カップの中身

 早朝だと思えるルーフバルコニー(?)での一幕。

暖房を用意して、上着を着て、手にはカップを持ち、寒さ対策は万全な感じ。

「昨日の夜」には雨が降ってたけど、この朝は晴れ渡り。朝食前のようだから、それなりに早朝なんだろうなと思うと、このふたりは徹夜でお互いを語り明かしたのか、そのまま眠って朝食にするにはまだ早い時間にふたりで目が覚めたのか。

それなりにすっきりした顔だから眠ったのかなー? ふたりで、あのベッドで。眠れる……? お互いを抱きしめて眠ってくれてても、素敵だなあ、と妄想に脱線。

わざわざ暖房まで用意して、この場所に出てきたのは日光浴のためなのかどうなのか。

ふたりが持つカップの中身がなにかはわからないけども、純の持つカップはまだ湯気が立つほど中身が残っていて、矢晴のカップは、『あの』と話しだす直前に飲み干してしまったっぽい。

カップに残る滴は白か透明か、という雰囲気だから、コーヒーやココアではなかったのかな、と思える。なに飲んでたんだろう。ホットミルクかな?

純が矢晴のカップが空だと気づいたから『なにか朝食作ろっか?』と言ったのかなと思うけど。

カップを持った手を下ろし、足で足を掻く、その矢晴の動きがまたいいなと思う『……私達は』と話し出す。純に顔が見えないようにか身体を外に向けているのもまた。

純に肩を抱かれて、答えられないのか答えたくないのか、純の手から外れるように身体を動かし、両手で包んだ空のカップを見る矢晴が、まだ中身が残っていればそれを飲むことで「答えない」という方法を取りたかっただろうかな? と思えるタバコの話。

『そっか会う前に死んでたか』と差し込まれるのは帰ろうとした矢晴を無理矢理引き留める純で。

ふたりの関係に名前をつけることもせず、矢晴の気持ちのなにもかもが詰まったような、『タバコ吸ってなくて良かった』『タバコ吸ってなくて良かったぁ』という言葉が感無量。

はあーーーーー! いいなあ!


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