【感想】第15話 蓮華座・ロンリネス
\祝/600記事目!
思いの外はやくに【第16話】が来てしまい、【第15話】の感想も変わってしまいそうな衝撃の展開だったし、来る前に感想書きたかった気持ちもあれど。
600記事目に感想を上げるつもりで、感想を書く。(この16話にどっぷり浸かりたいけど浸かれない浸かりたくない感じ、ううううん)感想ってどんな感じで書いてたっけと、【第14話】の感想見たら400記事目とか言ってて、え、間に200記事あんの!? と別の衝撃を受けてきた。
「14話まではほのぼのライフ」のほのぼのライフが終わってしまった【第15話 蓮華座・ロンリネス】。なかなかの急展開。
表紙は菩薩の純が怯える矢晴を手に乗せて愛で、食べてしまう。矢晴の心象であるのか、純が矢晴を取り込んでしまう示唆であるのか。純は菩薩的な善人ではないということか。私には解釈しきらないので色んな人の解釈を聞いてみたいところ。
本編は【第14話】での『一緒に寝る?』からの続き。矢晴の衝撃を受けた表情が何を思っていたのかも語られず、さくっと『修学旅行の夜みたいで楽しそうじゃん!』と軽く始まる。
【第16話】まで読んでしまった現在、修学旅行……ううう……だったらよかったのに……まで思うが、それはそれとして。
かなりコミカルな、ほのぼのライフの続きのような雰囲気で純の寝室に。矢晴は湯冷めの予防で厚着している。ここまでの着込み方だと、純の服を着込んでいるのか……? というサイズ感。
純の寝室に入ると柄の大きな壁紙が目に飛び込み、その中央に額に入った蝶の絵なのか標本なのかが象徴的ではある。
小さな本棚に古印葵の単行本がしっかり並んでいて、かなり読み込んだ形跡もあるのが、純がほんとに古印葵のファンなのだということが実感できる。矢晴にもそれ見て実感して欲しいと思うがちらりとでも見てくれたのかどうかすらわからない。矢晴はなんの反応もしてないし、このところの数話の描かれ方だと、状況説明的に見てないものも差し込まれるから。
純の大きなベッドを矢晴が『お前のベッド私の前の家くらいあるじゃん』って、さすがにそれは大きすぎな気がするけども、かなり大きいベッド。『寝相がベイブレードだから広くないと落ちちゃうの』と言うが、純のこの身長で寝相がそんなでは、この家を建てる前はどんな寝方をしていたのか気になってしまった。かわいい。
布団に入るからと湯冷め予防の厚着を脱がされ、もこもこ状態から普段のガリガリ姿を『濡れた長毛種だ』と形容するのが楽しい、かわいい。
『純のベッドで失禁したらどうしよう……』『え? 別にいいよ!』の会話が好き。矢晴はかなりの恥の意識があるけども、純は無頓着な感じ。ほんとにそうなったとしても、純は矢晴を責めたりしないんだろうな、という安心感はあるんだけど、矢晴には通じない。
矢晴は純がどうしてそんな介護みたいな世話ができるのか聞くけども、本当に聞きたいことは別にあって、でも飲み込んで。純は突き詰めて考えると自分の元気がなくなるからと答え。お互い、本音を言えてない感じにはなってるんだけども、矢晴がちゃんと聞かないから違う答えが返ってきてるだけなんだが……という気はする。でも、純も本音から微妙にズラした答えをしそうで、どっちもどっちな気分にはなる。
純の『具体的に考えると狭義的になる』のところで溶けているような「小乗」の文字。個人的に西遊記が好きな関係もあって、つい最近、玄奘のリアル旅を描いた映画作品を見たのだけど、小乗は解脱がどうので、大乗は大衆を救うみたいな感じのことは言っていて、なるほどわからん、みたいな気分ではあるけども、狭く個人と広く大勢のあれそれってことで? という感じに思ったりした余談。だって、純は自分の好きな矢晴以外助けたいと思ってないだろうし、むしろ純が全方位に善人だったらやだわぁ……って思っちゃうんだ、私は。
そして始まる“湯冷め”の時間。自律神経の異常での体温低下で純が知ってる湯冷めじゃない矢晴の状態に焦ってる純がかわいい。『ごめんね手袋も靴下もダウンも脱がして』『着て』って震える声になってるところもかわいいし、あれこれ考えてハイチュウ食べさせたり自分の体で暖を取らせようとするのも良い。純、かわいい。
純の露出した肌に釘付けになり、素肌に触れさせられて『もっと触って』って言われちゃった矢晴の背中から這い出る蟲が、矢晴の持つ“きたない”欲望になるのかなー、矢晴の恋心なのかなー、と。両方かな。
純の『キンキンに冷えた瓶コーラだ〜』からの矢晴の体温変化実況がかわいい。
なにが作用してか純のおかげか純のせいか、普段は3時間耐えてるらしい“湯冷め”が15分で済んだというのに、矢晴は『……襲われるのかと思った……』とは何たる言い草か、みたいな気分にもなるのだけども。そこに投下される爆弾発言。
『私生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』
で、矢晴の顔が。布団から抜け出てベッドを降りる蟲が。そういえば改めて気づいたけども、蟲のサイズがずいぶんと小さく……。簡略表現とかなのかなあ? とそんなに気にしてないのだけど、今回の蟲は目がちょっといやらしい感じでコミカルにかわいい。
蟲が出ていって、でも純の言葉は続いていて、『けど』『矢晴が望めばなんでもするよ』と矢晴が確認しようと振り向いた先には超エロカッコイイ純の顔が! 顔がエロい! かっこいい!
