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筆先で

 【第6話】の『あなたが写真を撮らなくなったのは』『いつから?』『あなたが筆先で見せてくれた忘れたくないものは』『ここにあるのか?』と、矢晴の惨状を目の当たりにして純が思っているところが好きで。 この「筆先で見せてくれた」って言い方が、たまらん。 ここらへん、ほんとに純がちゃんと古印葵の漫画が大好きって感じがするし。それをさらに上回る感じで「古印葵という作家(福田矢晴)」のことを考えてる感じが、好き。 描き出された漫画とか古印葵の世界とかにも増して、矢晴の「忘れたくないと思ったモノや感情」の方に、純の興味が向いているように思う。 作品を超えて作者である古印葵に惹かれて、授賞式で矢晴本人を見て、スピーチ聞いて、もっと惹かれたんだろうなあ。 いやはやもう、こんなに古印葵の世界に魅了されてたはずなのに、なんなんだ、あの狂い方は。ふんまにもう。矢晴が言ったから、古印葵が言ったから、ってよりも、自分の欲しい言葉が降ってきたから飛びついちゃって矢晴もなんもかんも放り投げてたみたいなもんじゃないのか? 純ったら、なんでそんなことに……。

薬の時間

 矢晴がどんな薬をどんな時間で飲んでるのかはよくわからないのだけども。 同居初日の夜には睡眠薬を多めに飲んでて。同居7日目には朝、薬とサプリと飲んでて。同居1ヶ月目には夕食後の薬を飲み忘れてて。 睡眠薬と抗うつ剤とは違うものだろうかな? とか思うけど、同居開始〜のあたりでは矢晴の持ってた薬はネットで買ったものだから飲み方もデタラメになってたのかも? とか思う。 同居3週間ちょっとくらいに純が矢晴を病院に連れて行って断酒を褒められて、という状態だから、そこで薬の見直しとか飲み方が変わった可能性はあって。 抗うつ剤みたいのは飲み続けることで体内の薬量が安定して効いてくる、というのだから飲み忘れとか続くとてきめんに悪影響になりそうな。病症が強く出るってのはそういうことであろうかな、と思うのだけど。 矢晴の薬は朝晩飲むタイプであるのか1日1回夕食後のみであるのか、もよくわかんないけど。 夕食後のみの服薬であったら、前日に薬飲んだ後に焼酎1リットルくらい摂取してて、薬の作用が不安定になってしまっているところに、当日の薬の飲み忘れでは、薬で安定させていたはずの精神ぐっちゃぐちゃであろうかな。昼のパニックもその不安定なところが引き起こしたかしら。 朝晩飲むタイプだったとして、矢晴は夕食後に薬飲んで焼酎ガッツリ飲んで、朝には「昼まで寝かせて」と純を追い返したから朝の薬飲んでなくて。それを昼食時に時間ズレたけどと飲んだのかどうかもわかんないけども、時間がズレたことでやっぱり体内の薬量が不安定にはなってそうなところでの、夜の薬の飲み忘れかな。朝の分すら飲んでないなら、これまた大変そうな……? 病院行って薬をちゃんと医師の処方による定量で飲み始めて1週間ほどでの再飲酒と飲み忘れと気圧のあれそれと、飲酒したことで起こした粗相とか純と一緒に寝ることの緊張やら何やら、いやもういろいろ重なりすぎてて大変だよね、矢晴。

