古印葵に高まるオタク

 純は、それはそれは古印葵のことが好きで。

大学時代の旅行中に初めて古印葵の作品(春眠の底)に出会って、その場で10周するほど心鷲掴みにされていて。

そこから、おそらく毎回読み切りを読み、最初の単行本(終霜)を買い。

2冊めの単行本(Unexpected Encounter)を買い。古印葵と同じ雑誌でデビューしたいからと、月例賞に応募してデビューを勝ち取り。

アシスタント先の牧野先生に「古印葵が出る授賞式だから」と連れて行ってもらい、生身の古印葵を見て、(たぶん直接)サインをもらい(もらったんだよね…?)。

年が明けたら、A誌から古印葵が去ってしまい。古印葵の新作も出ない不遇の期間を過ごす。

自身の連載作で、古印葵への届くか届かないかわからないラブレター(返歌)を綴り。

3年後、A誌に古印葵が戻ってきたことを喜び。

しかし、連載作は古印葵の本来の良さがなく、休載延期を経ての4話で終了。布教活動に乗り出す。

が、布教はまったくうまくいかないし、古印葵の新作も出ない不遇の期間、再び。

1年後、編集部での話の流れで、古印葵に会えることになり。

会えた古印葵は、見る影もないほどやつれていて。

どうにか食い下がって親交を深めたく散歩、お茶、居酒屋と過ごし、古印葵の自宅へ。

古印葵の現在を知り、掃除して、同居を迫り、怯えられ。

同居にこぎつけ、療養をすすめつつ、それなりに穏やかな1ヶ月を過ごし、古印葵は死んでいないと実感し。

同居1ヶ月目の夜。古印葵の紡ぐ言葉と情動を目の当たりにして恍惚となる。


2冊めの単行本から4年以上が経過し、その間、良質な古印葵の新作を浴びれず、過去作だけで命をつないできた古印葵の熱烈なファン、信者、狂信者が、こんなふうに、真っ直ぐに目を見つめられ、息もかかるほどの間近で、古印葵の言葉のセンス、表現を五感で感じたら、昇天しちゃうわ。

1ヶ月の療養の甲斐もあり、ってくらいに元気になってきたようにも見えるし。

喜びに満ち溢れ、高まるオタクの上薗純、はーーー! かわええ!

ここで、福田矢晴=古印葵で完全一致になるのかどうか、矢晴は思いを遂げられるのか、気になるー!


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