矢晴の目の中に蟲が戻ってぐるぐるで。
矢晴の目がぐるぐるしてるときは、かなり囚われてまともでない時だよねえ、というこれまでの話の経験から、このエロかっこいい純も、その後の矢晴の話も、あんまり信用できない。理路整然と話しているようでいて、やっぱりたいがい思い込みと決めつけになってるし。
純の約束とお父さんと友達の話も、純の性格形成にかなりの歪をもたらしてた感じで、矢晴のぐるぐると純の“慈愛”でなかなかにして大変な……。という展開が、それでも激昂した矢晴の顔がかっこよくて好きなのだけども。
『もうそれ性欲だろ』と矢晴が言ったから、【第16話】で純の性的傾向が語られた後では、『えっ』からの赤面して俯いての表情変化は「〈それ〉があるって認めてくれるの? え〜わ〜そっか〜キャー」みたいな感じだろうか。
性欲ではないものを性欲だとパッケージにしてラベルを貼った矢晴と、〈それ〉が何より欲しかった純と。いつでも純が欲しい言葉をくれるのは古印先生で。
『古印先生……』『私』『それがいいな』と恍惚の表情の純の背景は額縁のように縁取る細工物のような蓮の花。
かなり歪んだ純の言葉と表情に、BL的な、性的なあれそれが!? と期待してしまいながら、【第15話】が終わる。
……このラストページと、【第16話】の表紙を合わせてみると、むっちゃ幸せな中で純が昇天してしまった気持ちになる……。死んでおる……。
- 純と一緒に寝ることになった矢晴。湯冷め防止の厚着をして、夜10時5分頃に純の寝室へ。
- 純とベッドに入り、おしゃべり。なんで介護できるの? と聞く矢晴。何度も聞かれると苦しい、と言いながらも答える純。
- 矢晴の“湯冷め”
- 震える矢晴を温めるために、自身の肌に触れさせて暖を取らせようとする純。
- 純に抱きしめられて矢晴の背中から這い出る大きな蟲。
- 襲われることを警戒していた矢晴に『2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』と朗らかに言う純。ベッドから抜け出しどこかへ行く蟲。
- 『矢晴が望むならなんでもするよ』と言う純の言葉に振り向いた矢晴の目に戻る蟲。
- 純の父親とその友人の話。「死ぬまで孤独じゃなくなる約束」「慈愛」
- 激昂する矢晴。『逃がしたくない支配欲と執着の過ぎた好意が同時にあったら』『もうそれ性欲だろ』
- 恍惚として矢晴の手を握り『私』『それがいいな』と告げる純。
エロカッコイイ純はエロカッコイイ……。激昂している矢晴もかっこいい……。今回ふたりともえらいかっこいいな……。ラストの純はかわいいし。
純の父親とその友人の関係への憧れなのかなんなのか、純が求めているものは『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』ができる相手で、そういう関係になるのが理想で、その相手は矢晴がいいと思っているのか誰でもいいのか定かではないが。生涯一緒にいられる相手、死んでも一緒にいられる相手、「蓮の台の半座を分かつ」ことができる相手が欲しいのに、純は孤独でロンリネス、ということなのかなあー? と思うタイトル、【蓮華座・ロンリネス】。矢晴の『きったねえ欲望を蓮華座に乗せてんじゃねーよ糞野郎』の罵倒も効いてる【蓮華座・ロンリネス】。毎度のことながら、言葉のセンスがすごすぎる……。
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