一線を超えた
以前に「でもできれば、現在の憧れの作家(矢晴)とその信奉者(純)という関係から脱却して、矢晴と純がちゃんと向き合って、恋なり愛なりって方向へ進むような、なにかしらの一線を超えて欲しい。」と書いていて。
今回の【第17話】では、確かに、ふたりの関係が「憧れの作家と信奉者」から脱却してくれてるなあ! と非常に嬉しく思っていて。
一線を超える、が性的なものなのか、尊厳的なものなのか、とかどうでもよくなるくらいに、「人間関係における最低限度の一線を超えた」んだ! と感動しながら【第1話】を見返すと、『最低限度の一線を超えてしまったのは』と、なんかやっちまった感が出ていて、ちょっと混乱したりする。
尊厳的にはやっちまった状態だけど。そしてこの泣いてる矢晴のなんとかわいらしいこと。
この同居1ヶ月目の出来事は、なにからなにまで、あらゆる一線を超えた感じがする。
矢晴は結局、純への気持ちが醜い肉欲を孕んだものだとさらけ出すことができたんだろうかな、とは思えるんだけど、純粋に「純が好き」と言う言葉を伝えられたのかどうかはわかんなくて。純は自分の欲情しない性質を矢晴にさらけ出すことができたのかどうかはまだわかんなくて。
個人的に純の『私はあなたの理想じゃない』という言葉の真意がわからないんだけど、「あなたは私の理想じゃない」とか言い出すほうが、なるほど……ってなりそうな。理想の作家として崇めてて、理想の関係になりたかった矢晴に対して「あなたは私の理想じゃない」けど「私は君を見捨てない」と、更地に戻して一歩を踏み出す、みたいな。
そうじゃなくて、『私はあなたの理想じゃない』と言っているから、ここで言うところの矢晴の理想の純とは……? とずっと考えたい。
そしてまた、『私はあなたの理想じゃない』の「あなた」と『私は君の言うことを聞かないけど』『私は君を見捨てない』の「君」。この呼びかけの違いが、これまた良くて!
前からずっと好きだけど。「あなた」から「君」になるのが、はーー、良い! 好き!
そして翌朝の、純の作品に対して矢晴が『好きだ』って言ったのが! 好きだ!
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