鉄柵

 純が矢晴の質問に答えているときに、背景に、「ミント色の鉄柵」がある。

純の話のなかで、その鉄柵が何を意味しているのか、は、わからないのだけども、その鉄柵を見て、【第6話】の鉄柵のあたりから、読み始めてしまう。

純が矢晴に対して、どういう思いでどう言ったのか、どんな反応をされたのか、と結局【第6話】の最後まで読んで、【第15話】に舞い戻る。

純自身、『これは慈愛』からかなり歪みまくってるけども、矢晴への思いは純粋で、本当に安心させたい、幸せにしたいだけでしかないんだけども。

『何を言えば一番安心する?』って差し出した言葉が、一番怯えさせてるのが、かわいそうだけどかわいい。

とはいえ、改めて読むと、【第6話】の時点でも「死ぬまで孤独でなくなる約束」は「慈愛」ではなかったなと。それより前に、『これは慈愛』って言い出してるから、【第15話】の時点で、純の記憶もちょっと改変されちゃってるかな? とは思う。

泣いてる矢晴を見下ろして、『これは慈愛』と歪んだフォントで抱きしめる。

明らか、“慈愛”じゃねーですわ! と、当時と変わらぬ感想をいだきつつ。


あの鉄柵は、「ここから読み返せ」という合図だったのかもなあ、と思ったりした。


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