【感想】第19話 幸福・ランキング
\祝/1000記事目!
本編が怒涛の更新になっていて、【第21話】の話をしたいし考えたいし【第20話】も考えたいし語りたいし【第19話】もまだ消化しきれてないし語り尽くしてないし、でも、一応1000記事目に【第19話】の感想書くんだーって自分が盛り上がってたから感想を書く。
最近、これは感想なのか……? という疑問も感じているが。感想なんてここが好き、あそこが好きって並べとけばいいんだよ、って思ってる。ここが好きじゃないとかも感想だ。ここが面白い・つまらない、なぜなら〜って根拠がでるなら評論だ。
と、おかしな前置きをして、さて感想。
【第19話 幸福・ランキング】
すでに先の話で矢晴がお寿司食べて『うま〜〜〜』ってなってるのを見てしまっているから、表紙のお寿司が意味深に見える。でもここに描かれてるの鯖じゃないんだ。そっか。
どうにも、たこ焼きはソースの具合が矢晴に見えてしまって、純が好きなものを想起しているのか、矢晴の好物のなかに純がどーんといるのかと、どっちにも取れるから解釈が難しい表紙だな、かわいいな! と思っている。
こんなほんわか幸せそうな表紙の純の笑顔がラストであんな凍るとは思わんじゃん。
物語は純の仕事部屋のなかから始まる。純曰くでもないのにめずらしーって気分だったら、純が仕事部屋でしてる電話を立ち聞きしてしまった矢晴の図、でむっちゃ汗かいて蒼白でやばそうな顔の矢晴が、「自分のせいで純が!」ってのが、純が矢晴に思わせたくなかったことを矢晴が立ち聞きしてしまったばっかりに……。
どこらへんから聞いてたのか、どこまで聞こえてたのか知りたいけど。純の「人は状態で評価しちゃいけない」とか「漫画より人命」とか聞いてた?
純と夕食、かな。食事の席で、矢晴は気に病みすぎて箸も持てず、純はもりもり食べてて。今日の夕食はアジフライ〜♪
純の『あら、今日は食欲ない?』って言い方がかわいくて。そして「今日は」って言うから毎日ちゃんと矢晴はご飯食べてるんだなあ、と感慨深く。そりゃもうちゃんと食べてるからこんなに血色よくなって頬のコケてたのもなくなったもんね!
そして「食欲ない?」って聞かれて、わりと素直に食欲がない理由の話をしてくれる矢晴が、いいわぁって思う。自分のせいで、って気に病んでるけど、それを自分の心の中頭の中だけで増大させないでちゃんと純に言うんだもの。えらい〜〜〜!
ただほんと、純の1時間が生み出す金額、とかではないんだよなあ……純の収入。とは思うので、矢晴の考える損失が純にとってバカバカしいのもわかるし、矢晴が『馬鹿でごめん… ごめん…』と謝るのが「そんなこともわからない馬鹿で」なのか「そんな売れっ子の世話になるような馬鹿で」なのかとかも気になりながら、『バカバカしいだけで君は馬鹿じゃないよ』って純がきっぱり言ってくれるのが好き。
そして、この食卓で、矢晴と純の座る位置が、正面なのがたまらんな、と。これまで斜め前に座ってたからさー。正面に座れるようになったって、なかなかすごいことじゃないかと。
そんで、矢晴が眼鏡を探しに行こうとして聞こえてしまった、という矢晴の話に、『えっ矢晴ってメガネかけてたの!?』という純の驚きと異口同音で驚いたりもする。矢晴のメガネ姿、期待していいということで!?