夕食後

 比較的、矢晴がまともに活動できるのは夕方〜夜寝る前までの間なのかな? とは思ってる。 朝は台車で運ばれる程度に起きれなくてぐだぐだで。これはまあ、夜寝ようとしてとりあえず妄想に苛まれ、そして湯冷めで3時間、とかやってたら、眠れるの明け方とかしててもおかしくないし、そんな明け方に寝てだと朝起こされても起きれんし。 純としては、夜の睡眠に自然に誘導されるようにとりあえず朝のうちに日光に当てたいから矢晴が眠かろうがなんだろうが、まずは起こして日に当てて。その後、自分の仕事中にでも矢晴が昼寝してればいいかな、とか思ってるのかな。 矢晴は朝食と朝の分の薬を飲んで、純の仕事中はベッドでぐだぐだしてるかなんかして。昼食後、純の仕事中はベッドでぐだぐだしてるかなんかして。あと純とおしゃべりできたらおしゃべりして。かな。 純が夜更かししない子だから、夕食〜お風呂〜就寝まで、はやいのかな? とか思ったけども、引越し当日のお風呂は日付変わる前後だったし、1ヶ月目は夜10時ごろに「早いけど横になるか」と言うくらいだから、普段から寝るのは11時くらいにはなっていそうな……? 【第16話】で薬の飲み忘れに気づく回想が「2時間前」とあったから、とりあえず寝室に入る2時間前(3時間前)としてみると夕食が7時〜くらい? とは思える。 夕食前からリビングで純と矢晴とふたりで過ごすのかなー? 夕食後はいつもふたりでテレビ見るのかなー? とか思ったけど、前日は純がリビングでビデオ通話してるのを矢晴は廊下で180分も待ってるんだったわ……と思うと、夕食後7時半くらいから純が通話始めたとして終わったの10時半〜くらい? 矢晴はその後逃げ出して酒買って、純はお風呂入ってパジャマに着替えて。 当日は、純と一緒にテレビ見てて、ずっと一緒にいるんだなあって思ったけど、矢晴は自分の部屋(ベッド)が使えないんだから純と一緒にいるしかないんだったな! と思い至り。とはいえ、たぶん前日の純がリビングで長時間のビデオ通話のが例外で、夕食後はそれなりに団欒の時間を設けていそうな気がする、純。 夕食後、ソファーでふたり並んでテレビ見る日常ってとても素敵ね、と思う。

 矢晴の蟲は純の二次元でしか発言で出ていってしまったけども、純のエロカッコイイ顔に当てられて目の中でぐるぐるしたりして。 【第16話】では純視点だから矢晴の蟲は出てこないのだけど、あの『矢晴が契約書になる?』のところでは、矢晴の目はまた蟲でぐるぐるしてたりしてたんだろうか。 【第15話】の『なんでもするし』『なにしてもいいよ』があんなにエロっちかったのは矢晴の欲目があったのかどうなのか、あったかもだけど、【第16話】でエロっちい契約書持ちかけた純は純も自覚してエロっちかったと思うんだけども。純は矢晴の気持ちわかっててあんなこと言ってんの? ねえねえ、気になる! 純の部屋には、蝶の絵なのか標本なのか、額入りの3匹の蝶が飾られていて。 矢晴の蟲もいつか蝶になって羽ばたいてくれるんだよね? と期待するんだけど、それがいつになるのやら。 矢晴の蟲が矢晴の性欲とかを示しているなら、純とイチャコラできるようになったら蛹になって、純と結ばれた時に蝶になるのかな? とか期待してみたり。 それはそれとして、バタフライキスという睫毛でするキスがあるけども、純と矢晴でしてくれまいか、と思ったりした。

〓〓同人みたいに!

 とか、なんとか、ちょっと思ったりした、矢晴の反応。 純もたぶん2次元で抜く的に性的なことはまあまあわかってて、二次創作してたり同人誌作ったりもしててコミケ出てて、なら、それなりに面妖本のお世話になっててもおかしくないのかなー? とか思ったりもして。それなりにそこらで盛り上がってる言葉は知っててもおかしくないのかなーみたいに思ったりして。矢晴の反応に対してそんなこと思ったりしたりしないかな? とかちょっと思ったりもした。 でも矢晴のほうは、同人系あんまりやってなさげな雰囲気があるなあ、とは思ったり。矢晴がもし創作系で同人活動できてたら、ここまで追い詰められなかったのでは……? とかも思ったりした。でもたぶん、B誌で連載とるためのネタ出しネームづくりなどなどの時間でいっぱいいっぱいだから、そういう活動に割く時間もなくしてたんだろうなとも思う。 漫画読めなくなるまでの期間も短すぎな感じがあるから、なにをそんなに焦っていたんだろうかな、矢晴。 物語自体が創作BLだから、男が男に、だけども、矢晴自体が異性愛者のわりに純に性的に襲われると考えてしまう根拠はなんなんだ。なぜ純を同性愛者だと断定しているのだ、矢晴は。とかも考える。 「これとこれが同時にあるから性欲だ!」と言い放ったものの、相手は「人に欲情したことがない」とか言い出しよるから(言ってはないが)、矢晴の分析が完全な決めつけちっくになってしまってはいるものの。条件からしておかしい気がするから冷静な分析ではないのだろうけど。支配監禁執着とか並べると、〓〓同人みたいに! って思っちゃったりする。監禁までは言ってないけど。 純の距離感バグってる感じが矢晴には恋人以上の親密さの距離だったりするのかな。だから勘違いしちゃってるんかな。そもそも矢晴が男もイケルクチなのか、男に襲われた経験があるから純を警戒するのか。でも襲われた経験があって〜だと、もっと警戒感バリバリ出しててもおかしくないような気がするけど、結局どうなんだろうかな。 BL的には話が早くて助かるが。

