優位と欠落

 【第19話】で矢晴が純のランキングを見て、『私が想定してたのと違うっつーか』と考えてて『どこか一つくらい自分の方が優位で相手が欠けた人間だと思いたかったんだ私はゴミ』と考えてて。

矢晴の想定していた純のランキングの内容が知りたいわぁ〜と思う。けど、見せてもらえなさそう。たぶん、1位に古印葵とか書かれると思ってたんじゃないかと思ったりもする。

で。

矢晴は自分のことを、ダメ人間だと思ってて、純になにもかも劣ると思ってるわけだけど、純が古印葵のファンで矢晴を大事にしてくれるのとか、一応、純より2歳年上だとかで、ギリギリ、優位を保っている気分ではいるのかなーと思う。

見下してる人間を尊敬したり慕うわけないからね。そこらへんで、矢晴はギリギリ人としての形を保っていたというかプライドにして縋っていた感じはするかなあ、と。

純の方はと言えば、売れっ子漫画家で大衆から才能が求められて売れてるわけだし、売れてるから金持ちで大きな戸建てで優雅な一人暮らしだし、家事のほとんどを外注してて生活に追われているわけでなく好きな漫画に没頭できる環境だし、友達も家族も多いみたいで充実してるし、なんでもできるスーパーマンだし。

となにもかもが矢晴には手に入らなかったものだし落としてきたものだし、と矢晴は劣等感しか感じない。

でもそんなスーパーマンが理想の漫画家で尊敬するのが古印葵で福田矢晴で、矢晴のことが好きだからと甲斐甲斐しく世話してくれて。

世話をされるのも自分が一人で生きられない人間だってのを突きつけられて嫌なんだけど、純と一緒に過ごせるのとか優しいのとかは好き、みたいな矢晴はいつもなんか引き裂かれてそうな心を持ち続けてる気がするんだけど。

純のことを好きになったのも、金出して世話してくれて優しくしてくれるから、って自分が純に依存してるんじゃないかとか、もっと浅ましく寄生しようとしてるんじゃないかとか悩んでた感じなんだけど。

なんだかんだぶっちゃけて、両想いになったらしいけど、純のランキング見てみたら自分のことなんも書いてないし、純は辱めてくるしで怒っちゃったと思うんだけど。

矢晴自身は、まだ純の欠落を知らんよな……? と。

純が2次元でしか抜かないというのは知ってても、3次元に欲情できないことを悩んでることは知らないよな……?

そこらへん、ちゃんと純は矢晴に言ったほうがいいような気がするんだけど、矢晴がそこを突いて優位に立とうとしてきたらちょっとヤダから難しいのよ。

矢晴ったら、言葉が鋭すぎて、かる~く致命傷与えてくるんだもの……。


もうほんと、自分の世話をするせいで純の仕事が遅れちゃってて担当に怒られてたんじゃないか、自分が負担になってるんじゃないかと確認するために話しだした結末が『お前と両想いになれる奴はいないよ(キッ)』では……。そんな傷心でよく、2日後に原稿あげれたよな……純……さすがスーパーマンだぜ……。

ちゅーて、矢晴の世話で原稿遅れたってのもあんなに怒るんだから、矢晴の言葉に傷ついて原稿落としたなんてできはせんもんな、純。がんばったな、純。


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