機会ができて、会うことができて。古印葵は福田矢晴だと知ったけど。

純の認識のなかでは、古印葵=福田矢晴になったかと思う。

矢晴は、古印葵という名前を捨てた、古印葵は死んだと思え、と言うけれど、純は『まだ古印葵は死んでない』と確信できて。

矢晴にとって古印葵は漫画家としての名前でしかなくて、別段古印葵という人格があるわけでもないのに、純にとって福田矢晴=古印葵だから、矢晴がなにをしてもなにを話しても「憧れの古印葵のすること、話すこと」になっちゃってるんだよなあ。

矢晴は上薗純に恋し始めてるけど、望海可純に恋してるわけじゃなくて。純は矢晴が古印葵だから好きで恋してて? 矢晴の笑顔とかかわいいって思ってるけど、「古印先生の笑顔かわいい」なのかもなあ、とは思えるし。

と、ずっと考えてても、やっぱり矢晴と純と古印葵の三角関係にしか思えず、純の好意を矢晴は素直に受け取ることが出来ないし、純自身も矢晴じゃなくて古印葵に向かってそうな雰囲気だし。

純は「古印葵を忘れない、覚えてる、守りたい」って気持ちからの行動だから「矢晴は古印葵じゃない」なんてことは絶対に言わないだろうし言えないだろうし。

1年後に矢晴は古印葵として復活を遂げるのは確定してるけど、矢晴が古印葵の名前も漫画も捨て去る方向に行った場合の純はどうなっちゃうんだろう……? とかも気になったりする。


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