振ったか振ってないか

 あの【第19話】の衝撃のラスト、ショックで凍った表情の純は、【第20話】で「好きな人に振られた」と表現し、矢晴と両想いではない状態だと傷心しているけれど、【第21話】の仲睦まじさとか見るに、矢晴のほうには「振った意識」がないんじゃないかと思える。

実際、振ったかどうかなんて本人たちが語ってくれるのを待つよりないんだけど、このふたりとも、今んとこどこまで言ってることを信用していいのかわかんないのよね……。

矢晴は『お前と両想いになれる奴はいないよ』と言って純を振ったことになってるけど、直後に『差別的なことを言ってごめん』と大泣きしたらしいので、矢晴のなかでは「ひどいことを言ってしまったけれど、私のことを嫌いにはならないで」という思いがありそうだし、先の言葉を撤回したつもりになっているんじゃないかなあ……?

純は、自分のことを「人に欲情できない“異常者”」(世間一般の両想いができない)と思ってて、矢晴の「差別的なことを言ってごめん」は「通常と異なる者を差別するべきではないのに差別的なことを言った」というだけで、純が“異常者”であることを否定しない言葉にはなっているから、矢晴が言ってしまったことを撤回するまでには至っていないのかなと。

お互いの会話と思惑に齟齬ありまくりで。

純は矢晴に振られたと思っていても、矢晴を邪険に扱うなんてことはしないで、「見捨てない」と宣言したとおりに、死ぬまで看取るつもりでいるだろうなと、健気だなあと思うんだけど。

純の態度が変わらないから、矢晴は純と両想いが継続していると思っていたりするんじゃないか。むしろ、純が振られてるからと一歩引いたくらいの距離感がとても心地よかったりするんじゃないか、と思えてしまう。

そのうち、「君が私と両想いになれないと思っていても、私は君が好きだよ」とか言って、矢晴に「え? 両想いじゃなかったの!?」と驚かれて欲しい……。


コメント