もうそれ性欲だろ
と、矢晴が言った。
矢晴には「離したくない独占欲」と「依存を超えた好意」があると思うのだけど、それもやっぱり「性欲」に集約されそうな。
もともと性的に意識してるの矢晴だけだしなあ……。
純は、とりあえず自認している傾向的には、矢晴にすら性欲を抱いていない・欲情することがない、にはなるけど、もともと馴れ馴れしいからかボディタッチが過剰だし、ふつうに愛情込めてハグするから、ボディタッチが苦手な矢晴はそれを「性的なアプローチ」ととらえてもおかしくないのかも、とは思える。
尊敬やら憧れやら大事にしたい思いから抱きしめたりする純と、ボディタッチ自体に不慣れで、相手の身体を触るのは性的な行為のときだけみたいな状態だったかもしれない矢晴では、純の行為に性的なものを感じちゃうかなー、矢晴。
同居してからのボディタッチでは、純自身が『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えてて、より一層、愛情込めたボディタッチにはなってたかと思うけど。
でも、それ以前に同居当日の夜に襲われるーーって思い込んだ矢晴が逃げてるから、3日目夜にそう考えてる純が性的に思えるようなねちっこい触り方してきたから意識しだした、というわけでもないあたり。矢晴よ……。
そして、『もしかしてこれが…目的ですか?』と言う矢晴の言葉にまったくピンと来ない感じの純がまたかわいいんだけど。純め……。なんだよ、『あれれ???』って、こんちくしょうめ。『そっちからよりかかったんじゃ?』とか、てやんでえ。てやんでえ…………うぅ……。
それにしても、矢晴は同居してからの1ヶ月、純に触られるたびに「えっちだ……」とか思って過ごしてきたのかしら。一番えっちな感じだったの同居6日目だけどなあ……。あれは平気そうだったのに……。
違う話になるけども、純が矢晴の療養計画立ててる時に矢晴のことを指す言葉として「彼」と言ってるのが好きで。「あの人」みたいな遠さのない、「古印先生」と崇めるでもない、かなり自分に近い位置に置いているような「彼」。今時期の矢晴に対しての「君」と並んで、好き。
矢晴は純を「あいつ」と言うのに対して、純は矢晴を「彼」と言う。矢晴は純に「お前」と言うのに対して、純は矢晴に「君」と言う。良いわぁ。
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