わがまま

 だから純の辞書に納得いかんというに。……というのを矢晴はあのドギツイ一発で指摘しているのかしらん……?

純の言う“わがまま”は「自分の軸を持って、自分の哲学・信念に従って、他人の視線も気にせずと、わが道を貫け」、ということになるのかなーと思うんだけども。それは、なにより“自分”を持っているからできることであって……。と思うと、現状、自己肯定を破壊され再建されていない矢晴には、できないことでもあろうかな、と思う。

そしてまた一般的には、わがままは自分勝手とも解釈されるけども、純のやっていることは“自分勝手”にも近い。自分を貫くというよりも、自分のやりたいことを押し付けて来た感じ、ではあるかな。

純は矢晴に対して、「見栄や体裁なんて気にしないで、自分のやりたいようにしようよ」とか「自分の思うままに振る舞おう」とか言いたいんだろうなあ、と思うけども。

それにしたってあんなふうに矢晴を辱めることなかろうが。

『例えば』っつって、たしかに一番近い時期の出来事で、説明するのにうってつけな事例とはいえども。あれか、純の言うところの“キツイ冗談”みたいなノリなのか?

この「私はわがままを優先させて、見え方なんて気にしないで自分自身に軸を持って自分のやりたいようにやるし、信念貫いて好きな人とも両想いになるし、創作とも両想いになってるよ。矢晴も、人を見下したいがゆえに気持ちと行動が裏腹になるつまらないプライドなんて捨てて、私みたいになりなよ」という……、たしかにそう出来たらいいけども! 

まず人を辱めるな、純のおばか!

「この家のなかでは矢晴の思うままに過ごせばいいんだよ。理由なんて探さないで気楽に生きよう」くらいでいいものを……。

ついでに、「矢晴には軸がない、私には軸がある」って、自分の優位を確立するな! ただでさえランキングが予想と違って打ちのめされてるんだから、追い打ちをかけるな、こんちくしょうめ。

矢晴の軸がなくなってるのを再建しようとしてたのが純だろうが……。なぜ、そんな考えなしに、失ってしまった軸のかわりに縋っていたなけなしのプライドまで粉砕していくんだ……。そんなんだから矢晴にあんな事言われるんだろうが……。ううう、純……、ちくしょう……ざまぁ……。


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