再現

 純の言う“再現”は実際どんなものであろうかな。と考える。 技術的なこと自体は、仕組みを分析して理解できれば再現できる。四階の口調を真似たのも、再現であろうか。 なにがどう心を動かすのか、というのも分析しようと思えば分析できるものかと思う。分析できれば再現できるわけで。 純はそうやって分析と再現で、漫画を描いてきた、感じがするから、自身の情動を描き出す古印葵の漫画を読み解くだけの感情がないのかもしれない。感情はあれども、それを自身で分析、表現する術を持っていないというか。だからアシの木戸に『えー……もしかして先生って感情がない?』なんて失礼なこと言われてあの顔なんだろうな、と思ったりもするし、『私はあなたの言葉を着たい』になってしまうんだろうかな。 自分の心の中を見るのが嫌なんだろうかな、というのは、純が矢晴に言った『具体的に考えると狭義的になる』〜『自分の残酷さを直視しすぎると元気がなくなる』『元気がなくなることはしない』と自衛している感じ。 純は『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』『相手の脳を再現することだよ』と感動していて、『私は心を惹かれた相手やモノにしか〈それ〉ができないし』『矢晴に関しては底知れなくて把握しきれない』と言うけども、ここで純が言う「脳の再現」は「相手やモノに同調すること」だったりするのかな? 「相手の事情を考えること」だったりするのかな? よくわからない。共感とはまた違う、相手やモノのことを考える感じではあると思うのだけど。そこまでの深さはない感じがする。 矢晴の語りに感動してはいるけども、内容に心震わされたわけではないあたり、純のおかしさも際立つけれど。 「え、あんなクソ野郎の来し方行く末まで考えちゃうの? 矢晴、すげえ……」みたいな感じではあろうかな。矢晴の話は「四階個人の」というよりも「四階みたいなクソ野郎が作られる世の中」の話にはなってる気がするけど。 矢晴は純が見ようとしない深みまで見ている感じはするし、その深さが純の触れない部分に触れていくんだろうけど、純はその深さまで行けない(無意識の自衛がストッパーになっている)から、純にとっての矢晴は『矢晴に関しては底知れなくて把握しきれない』になるんだろうな、と思う。ここで言う「深み」は社会の裏側とかでなくて、感情のこと。 ただ、今の矢晴はネガティブの根が深すぎて、それにつ...

古印葵ファン

ここしばらくずっと自分が書いてきた感想などなどを読み返してるのだけど、途中からペースがおかしい感じではあるけども、文章にして頭の外に追い出すからわりと何度も同じ話をしてはいるけど、それなりに核心ついてたり完全に逸れてたりの感じがおもしろいなと思いつつ、今月あとちょっとで100記事になるんな……ということに気づいてしまった。今月前半は【第15話】の勢い衰えずでそれなりの記事数になってたけど、【第16話】についてもそれなりどころかの勢いにはなっていたのだな、と思う。 さて、古印葵ファンの純について。 純が今、古印葵をどのように好きなのかなにが好きなのかが、若干わからなくなるような狂い方をしてくれたので、純は果たして古印葵の漫画のファンなのかどうかまで疑問を持ち始めてしまった。 最初は、古印葵の漫画に心掴まれていたかと思うのだけど。矢晴は『漫画も』『忘れたくないと思ったモノや感情を取り込んで形にしてます』というから、純が惹かれているのは「古印葵の忘れたくないもの、感情」に惹かれていると思う。 技術的なところ(正解を選ぶペンタッチやらページ構成)なんかも憧れで理想で、とは言うけども、なによりも「古印葵の漫画を読むことが気持ちいい」というのが一番なんだろうと思うのだけど、「古印葵の漫画という形で触れる福田矢晴の世界」が好き、ということになるのかな。 大好きな作家の惨状を目の当たりにして、助け出して、身近に置いて。 『あなたの世界が好き』『けど描けとは言いません』『幸せになって欲しい』とか、『瓶の中身が漫画にならなくてもいい別のものでもいい』『けど開かないからって理由で瓶を放り投げるな!』『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』とか、『創作者のフィルターを通って濾過されたものが作品のこだわりとして表れる』『私は矢晴のフィルターが好きだよ』とか、折々、矢晴の世界があれば、漫画でなくてもいいのだとは言い続けている。 『ペンを持たせたり漫画の話をしたりしてますが』『辛くないですか?』と問いながらも、『それともただの私の欲望なのか』と純が古印葵の復活を夢見る欲を正直に告げていたり。 身近に置いたがゆえに、「古印葵の漫画のファン」だった純が、「漫画家古印葵を崇拝する狂信者」になったかというと、身近に置く前から狂信者だったよな、という気はするので、「崇拝する古印葵を生み出した福田矢晴...

