欲望の自覚
純自身は、【第11話】で矢晴にペンを持たせ漫画の話をすることを辛くないかと問い、『これが矢晴さんにとって社会復帰へのきっかけになるのか』『それともただの私の欲望なのか』『今の段階では判別がつかないんです』と、自身の欲望「古印葵の復活」に自覚的ではある。
「好きな人を助けたい」「好きな人を死なせたくない」という気持ちも欲望といえるかもしれない。
性欲は、本人の自覚では2次元にしか向いていない。馴れ馴れしいボディタッチも、3次元の肉体同士が触れ合うことに対しての性的な身体反応が起こらない故、ともいえる。
支配欲があるか、というと、矢晴がなにを根拠に「支配欲」というのかがよくわからないが、矢晴が現状、純に支配されているとする根拠としては「逃げられないように堕落させ」「赤の他人を家に住まわせ」「甘えさせ」「赤子のように世話をして」「何をしても怒らず親切にし」「なにもかもを肯定し」「思考を放棄」するように仕向けている、といった感じだろうか。
甘えさせる=思考を放棄するように仕向ける=逃げられないように堕落させる、と言った感じであろうが、これだけでは、意図的であるのかどうかすらわからない。ただ純が優しいだけに思えるし。ついでに、上に示したように、矢晴の社会復帰についても考えているようなので、どうにもそぐわない気がする。
ただ、この家に矢晴が住むことになった約束は、『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』であり、「死ぬまで純のそばにいることを約束させられている」とも言える。純にとっては「矢晴が死ぬまでそばにいて、決して孤独にはさせない」という決意や誓いでもあるかと思うのだけども、「約束」自体は出処が怪しい。
純自身は、古印葵である福田矢晴に、献身的に世話をすることに喜びを感じているかと思うが、純が献身的に世話をするためには、福田矢晴が世話を受けるためにこの家にいる必要がある、とするとそれは純が矢晴をこの家に縛り付け、逃げられないようにしてる、とも言える。
純としては、矢晴に来てもらった、住んでもらっている、という意識かもしれない。矢晴から見れば、純の家に監禁され、状況を疑問視したり逃げ出したりする思考力を奪われている、ということになるのかもしれない。
どう考えても、『逃したくない支配欲』には納得がいかないなあ……と思うのだけど。
純が矢晴に断言されたことで受け入れて、自身が矢晴を囲って世話をすることは支配欲からくることで、矢晴への気持ちは性欲なのだ、と自覚したとして、これから先のふたりの生活のなにがどう変わるんだろうか。案外なにも変わらないような気も……。
そもそも、矢晴の言う「性欲」がどのレベルなのかもわかんないなーって思ったりしている。たぶん、矢晴の「性欲」は「性交渉をする」くらいいくだろうけど、それを純が正しく受け取っているか謎い。
そして全然違う話だけども、今回の【第15話】のコメントを見に行ったついでに、他の話数のコメントも見ようと各話見てたら、一部の話数のキャプション欄がちょっと変わっていたことに気づいた。いつ変わったのかはわからないけども。ちょいちょいでコメント欄もメンテされているようだし、「漫画を描いて更新する」以外にもずいぶんと手間がかかっているようで、そんな手間があっても更新してくださることに、ありがたやありがたやと拝むことしか出来ない。五体投地。
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