亡くした

 【第12話】で純が矢晴の症状を多少なりわかろうとするために「脳内爆発症候群」の話をして、『矢晴が突然憂鬱になるのも脳のバグが原因だとしたら』『大事な人が死んだわけじゃなのに「大事な人が死んだ時くらいの悲しみ」だけが』『突然脳に降りかかってくる』『――ってことなのかな 合ってる?』と聞くところで、純が誰か大事な人を亡くしたのかな? 知らなきゃここで矢晴が「そうだ」って答えたとしてもわかんないよな、と思ってはいたけども。

純は小さい頃に大事な人=お父さんを亡くしていたのだな、と。

ここで矢晴が「そうだ」と答えていたら、純は父親を亡くした悲しみを想起して、ちょっとわかった気分になれたかもしれない。

結局、矢晴の場合は、『病気は一言で言い表せるものじゃないし』と、純にわかる内容にはならなかったけど。

…………「一言で言い表せるものじゃない」とか言ってる人があんな、あんな一言で純をまとめるなんて……と読み返して思った。

ここの病気の話は矢晴が長々と話してくれてるけども、【第15話】を読んでから読み返すと、こんなふうに名前と分類、名前がない場合その場に留まるしかない、病状は人それぞれ、とか話しておきながら、純にはあんなふうに名前をつけて前進させてしまって……矢晴よ……って気分になる。

ついでに話している時の心象風景とでもいえばいいのか、矢晴がどんどん藪のなかに進んでいって、次のページで龍の姿がバーンって感じで、……これは、藪蛇……? と思い、純は蛇なんかにはおさまらんかー、と思ったり。純の『ヘビを見るのと操るのとじゃ違うんでしょうね』で、「純を見るのと、純を操るのとじゃ違う」ってこと? と、かなりこじつけ気味に考えてしまう。


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