視野が狭い
【第20話】で純が帰りの電車のなかで、編集部で四階に言ったことのあれやそれや、あの夜の矢晴に言われたことやらと思いだして、『そっか……』『私……』『視野……狭いな……』と落ち込んでいるのが可愛らしい。
そこまで視野狭いわけでもなさそうな気はするけども、好きなもののことしか考えられないから周囲への影響とかまでは考えが至らない部分はありそう。
矢晴の視野の広さは、広すぎて病むタイプだから、ふたりしてちょうど中間ぐらいになるととてもいいのではないかと思う。「矢晴は考えすぎだよー」「純が考えなさすぎ」ってじゃれてくれるととても潤う。
で。
今回の一件では、矢晴は周囲のことを考えすぎてて当時も今も。【第3話】で『作家の前で同僚の説教始めるわけにもいかないだろ! 編集部(ここ)から一刻も早く帰れという空気を感じてないのかお前は』と考えてて、『出ていけっていう空気を分かってたのか分かってなかったのか分かんない人だな』と純のことも考えてる。【第21話】で『看板作家のお前がやばいクレーマーくらいの圧で編集を〆たんだぞ』『お前に心証悪くされて次回作は他社でってことになったら編集部は不味いと思うだろ…』と言ってるのもかなり世の中わかってる感じで、後々の影響とかまで考えてしまう視野の広さか空気読み過ぎか。
実際のところ、あの編集部の一件で四階がむちゃくちゃやべーーー!って顔して謝り倒してたのは矢晴の言った「看板作家の心証悪くして作家が他所に行く」事態を想像しての謝罪だったろうし。えー、でも、やっぱりここで四階が純に対してじゃなく矢晴に対して謝れてるの、まだ更生の余地ありって感じするー。
ついでに今回の純が『あの時の私がもっと理性的で正しくあれば』と反省も込めて言っていると思うんだけど、「大好きな古印葵をおもいっきり貶されているのを物陰で聞き続けた強火ファン」の言動としては、これ以上ないくらい理性的でしてよ? 言ってること全部正しかったと思うし? 言いがかり的なとこ一切なくて。自分の立場を勘違いしてるくらいの人間だったら、「この編集者をクビにしないなら連載やめてやるからな!」って脅しててもおかしくなかっただろうし?
まあそんなこんなで、「自分のせいかも」と思い悩んで、即「ほんとのところを聞きに行こ」ってなるあたりの純は、とても強いなと思う。さすが胡散臭い陽キャ。行動力で視野の狭さを克服している。
矢晴とかまたほかの“内側に答えを求める”人だと、「自分のせいかも」って悩み始めると「この世の全ての悲惨の原因は自分だ」まで思いつめるだろうし。実際、今回の純みたいに、聞いてみれば「全ッ然関係ない」ことのほうが圧倒的に多いだろうに。
コメント