世界に敗北
純の『それに 私が見離してあの人が死んだら私は世界に敗北する気がする』という“ポエム”。
純自身、古印葵が死んでるかも、という話を聞いた後、【第6話】で『この世に納得いかない』という気持ちをたぎらせていたし、【第4話】で『なんであなたがこんな目に合わなきゃいけないのか』『納得できない』と言っているし。
矢晴に一緒に暮らしてほしいって申し出た時には『この世があなたを見放して孤独にさせたなら』『孤独があなたを殺そうとするなら』『私があなたを忘れないでいることで』『あなたを守ってあげられる』と言っていたわけだし。
この世の中の大多数と同じように「矢晴を見放して孤独にさせて」挙げ句、矢晴が孤独のなかで死んでしまったら、純だけが立ち上がって矢晴を守ろうとしていたのに、結局、純だって、矢晴を見捨てた世の中と同じじゃないか、という「世界に敗北」。
古印葵を見捨てるような納得いかない世の中に抗ってきたのに、結局、世の中と同じになってしまう、「世界に敗北」よりも「自分に敗北」……? 自分が敗北……。うん。
純の使う「世界」という言葉では【第13話】の『世界は変わらないけど』『世界が綺麗に見える時間はこれから増えていくよ』という純の祈りだけども、この「世界は変わらない」は「古印葵を見捨てるような世界のままだけど」という意味なんだろうかな、とは思うんだけども、【第21話】を読んでからだとまたちょっと違う印象を受ける。
「閉ざした心に見えていなかっただけで、世界は変わらない」とか、世界という大きなものは変わらないけどそのなかの人々は変わっていくし、矢晴も変わっていくものの一人」とか、そんな感じに受け取っていいかなー。どうかなー。とか思ったりする。
【第20話】の純には「古印葵を見捨てる世界」に「古印葵のファンである自分」が「敗北」するって感じの「世界」だったろうけど、【第21話】の世界は「世の中捨てたもんじゃない」って感じの世界だったな、と。
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