ここの『君のことだから失くしてるでしょ?』『うわ読まれてる』の軽口具合とか、相手のことわかってますよ感とか、ラブラブじゃーんって気分にはなる。
そして『純さ……』と話す矢晴の顔がかわいい。かわいい。青褪めて汗かいてるけど、今までほどの内側の思考に呑まれてる雰囲気じゃなくて、でも、純の負担になってるんじゃないかとビクビクしてて。
それに対して、純がつい声を荒らげちゃったのは、担当に言われたこととかで「矢晴のせい」って思われたくないって気持ちの現われだったんだろうなあーとは思うけど、純は誤解されたくないなら、「違うよ!」って元気よく言っとかなきゃって感じはあったよなあーとは思いつつ、さすがに嘘っぽくて信じてもらえなさそうと思うと矢晴がまた気に病むか。
すんごい珍しい剣幕だったんだな、というのが矢晴の反応でわかる。『やばいやばい』と頭抱えて怯えてる矢晴がかわいいけども。矢晴の恐怖は「純の地雷を踏んでしまって超絶怒らせてしまった」だけなのか、「純を怒らせて自分が放逐されるかも」という怯えなのかは定かではない。
あんなに声を荒らげたのに、紙とペンを持って来た純はずいぶんと落ち着いていて。それにつけてもプリンが目立つ。『すり合わせをしよう』と提案してくるけども。
純ったらけっこうわかってるじゃーん、と思ったり、でもなんかズレてんな……と思ったり。このランキングを書いたところからあんなことが起こってしまうなんて……ううう、純……、と先を思い出してしまって、ちょっと冷静でいられなくなるんだが。
『なにに価値を見出すか――』と言いながら、書き出すものは『幸せなことや好きなことのランキングを書いて』というあたりが、ズレを感じるポイントではあるのだけど。「何が大事で自分にとって価値があるのか」と「自分が心地よい(好き・幸せ)と感じるもの」は違うしなあ……と、思いつつ。純の提案に『はあ……』と席を移動する矢晴がかわいい。『……よく見たら顔色悪くないか純……目の下、クマか?』と思っている矢晴もかわいい。
純は純で、担当が言ったことと、現状と、それを矢晴に知られてしまったことで、いろいろ追い詰められてる感じの『いいかい私は今幸せなんだ』『君に泣かれたり哀れまれる謂れはないんだよ』という言い方が、やっぱりキツイなあ〜、と毎度思う。
そして書いたランキングの見せあいで、『少なッ!』『うわ多ッ』というふたりの反応が好き。そして、それぞれの文字の感じが面白く。矢晴はもうちょっときれいな文字を書くんじゃないかと思ってたけど、案外下手な感じだし、右上がりの書き方で。純は丸っこい感じだけどもまるで活字で組んだようなきっちりと並べられた書き方で。それぞれの性格がこういうところでも出てるのかなあ、と思える。(ただし、どんな文字の書き方をするかでこんな性格、と解説するサイトによって、解説内容が逆っぽかったりするので、正確なところはわからない)
矢晴が純のランキングの上位、『漫画』『心』『名前』『作品』に注視して、さらに『4位 射精』をものすごく気にして『飯時だぞ今ここに書くか?イカれてるのか』と考えてるところが矢晴が「性行為」や「射精」に対してなにかしらの思いがありそうなんだけど、まだはっきりとはしないのがもどかしい。注視してる矢晴には、矢晴のすけべって毎度思う。
矢晴はやたらと性的なことに執着してるけど、なにをしたいのかなにをされたいのかはっきりしなくてもどかしい。なんで矢晴はそんなに男性である純との恋愛なり性愛なりに積極的な思いがあるのか、とても気になる。詳しく教えてほしい。
で、純の7位の睡眠と自分の1位の「ねる」を比較した雰囲気と、それより上にある純のランキングの1位と純の漫画の累計発行部数とテレビで流れるアニメとを思い、『この家の中で私が漫画を描く理由が見つからない』となんとも唐突な吐露。描こうともしてないのになんで……? なんでそんな理由がいるの……? と私は疑問符が爆発した。
んだけども、先に寄り道。テレビで流れるアニメ、という画面を矢晴が回想しているんなら、矢晴ったら純の漫画のアニメ、見たのね! と思ったんだけど、見たのかなあ、回想じゃなくて挟み込まれた売れてる純の現状ってだけかなあ、どうなんだろーと、気になっている。
さて、本筋。
(ここの一連に関する作者解説があり、私の理解の及ばなかった範囲(矢晴の“勘違い”の内容と“スーパーマン”という言葉の意味)が明確になったので、感想がずいぶんと変わる……どうしよう……という気分になっている。)
