白々しい
矢晴が純の漫画について話す朝の。矢晴の話し方ではなにに対してのものかわからないのは当然で。
なんでそんな曖昧な状態で話すん? とか思うけど、先に「シヴァ・アンバーの」と言っちゃうと恥ずかしくて『好きだ』って言えなかったのかしらねえ? とは思ったりする。そういうところがズルいんよ、矢晴は。
矢晴が「シヴァ・アンバー」について話しているのかどうかがわからない状態で純はその話が「シヴァ・アンバー」についてのことだと察せたのかどうかは謎だけど。わざわざ、純が矢晴に読ませようとリビングに「シヴァ・アンバーの3巻」を置いていたのなら、そりゃまあ、『3巻の…』と言われた時点で察知していてもおかしくはないかな? と思ったりするけど、ちゃんと『3巻? なんの?』と聞くあたり、純がかわいい。
『あ! 読んだの? 恥ずかしいな』って言う純がかわいいのに対して、『白々しい』『リビングに置いてたくせに』という矢晴は、純がわざと矢晴に読ませるためにリビングに置いておいた【第14話】『だからわざとこの巻だけリビングに置いたとか?』と考えているわけだけど、確信になってるのかしらね? 『白々しい』という言葉の強さが好き。
リビングに置いておいても矢晴が読むとは限らないんだから、そこまで白々しいってこともないような気がするけど。「恥ずかしいな」っていう純の言葉に対しての「白々しい」かもなあ、と思ったりもする。自分で置いておいて、読まれたからって恥ずかしいと言う、のはたしかに白々しい。
あと、ここの『白々しい』の強さは、純に誤魔化しや嘘を許さない感じがして、これからのふたりの会話で純が誤魔化したりぼかしたりとかしなくなるかも? とも思える。矢晴もちょいちょいズラしたりぼかしたりしてるんだから、純に直球求めるんなら矢晴も直球でいきなさいよね。
矢晴に読んでもらいたくてわざわざその巻を選んで置いておいたのかどうか、についてははっきりとはしないけど、純が古印葵への手紙を届けたくなって、読むかどうかは賭けでしかないけど、置いておいた、ということはありそう。そして純は賭けに勝った、ということにはなる。
「矢晴に読ませるために純はわざとリビングに置いたのか」という点については謎のままだけども、『私の作品〈アレ〉への返歌……か?』という疑問については、『あれね』『古印葵宛の手紙だよ』『矢晴の漫画読んで感化されたやつだから』と純の口から聞けたことで、本当に返歌だったし、自分が描いた漫画が純に影響を与えて、望海可純の漫画として昇華されてるのを目の当たりにした、ってのは矢晴が古印葵として漫画を描いてきて良かった、とも思えた瞬間だったろうなと、思う。
ここで、矢晴に漫画描きたい気持ちが芽生えてたりするかなあ?
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