辞書

 純の言葉が、かなり矢晴の辞書と意味合いが乖離している言葉が多くあり。

たぶん、世間一般に流通している辞書とも意味合いが乖離してるんじゃないのかな、純の辞書。

共通の意味でもって言葉をかわさないと、お互いに相手の言っていることに対して違う意味合いで受け取ってしまうわけだし。この子たちのなかで共通してるのは漫画を描くという部分だけだわね……とは思うんだけども。

純が、「古印葵の言葉を着たい」というのが、「古印葵の言葉で思考したい」なのか「古印葵の名付けたもので自身を構成したい」なのかもよくわからなくなってきたんだけども、純の頭の中の辞書が古印葵の言葉の解釈で占められているにしても、なんだか矢晴と意思疎通できてない感じが強く。

古印葵の言葉で思考したいだったとしても、古印葵の言葉を解釈して再定義して自分の辞書に書き込んだその「解釈、再定義」にはすでに純自身が持っている辞書を使っているから、古印葵の言葉で思考する以前に、別の言葉で思考してしまっていて……と。結局のところ、生まれてすぐから古印葵の言葉で育てられてない現状、どうしたって、古印葵の言葉で思考することはムリなわけよね、とは思う。

純は『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』から『私はあなたの言葉が着たい』だと、「正しい正しくないに関わらず」古印葵の名付けたもので自身を構成したい、感じではある。

古印葵が名付けたのならなんでもいい、わけでもないとは思えるけども。古印葵が名前をつけて、それを純が気に入ったから、じゃあそれにする、感じ。

だから純の辞書はおかしくなるんだよ。矢晴と話が通じなくなるんだよ。という気分にはなる。

とりあえず、純は“慈愛”と“再現”について、矢晴とよく話して言葉の意味をすり合わせるか、本職のカウンセラーにその父親を亡くしたあたりの話をして気持ちの整理を手伝ってもらったほうがいいんじゃないかと思ったりもする。


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