【感想】第14話 一生・ベイビー (再)

 【売れうつ】1周年記念で、「設置しているアンケートの5月4日までの集計によって、ピックアップして感想を改めて書く」と決めていて。4件の回答(うち1件は自分)により、【第14話 一生・ベイビー】がトップになった。ので、感想を書く。(日付超えてからもう1件回答いただいたけど、結果としては【第14話】がトップで変わらず)

できるだけ、前回と違う角度からの感想を書きたいなと思って、改めて前回の感想も読み直している。初見感想からも見ていくといいかも、とは思ったが、量が多いんよ……と、思う。それよりやっぱり本編読もう。

さて、感想。

やっぱりこの表紙がかわいい! 伏し目がちの矢晴の、やわらかい色合いと、笑顔にも泣き顔にも見える表情がたまらんの。本編ではジャンバーだけで寒そうだけど、この表紙ではマフラーしてて、それもかわいい。顔つきだけで言えば、それなりにお肉ついてて赤みもさしてて、かわいらしい赤ちゃんな雰囲気もありーの。

前回、【第13話】で純にお風呂で洗われて、お風呂で純に言われたことのいろいろは矢晴の心に届いているのかよくわからんな……、というくらいに落ち込んだままの矢晴。ソファーに臥して、純の心配をしている、というよりも粗相してしまったことに一番心囚われて落ち込みすぎてる気がする。夜までずっと気にしてるもんな……。

ソファーの前のガラステーブルにはテレビのリモコンとティッシュと純の漫画の3巻。【第2話】のときと、置かれてる向きとリモコンの配置が違うんだが……とかは些末なこと。表紙絵も違……。

戻る。

付箋つきの「シヴァ・アンバー 3巻」。純が設定確認用の資料にしてそうな雰囲気。矢晴が想像する純の行動がとてもかわいい。

『1年で一生遊んで暮らせる金額を稼いでいる漫画はさぞ面白いだろう』という思考が、矢晴の劣等感を示してるのかなーという感じがするけど、面白いかどうかは向き不向きがあるからなあ……と思っていると、『けど読みたくない』『もしも全編読んで話を好きになれなかったとしたら?』と続いていくのが、矢晴が純を失いたくないみたいに思っていることのあれそれかしら? と思わせる。

でもなんだかんだといろいろ考えながら、その思考とは裏腹に本を手に取る矢晴が、好きだわ〜。純に興味があるのか、漫画を読むという行為に向かえるほど心が回復したのか。両方な気はするけど。

言い訳しながら読みすすめてく矢晴がかわいいんだ。いつ見ても。ほんと裏腹で。『もしかして』『私の作品(アレ)への返歌……か?』『だからわざとこの巻だけリビングに置いたとか?』って考えてるところ好きなんだけど、そのあとの無言の1コマで何考えてるのかがむっちゃ気になるなる。「読ませたくって?」「純がどれだけ古印葵を好きなのかわからせたくって?」とか考えてたりするかしら? なんかこう、いろいろ渦巻いていそうな表情が好き。

結局、この巻読み通すことなく戻しちゃってるのが残念だったけど。

純への気持ちが矢晴の頭を“馬鹿”にする。『愚鈍なお花畑にさせたのは誰だ』で咲いてる花はひまわりかな。「向日葵」……「葵」……。ふふ。純の名前に「日」が入ってたらもっと、ふふふ……って気分になりそうだけど。なにかしら花言葉もかけてて、この向日葵なのかなーとは思うのだけども、色はわからないから色に関する花言葉は置いといて。大きいのが下に1本、上に3本で、本数別の言葉かかってたりする? とか考えつつ。小さい向日葵は「高貴」「愛慕」……この場合やっぱり「愛慕」かなあ……? でもちょっと語釈で考えるとちょっと違う感じ……? こっちの語釈だと合うかな? ううむ……。といろいろ考える。でも、やっぱり矢晴は純のことが好きになってるんだね! と思うし、欲深く物欲しげによだれを垂らす大きな蟲がかわいらしくて、撫でたくなる。純の2次元でしか発言を聞いた後だと、余計に愛おしい。こんなに純を求めてぽってり大きくなったのに。

『矢晴〜』ってリビングに来て飲み物列挙する純が毎度かわいい。カフェインは避けてたりするかな? とか思ってたけど、ふつうにお茶、紅茶、カフェオレって入ってきててちょっとびっくりしつつ、しょうが湯、葛湯あたりのラインナップに、純、えらいな、と思ってたりする。まだまだ列挙しそうな『…』が気になる。でも、そんなにたくさんの中から選ぶのちょっと辛い。