純が一番に好き・幸せなこととして『1位 自分の漫画を考える』としているのを見て、矢晴が『この家の中で私が漫画を描く理由が見つからない』とこぼす。それに対しての純の『え?』というきょとんとした顔と矢晴がさらに言ったことに対して、『漫画を描く理由が見つからないってどういうこと?』とかなりの至近距離で詰める純に驚く矢晴。
実際のところ、純は本当に疑問でしかなくて確認したかったんだろうけど、矢晴には巨大な純に追い詰められていくイメージ。純にとっては「なんで? なんで? 漫画描くの楽しいんだから描いたらいいじゃん!」くらいだったのかなあ? とは思えるんだけど、ここらへん純曰くでも読んでみたい。純の思考が知りたい。
矢晴は「描く理由が見つからない」って言うけども、その理由が見つかったら描くのかしら? と考えてみても、描きたい気持ちはあれども描けない理由を探しているだけなのだから、理由が見つかるかどうかなんてのは関係ないよなあ、と思う。それよりも古印葵を理想と崇めてるような熱烈なファンである純に対して『私と床の埃の見分けがつく奴はいないだろう描く理由がない』と言ってしまう矢晴の、古印葵ファンである純を軽んじた言い方が許せなくなるんだが。純には矢晴と埃の見分けはバッチリついてんだから描く理由はすでにあるってことだな? ん? と詰め寄りたくなる。矢晴が純よりも優位なのは、純が古印葵のファンで矢晴のことが好きだからだろうが、ムカプン。
追い詰められてる矢晴に見えている純は巨大で眩しくて、矢晴はぐにゃ〜と溶けて真っ黒で。ここの矢晴はずいぶんと追い詰められてる感じがあるから、純は本当にこんなこと言ったのかしら……? という疑問も生まれつつ、純に肩を掴まれつつ、流れ落ちる涙が次のコマの純のランキングを濡らす。【第4話】でも矢晴の涙がコマを超えて純の肩を濡らしていたけど、この「コマを超えて」の表現の仕方がとても好き。とても好き。
その後、矢晴が落ち着いてというか落ち込んで、「純の言うことは正しいけれどみんながみんなお前じゃないんだ」と、理想論に対しての現実を語っているような。ただなんか純には通じなさそうだし、そういう話をしているんでもなさそうな雰囲気で、よくわからんな……というのが正直な感想。
そして少し時間が経って。あの後、矢晴はちゃんと食事をしたのかどうか気になるんだけど、テーブルの上は片付けられてて矢晴はコタツで横になってて。(一番上のコマでコタツの上のみかんがないのがちょっと気になる、重箱の隅つつき)
純がコタツに来て、矢晴にゴニョゴニョ言ってるところがえらいことかわいいなあ、と思う。矢晴に何を言ったらいいのかよくわかってないのと、矢晴がなぜこんな状況になったのかわかってないのとで、ゴニョゴニョってなるのがかわいい。
矢晴もあんな打ちのめされていたのに、コタツに顔まで隠しているわりに、まだリビングにいるのがえらいなあ、という感じもあるのだけど。自室なり寝室なりにひきこもってもおかしくないのに。純と一緒にいたいんだね。ちゃんと純の話も聞いてるし。
純がゴニョゴニョの果てになにかに気づいたのか自分のなかでの整理がついたのかで『ああ…そうか』と話し出す。プライドとわがままの話。それはそれでいいんだけどさーあ。『例えば』で話しだした内容が矢晴をとてつもなく辱めてるのは、純の天然なのか? もっと他に矢晴を傷つけないで例えれる話はいくらでもあるだろうに……。そしてまた、純の“わがまま”についてもなんだかおかしな論理の飛躍があって、純がなにを意図してそんなことを言っているのか、私にはよくわからない。
矢晴はプライドが無駄に高くて見栄っ張りだから優位に立とうとして自分の気持ちを素直に言わない、純はわがままだから欲望に素直に行動して矢晴を籠絡して手に入れたし欲望に忠実に創作もする。……といったところか。どうなんだろう、よくわからない。
好きな相手を辱めておいて“両想い”とは片腹痛いわ。純のばーかばーか。
その後のコタツのなかで純が矢晴の足をゲシゲシってするあたり、遠慮のいらない仲になってる感じはあるし、矢晴もそれを受け入れてる感じもあり、微笑ましい。かなり親しくならないとこの行動はできない、はず。純の足が長すぎちゃって、コタツからはみ出すのもかわいい。
そして矢晴のターン。『……あのさ』と話しだした矢晴の首筋の大きな大きなキスマーク!! あの日、あの時、やっぱり約束の捺印してたんだーーー! という歓喜となんて大きなキスマーク! という驚愕とで、その先の矢晴の話が頭に入ってこなくて何度か読み返す度、キスマークに釘付けになる。
結局、矢晴の話すことも、“両想い”とは……? と悩みの種しかもたらしてくれないけども、矢晴にとっては「純は性的接触よりも漫画のほうが価値が高くて、キスマークだって矢晴が強請ったから仕方無しにつけただけで矢晴のことなんかほんとは好きでもなんでもないんだ、プンプン」みたいな心情ということでいいのかな。
