助けない

 矢晴は、うつによる思考でもあるのか、「人を信じない」純のことも信じてない。そしてまた、「人は人を助けない」と思っている気がする。「善意は存在しない」とも思ってるのかなー? と思える。そんでもって、理想として「人は善意でもってすべての人に救いの手を差し伸べるべき」みたいな思いにも囚われてそう。

純自身は、古印葵への愛だとか好きな気持ちからのエゴ、我欲といったところから矢晴を助けたい、困窮から救いたい、と思っていると思うのだけども、矢晴には、何もかも信じられない状態であろうから、「善意で人を助ける人間は存在しない」から「純はなにかしらの欲望でもって矢晴を利用しようとしている」という考えになっているんじゃないかなー? と思える。そして矢晴としては「それが性欲であればいい」と思っているとは思うんだけど。

純の言う“慈愛”は矢晴の思う「慈愛」ではないけども、そもそも、純が矢晴を助ける動機に「慈愛」はない。純の行動の動機としてはまず第一に「大好きな古印葵を助けたい」第二に「あわよくば一生一緒にいて欲しい」になるのかなー?

純自身が孤独になりたくなくて、矢晴を利用しようとしてるなら、ここまで健康に気遣うこともないんじゃ……? とも思えるけども、寿命を縮ませるような状態を継続させると一緒にいられる期間も短くなっちゃうしな……とは思う。

矢晴の言った『愛される弱者しか救われないって話ですか?』はずっといろいろと形を変えて表現されてる気がするんだけども。

世の中、他人や社会的弱者が救われるかどうかとかはどうでもいいけど、純は矢晴のことが好きだからいろんなことから助けたいという我欲でしかないわけよ……と、思うので、矢晴もそれに甘えてくれてもいいのにな……と思っちゃう。

矢晴が他人に善意を振りまきたいんだったら純に頼って元気になってからやればいいじゃん? とは思うんだけど、でも実際のところ矢晴もそこまでの善意持ち合わせてないと思うんだよねえ……。自分に善意がないから純から施される善意のようなものが嫌なのかなー。


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