彼の肉

 シェルターのような場所に入っていった純が、『彼の肉には一ミリも興味も性欲もない』と言い放つのが、辛くて。

でも、「彼の肉には」と限定しながら、矢晴の心の中、古印葵の思考が詰まっていると思っている並んだ扉を開けたくてガチャガチャずっとやり続けているあたりは、「彼の精神」や「心の中」には興味津々ではあるのかな、と思う。

ただやっぱり、その場所は、純の妄想の産物でしかないから、どの扉が開いたとしても、純しかいないよな……とは思うから、古印葵を暴こうとして自身の深層を解き放ってしまう可能性を強く感じる。

古印葵は好きだけど、福田矢晴には興味がない。というのが、純の本音であるのかどうか……。『扉の中全部見たいなぁ』とか言ってる純は、ホントに古印葵が好きなのか……? と疑ってしまうけども、さんざか「純ざまぁ」って言ってる自分もホントに純が好きなのか……? と疑われそうな気はしてるから、純が古印葵を好きということは間違いないと思う。

ただ、純が古印葵のどんなところに惹かれていて、どんなところが好きなのか、はわかんなくなっちゃったな、と思う。

古印葵である福田矢晴を立て直したい、とがんばってた純は、古印葵を大事にしてくれてる感じがするんだけど、このシェルターのような空間にいる純は、古印葵を壊してもいいから全てを知りたい、見てみたい、しかない感じがして、矢晴に興味なくても古印葵を大事にしない純はイヤ。とてもイヤ。

そしてまた、この純の言い草と、【第16話】冒頭の純のモノローグとが乖離しすぎてて、純は「人間に欲情しない」ことを悩んでいたのかどうか、それができないから、となにかを怖がっていたのはなんだったんだ……? とか、思う。悩んでいた純や怖がっていた純とはまた別の純の一面、とは思うんだけど。

【第16話】冒頭の純には、ここらへんの現実世界で矢晴が純を触りまくって誘惑してるらしいのは、渡りに船だと思うんだけどなあ……。結局、純の純自身が誘惑されてもうんともすんともってんなら仕方ないね……って感じではあろうかと思うんだけど。


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