両想い

 矢晴は『お前の言う両想いと世間の言う両想いって』『たぶん違うよ』と、言うけれど。

世間一般で言われる“両想い”って、お互いが好きあってたら両想い、でいいかなと思うんだけども。

矢晴は『食う寝ると同質の欲求の合致が世間の言う両想いってやつなんだよ』と言うけれど、それは性的欲求の順位のことであるのかな? 純は4位、矢晴は欄外なんだけど。矢晴の1位の『ねる』が、性的な「寝る」も含むのなら、順位は合致しないけど。そこ順位が合致する必要ある……?

純は古印葵が好きだけど、矢晴のことをどう思っているかは謎い。好きだとは思うんだけど、純自身に恋愛的な気持ちが発しない性質があるっぽいから、その“好き”は矢晴の思う“好き”とは違う。

矢晴は純のことを性的に意識する感じには“好き”っぽい。

純は、自分が好きだと感じたものに自分でアクションを起こして手に入れたら、“両想い”と思っているのかしらん? わがままになりふりかまわず、相手(人でも創作でも)に気持ちを向けてアクションを起こして、くらい。純の言う“わがまま”もやっぱり語釈が違うんだよなあ……。

うん、まあ、純は相手がどう応えてくれて、自分と相手とでどう育んでいくか、は考えてない感じはする。果たしてそれは“両想い”と言えるのか、とは思える。

恋愛わかんない子が、両想いに憧れてるだけだもんね……。

むしろ矢晴が純のことを恋愛的に好きになって、性的な行為をしたいと思っても、純はそれに応えることができないわけだし、自発的に矢晴と性行為に及んで、肉体的なコミュニケーションによって愛情の交換をする、ってことはしないんだろうから、そりゃあ、“両想い”でもない。


ただ、矢晴の『お前と両想いになれる奴はいないよ』という言葉は、純を意図的に傷つける意図があるにしても、致命傷を負わせるくらいに酷な言い方。

純は恋愛する感情がないかわからないか、という状態だから形から入る状態だろうけどもそれを矢晴は『言われて従って思い込んで成立する? そんなものなわけあるか』と指摘しているんだろうけど、「お前が私のことを恋愛的に好きかどうかわからないから、私はお前と両想いになれているのかわからない」くらいに包んでやってよ……という気持ちになる。

先に矢晴のことを辱めたのは純だけどもさ……。だから純はちゃんと考えてから言葉を発しろ……。うううう。


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