四階

 矢晴は、四階に編集部で罵詈雑言を言われて、純にやり込められているところを見ただけ。

純は、編集部に出入りする中で、たまにしゃべったりもしている感じで担当との話の中で四階の話題が出たときに『愉快でおしゃべりな人ってイメージしかなかったですけど』と言っていて、担当から純の知らない社内での四階の様子を聞いたりしていて。

情報量としては、純のほうが矢晴よりも圧倒的に多い。むしろ、矢晴のなかの四階は低解像度を遥かに下回るようなモザイクではないかな。

矢晴は純に『考えろ!!』『どうして四階はクソになったか?』と言うけども、実際は「四階個人」の話はしてない。

そもそも、ここの話、『不出来が原因で歪んだ思考が』という始まり方に、私はちょっとなにか、なんだろう……物申したい……? けど、まとまらない、みたいなところがある。

「人に嫌われる言動をするから誰も助けてくれない」は「愛されない弱者は救われない」に通じる話ではあると思うのだけども、なんだろうかな、ここの矢晴の話は私には「人間はみな平等に愛されるように不出来や歪みは矯正するべく介入すべき」みたいに聞こえてしまって、いるような気がする。

ここの話の核は、「四階みたいに攻撃的な人間になる」とか「四階みたいに人に嫌われる人間になる」なんだろうな、とは思うのだけど、クソの代表にされている四階がちょっと不憫に思えたりはする。ただまあ、純が『治療が必要だと思いますけど…』というくらいに歪んでしまった人間として描かれて、純と矢晴がともに知っている事例になるのだから仕方ない。

【第6話】で四階の話をあんなにページ数割いてやってたの、ここにつながるわけね〜といまさらながらに納得したりしている。


純は矢晴の話に『矢晴は……』『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』『相手の脳を再現することだよ』と言うけども、この時の純は矢晴が四階のすべてを理解して語っているみたいに見えてるのかな? と思うと、純の言う“再現”についてもちょっとじっくり聞きたくなる。この子はなんか、言葉がいろいろ違う気がする。だから、「古印葵の言葉を着たい」になるのか……と、納得もする。


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