ノベライズ

 【売れうつ】本編を、小説化してみたい気持ちがある、けど、こんだけ絵で語られてるものが小説になるのかどうか、というと表現しきれないだろうな、と思うけど、小説でも読んでみたい。 自分が、今もまだ、人の書いた文章をまともに読めない(昔は手当たり次第で小説読んでたけど、今は読める文章の人はプロで1人、アマで1人くらい)ので、誰かが、もしくは作者自ら、小説化してくれたとしても、読めるかどうか……と悩んでしまうと、自分が読める自分の文章で書きたくなる。読みたいから。 ただ【売れうつ】の本編そのまま文章化しても、矢晴の思考も思想もかなり薄味になりそうな気がするから、表現媒体を変えるならいっそ純視点で紡がれる物語に仕立てたほうがいいんじゃないかなー? みたいな気はする。 それはそれとして。 わりと【売れうつ】の感想にも、「漫画なのに小説を読んだみたいな読後感」とか「純文学」とか「哲学」とか言われる方が多いし、小説を愛好する方へ特にすすめるコメントなんかも見かけたりもして、かなり小説的ではあるんだろうな、と思える。 矢晴が長尺しゃべるのを差っ引いても、狭い空間のふたりの会話劇とモノローグだから、文字数多くて、文章多め、となるからか。心情描写がリアルであるからか。 古印葵の漫画も、純文学的なのかもしれないな、と思うし、矢晴の中がそこまで言葉で溢れているなら小説やってもいいんじゃない? とも思ったりもする。でも、その溢れる言葉をとことん削って絵に昇華するのが、古印葵の漫画なのだろうな。 なんとなく、矢晴が原作で純が作画するみたいな共作とかしてみてもいいんじゃないかな、みたいに思ったりもした。純と矢晴でプロット交換して描くとかも、純が古印葵の真髄に触れられそうでいいんじゃないかと思ったりもする。

純の恋愛

 以前からずっと、純は恋愛できないのでは? とか、ソウイウ方面に気持ちが動かない人では? とか、思ってはいたけれども。 こう、無垢というか、「恋愛を知らない」とか「奥手」とか悩みを伴わない方向で考えていたので、純が『別にできなくてかまわない』『別に大丈夫』『たぶん、大丈夫』『  』などと、全然だいじょうぶじゃなさそうな悩みを伴っているとなると、狼狽えてしまう。 あんまりきゃーきゃーはしゃげなくなるので。 性欲自体は二次元で抜いて発散する程度には「ある」ということにはなると思うんだけども。 人間を特別視する、面に関しては20歳ごろから古印葵に夢中なのだから、ここ6年、古印葵以上の人に会えてないなら、特別視できるような人に巡り合っていないだけ、と思う。 「人に欲情すること」を意識しだした思春期から20歳までの間も、単純に出会いがなかった、とかありそうではあるけども。思春期14歳〜くらいとして、考えると、眼鏡くんが初恋で初恋と気付かぬうちに失ったのを引きずっていて、次の恋が芽生えなかった、みたいなことはあってもおかしくなさげ、かな? とは思う。 2次元でむっちゃ興奮して欲情してるけど、3次元見るとうんともすんとも、なのかどうかもよくわからんが。 純の「欲情」がどのレベルの話をしてるのかもよくわからんし、純の言葉は定義、語釈が違いそうだから、「欲情」を「欲情」としていいのかどうかもわからん。わからん……。 恋して、愛して、気持ち高まって欲情して、という段階をすっ飛ばして、「欲情しないと生涯孤独」という悩みに突き進んでいるような気がするんだが。 単純にグラビアとかAVとかで友達が欲情して抜いてるらしい話を聞いても、3次元だから全然興味なくて欲情しなくて、純は2次元派だから、で済んでしまいそうな気もするし。 仲良くて心通わせられる人(友達)がいても、しょせん友達だからその友達に「恋人」や「伴侶」が出来てしまえばそっちに行ってしまう。自分が欲情できないばかりに友達を引き留められない……だとおかしな話になるな。 友達は〈それ〉ができるからずっと一緒にいられる人を得られるけど自分は〈それ〉ができないから一緒にいられる人を得られない……。ううん。 恋人らしきものをつくっても純が欲情できないからフラレ続ける、という経験があるなら、〈それ〉ができるかできないか、で判断してもよさそう...

