哲学
哲学ってなんぞや……と途方に暮れるタイプなので、哲学がなんなのかはよくわからない。
たぶん、純の言う“哲学”は〈各人の経験に基づく人生観や世界観。また、物事を統一的に把握する理念。〉ということになるのかな、と辞書を引く。
純にとって「創作に理由はいらない」けど、矢晴には理由が必要なものかもしれない。と、『哲学が違っただけで…』とゴニョゴニョ言う。
なんで理由が必要なんだ、創作に理由なんて必要ないだろう、という意見・正論を押し付けてしまった、という反省からであろうかな、と思うんだけど、ゴニョゴニョ。
純は古印葵のファンで、矢晴を助けようと思った当初は、「死んでほしくない」気持ちだけだったかもしれないけども、後々考えれば「新作が欲しい」とかの欲望もあるらしいと気づいてしまった感じ。欲望を押し付けて無理矢理に満たそうとはしないから、『あのね別に私は描いてほしいって思ってるわけじゃないんだ』とは言うけども、本心はちょぴっと描いて欲しい気持ちはありそう。
【第9話】の同居1日目の夜に『あなたの世界が好き』『けど描けとは言いません』『幸せになってほしい』という純の気持ち・言葉からずっとブレてはいない。
【第13話・後編】での矢晴の『私は漫画を描かなくて済むんだ』という言葉に『――え?』と身を起こすあたりも、純にとっての“哲学”に反することを矢晴が言ったからであろうな、と思う。この時の純の表情は小さすぎて見えないけれど、【第19話】で矢晴が『この家の中で私が漫画を描く理由が見つからない』という言葉に対して『え?』と聞き返した顔と同じだったかもしれない。
【第13話・後編】では、純は『瓶の中身が漫画にならなくてもいい別のものでもいい』『けど開かないからって理由で瓶を放り投げるな!』と語気を荒くしているが、やっぱり矢晴に「漫画を描け」とは言わない。ただ、創作なり表現なりをやめることを許さない感じがあるのが、純の“哲学”なのであろうな、と思う。
ただ、矢晴が『描く理由が見つからない』と言うのに対して、純が「読みたい・描いて欲しい」と言葉にして伝えたら、「純が読みたいから」が理由になるんじゃないのか……? とは思える。
ただ、それを言うと、「養っている対価として漫画を描け」と強要しているような状況になりそうだから、純は言えないだろうなあ、ととても思う。
純は矢晴が自発的に漫画に向かうのを心待ちにしてると思うんだけども、描いて欲しいという欲はずっと伝えられないだろうなあ。
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