矢晴の強烈な『お前と両想いになれる奴はいないよ』という言葉とコタツの長さに、純の衝撃を受けた顔。そんな……そんな……矢晴ったらなんて酷いこと言うの……純、むっちゃショック受けちゃったじゃーん! と純に同情しつつ、矢晴を辱めたのは純なんだから当然の仕打ちじゃ、と思う心とでぐちゃぐちゃになりつつ、【第19話】が終わる。
表紙の純はあんなにかわいかったのに……、純…………。
で、話の終わりまで感想を書いたけども、実は後回しにしていた冒頭、仕事場での純と担当との会話についての感想。
担当に話している純の例え話は、【第16話】での『今の矢晴の言葉は』『病症がもたらした言葉かもしれない……?』『その言葉を私が「良い」と言ってしまったらそれはつまり――』の思考を説明してくれているのかなあ、と思う。矢晴の病気を治そうとしてるのに、矢晴の病症から出たであろう言葉を称賛してしまったら、それはつまり矢晴を病気のままでいさせてしまう・病気のままでいることを望んでしまうということ、みたいな感じ。純は『だから「状態」を評価しちゃいけないんですよ。』と自分への戒めを込めて担当に話しているように思う。
けど、打ち合わせ中の無駄話にしても、担当からはいきなり何言ってんだろう? みたいに思われそう、と思ってしまった。
担当に次のネーム催促されて、原稿遅れてるの言われて、ものすごい速さでペン動かしてるのも気になるけども、純の時間がなくなってるのを尋問みたいに聞かれて答えつつ、やり直しボタンを連打してるのも気になる。どんだけ早くペン入れできてもやり直し量もそんなに多くなるなら、結果ペンが遅くなってるようなもんでは……?
長考してるような長めの沈黙から『あの……』『その実は』と話しだした純が担当にどんな経緯で同居に至ったのかをどんなふうに話したのか知りたかったなあ! という気持ちにさせてくる、この空白に点々……。気になるー。ついでにそのあたりも矢晴が聞いてたのかどうかも気になるー。
担当は「望海可純の漫画が遅れる要因を排除したい」感じで話してて、純は『人の命より重い漫画ってこの世にないので……』と反論するけども、それが通用するかというとそれは純の気持ちでしかなくて現状、仕事として漫画描いてるから私生活で人命優先してようと担当には関係ないんよねー……って感じが、ちょっと切ない。矢晴にとっても、純が矢晴の世話を優先することで矢晴が純の時間を奪っていて、その結果で純の仕事が遅れていっての現状はやっぱり辛いし、純が仕事優先するために矢晴を捨てるまで考えちゃいそうなんだよなあ〜と思える。たぶんそんなことを考えてしまっての食卓での会話なのだろうなと思うのだけど。
結局のところ、矢晴は純の部屋の前で立ち聞きしてしまった純と担当の会話のどこから聞いていたのかがとても気になる。
- 純の仕事場。担当と純の電話での打ち合わせ。
- 『人の命より重い漫画ってこの世にないので……』
- 純の仕事部屋の前で立ち聞きしてしまった矢晴。
- 食卓。食事に手を付けていない矢晴、ほぼ完食状態の純。
- 純の億単位の年収に対して、矢晴の世話のせいで純の時間が奪われてどれだけの経済損失になっているかと囚われて吐きそうになる矢晴。矢晴の話す架空の損失に呆れる純。
- 矢晴の「私の世話のせいで〜」という言葉に声を荒らげる純。純の剣幕に怯える矢晴。
- 紙とペンを持ってきて『すり合わせをしよう』と言う純。価値観のすり合わせのために、幸せなことや好きなことのランキングを書き合う。
- 純のランキングを見て、自分が漫画を描く理由がないと吐露する矢晴。
- 矢晴の言うことに疑問を呈し、詰め寄る純。
- 『なぜ君は創作する「理由」を探すんだ?』
- 『お前はスーパーマンなんだよ』『みんながみんなお前じゃないんだ』
- コタツで寝ている矢晴。ゴニョゴニョと言う純。
- プライドとわがままの話。
- 『お前と両想いになれる奴はいないよ』
矢晴の眼鏡姿がいつ見れるのかと期待してしまう。
矢晴を同居させて世話をしていることで純の仕事ペースが大幅に狂ってしまっていることがはっきりとわかった今回。前回の『ドタバタしててね』の詳細までは矢晴には伝わっていないけれど、「矢晴のせいで」と矢晴が認識してしまったのが切ない。
ついうっかり矢晴を辱めてしまった純の言動に、矢晴の仕返しがえげつない。どっちもどっちでかわいい痴話喧嘩、というにはショックが大きすぎた。
2023/01/11、感想書き終わり。
コメント