今回をふまえて
続きが気になって気になって、また最初から読み返す無限ループに陥る漫画、それが【売れうつ】。
今回の【第15話】の、矢晴が純に突きつけた言葉をふまえて、【第1話】の同居1週間目を語る矢晴のモノローグを聞くと、なんだか、ふおぉぉ……という気分になる。
【第1話】で同居1週間目の時点で『支配と言ったがひどい仕打ちは一切されたことがない』『私は働きもしないで赤子のように世話された』と言っていて、『最低限度の一線を超えてしまったのは』『望海可純の家に住み始めてから1か月目のことだった』と語られる。
当の1ヶ月目では【第14話】で『なあ……私のこと幼児だと思ってるのか? お母さんごっこか?』と問い、【第15話】『お前はこっちの要求次第でどう操るか考えて』『母性ぶって支配しようとしてるんだよ』とか言っちゃう。
矢晴、対母親でなんかしらトラウマあんの? 【第11話】の『使命感から逃げたい人生だったし』ってそこらへんだったりする?
って、話がそれたけど。
逸れたついでに、【第11話】の『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』〜『強者の中身なんて普通の人と同じで』『全員へ老婆心を持ち合わせてるわけじゃないから解決しませんよね』『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』って言ってる矢晴の背後で純の顔がトーンに沈んで、考えて、思いついた、【第13話】で純が語る『質問に答えられなくて誤魔化してしまった』表情ということになるけども。
【第13話】で『もっと色んな事を考えて答えられるようになりたい』と言っているから、知識量の差とか考えの深さ、言語化レベルみたいな方面かと思ったけど、「愛される弱者」云々方面は別のことで「答えられない」だったのかな? と、【第15話】の『赤の他人の介護みたいな世話だよ? どうしてできるの?』という質問に答えた『具体的〜』『狭義的〜』『排他的〜』で『自分の残酷さを直視すぎると元気がなくなる』という話を聞いて思った。
矢晴の言った『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』と「狭義的、排他的な残酷さ」が呼応するかな。もともと純は好きなものしか愛してないと思うんだけど、それを矢晴に「博愛であれ」と言われたような気分?
そうなんだよなあ……、矢晴、「なんで自分だけに?」みたいなことよく言うし【第9話】で『ほっといたら死ぬだろうなって人私以外にもこの世にいくらでもいるじゃないですか』って言うし。それに答える純は『好きな人が目の前で死にそうだったからあれこれ悩む暇がなかったんです』と「矢晴のことが好きだから」って言ってるけど。
純にとって矢晴の世話は「赤の他人」じゃなくて「好きな人」だからで、「好きなものしか愛せないのが人間の弱さ」で考えれば考えるほど「他人を見捨てる・他人に関心がない自身の残酷さ」を思い知らされて“慈愛”から程遠い自分に落ち込んで元気がなくなるみたいな感じかしら。
と、合っているのかこじつけなのか、よくわからんままに、読めば読むほど絡み合う。すごいな、【売れうつ】。
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