矢晴の『いらない』に、残念そうな『あそぅ…』ってなってる純がかわいいんだ。

『純って恋人作らないの?』って質問しておきながら、『どうしてこんな質問するんだろう?』って思っちゃってる矢晴の裏腹具合がまた、好きなんだけど。ここでもやっぱり質問したかったことは別なんだろうかなあ、と【第15話】を読んだ後で見ると思う。純は『え〜?』『んー……』ってがんばって考えて答えてくれるけども。いやもう、あんた、まともに矢晴の質問に答えてはいないんだから、ここで「2次元しか相手にしたことない」とか言っちゃっててもよかったくない? まで思ったりした。よくないけど。

前日夜のチワワと、ここでの恋人関連の質問とで、矢晴の気持ちに対してなにかしらの見当つけてたりしたかどうか、知りたいわぁ……。

純に言われて素直に散歩に出てきてる矢晴がかわいい。【第15話】でこの同居1ヶ月目が『12月11日』と判明したから、12月初旬のそれなりに寒い時期。ニットの帽子が可愛い。結局景色に気を取られることなく頭の中に気を取られ。純は散歩をすすめたとき『落ち込んで怖いことばかり頭の中に浮かぶなら』と言っていて、矢晴が純のことばかり考えて囚われてるってことには気づいているのかいないのか。わっかんないなー。

するーっとコンビニに吸い込まれ、ドリンクの棚に行き、ナチュラルに酒を手に取り、『だめだよ』って純が現れる。この時点で矢晴が散歩に出かけてから30分くらい経ってるらしいけど、ほんと、純のタイミングが良すぎな感じで、そりゃ『ついてきたの?』になるわなあ、と思うし、矢晴も自分自身を責め立てちゃうよなあ……と思う。

矢晴の言葉を繰り返すところが、好き。というか、繰り返す表現が好き、というのか。うん、繰り返すところが好き。矢晴がうつ思考でぐるぐるしてるのか、ふだんからそういう繰り返すリズムが好きなのか、古印葵作品を読んで確かめたい。

公園でのふたりの会話は、わりと最初から最後まで好きだなあ、と思ってるんだけども。矢晴がどんどこ自分を責めて、純の言うことをどんどこ否定して行く感じとか。純が矢晴につられることなく、穏やかに対応してるところとか。好きだわ。

頭抱えて泣いてる矢晴の顔がかわいい!

『ハグしに来なよ』ってその今度はまだ来ないけど、【第15話】の様子では、矢晴がハグしに来るところも想像できんうえ、ほんとにハグしに来たらハグだけでは済まんだろうな……という気もしてしまう。

そしてまた、『人間ってみんなもともと子供だろ?』からの純がかっこよくて美人でたまらんのだが、純って、前々から思ってたりするけど、矢晴の質問や言うことにまともに答えたことないんじゃ……? という気がする。お風呂での『歪みって人間がもつ脳内フィルターだろ』もそうなんだけど。と並べてみたら、どっちも「人間」って大きなこと言ってて、【第8話】の『人間らしく振る舞わなくていいですよ!』はどこへいったんだ……? と思った。そもそも「人間」ってなんなんだ……? とも思うのだけど。ついでに、「人間」でどうのと見返してみると『恋人作らないの?』に対しても「人間の品定め」がどうのと返してる。そもそも「人間」ってなんなんだ……って哲学方向に行くのかな……寝室にニーチェあったし、矢晴も哲学好きそうだし。

純は矢晴の言うことに直接イエス・ノーで答えるじゃなく、自分の考えに引き寄せて真摯に話そうとしてる、とも見えるし、突き詰めないようにはぐらかしているようにも見えるし。どっちをはぐらかそうとしているのかと言えば、たぶん純自身じゃないかとも思えるけど。

どっちにしろ、純はけっこうしっかり矢晴と話をしようとしてくれてるなあ、と思う。憧れポーズで話聞いてたらしょっぱい対応されたから……?

そして、『――布団の中でパニックになるなら』『一緒に寝る?』って純の言葉に、矢晴の表情が良くて。「人の気も知らないで!」みたいな感情かしら……?

リアル調の心臓を食む蟲が不穏にも見えるけども、キタキター! って感じに受け取ってしまうな……やっぱり。

この蟲、【第15話】で純の2次元でしか発言でがっかりして、ベッド降りてどっか行こうとするんよな……というのも考え合わせると、本気で「キタキター!」みたいに思ってたのかも、という気になる。


前回と見方が変わったかな? というと、そんなにやっぱり変わらないけど、「人間とは」みたいなところに気づいた感じ。たぶん、もともとこの作品の根底にあるものなんだろうなと思うけど。哲学的な思想はそんなに好きでもないし嫌いでもないけども“哲学思想にかぶれた感じの人”は嫌いの部類だから、哲学なのかどうなのか、どう扱うのかでこの先の話を読んだときの自分の感情がどうなるのかは心配、かもしれない。


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