罪な男……

 純は古印葵のことが好きになって、古印葵を追いかけて、どうにかこうにかお近づきになろうとしたと思うんだけども。

同じ雑誌に載りたくて、月例賞に応募して。同じ雑誌でデビューできればなんかの機会に会えるかもしれないし。でも、純がデビューできたら、古印葵はどっか行っちゃって……。1度目の古印葵の喪失。

3年後に同じ雑誌に古印葵が戻ってきたけど、連載はすぐに終わっちゃって、その後の掲載もなしで消息も知れず……。2度目の古印葵の喪失。

古印葵に会えるかもって話になった編集部で担当から、「古印葵は死んでるかも」なんて聞かされて、恐ろしいまでの喪失感を抱かされ。

矢晴の預かり知らぬところでとはいえ、純を捨てまくってきたのは矢晴のほうではないか……、みたいな気分になっちゃう。

こうして並べると【第13話・前編】の純の回想シーンでの『今すぐ引きずり出さないとこの人本当に〈消える〉』が、これまでは喪失してもなにかしらまた出会えたりしてたし生きてるだろうと思ってたけど、本気で「死んでしまってこの世から消えてしまう」という現実を感じてしまったのよなあ……。すでに何度も喪失を味わってるわけだし、あれこれ考える余裕もなくなるのもわかるわぁ。

純が「一生一緒にいてくれる相手が欲しい」って気持ちからの『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』だとしても、やっぱり、古印葵を失いたくないが主で、自分の欲は二の次になってたと思うなあ。


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