あなたと君

 純は、古印葵と福田矢晴を区別している、感じはある。というか、勝手にスイッチされてるんだろうかな、とも思う。 矢晴のことを古印先生として認識してしまうと、崇め奉ってしまうからか、知能指数がだだ下がり、「古印先生」「あなた」と呼ぶ。 矢晴のことを矢晴として認識している時は、「矢晴」「君」と呼ぶ感じ。特に「君」と呼ぶ時は矢晴個人に対して、純が真剣に話していることが多いと思う。そして純の頭がいい。 古印先生が大好きで脳みそ足りなくなる純もかわいいけども、矢晴を任せるにはしっかりしてるほうの純がいいわけで。 古印葵の漫画を初めて読んだときにはあんなにがんばって分析しようとしてざっぱにくくって思考停止したくないとか思ってたのに、今はもうなんだか古印葵本人を前にして思考放棄してしまっているのはなぜなんだ。恋は盲目というけども、あまりにも愚かになりすぎではないのか、純。 そんなだから矢晴にあんなにしょっぱい対応されたり、怒られたりするんだぞ。ふだんはもっとちゃんと考えてるじゃないか。がんばれ。

辞書

 純の言葉が、かなり矢晴の辞書と意味合いが乖離している言葉が多くあり。 たぶん、世間一般に流通している辞書とも意味合いが乖離してるんじゃないのかな、純の辞書。 共通の意味でもって言葉をかわさないと、お互いに相手の言っていることに対して違う意味合いで受け取ってしまうわけだし。この子たちのなかで共通してるのは漫画を描くという部分だけだわね……とは思うんだけども。 純が、「古印葵の言葉を着たい」というのが、「古印葵の言葉で思考したい」なのか「古印葵の名付けたもので自身を構成したい」なのかもよくわからなくなってきたんだけども、純の頭の中の辞書が古印葵の言葉の解釈で占められているにしても、なんだか矢晴と意思疎通できてない感じが強く。 古印葵の言葉で思考したいだったとしても、古印葵の言葉を解釈して再定義して自分の辞書に書き込んだその「解釈、再定義」にはすでに純自身が持っている辞書を使っているから、古印葵の言葉で思考する以前に、別の言葉で思考してしまっていて……と。結局のところ、生まれてすぐから古印葵の言葉で育てられてない現状、どうしたって、古印葵の言葉で思考することはムリなわけよね、とは思う。 純は『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』から『私はあなたの言葉が着たい』だと、「正しい正しくないに関わらず」古印葵の名付けたもので自身を構成したい、感じではある。 古印葵が名付けたのならなんでもいい、わけでもないとは思えるけども。古印葵が名前をつけて、それを純が気に入ったから、じゃあそれにする、感じ。 だから純の辞書はおかしくなるんだよ。矢晴と話が通じなくなるんだよ。という気分にはなる。 とりあえず、純は“慈愛”と“再現”について、矢晴とよく話して言葉の意味をすり合わせるか、本職のカウンセラーにその父親を亡くしたあたりの話をして気持ちの整理を手伝ってもらったほうがいいんじゃないかと思ったりもする。

作家さんの

 作家さんが【第16話】のキャプションで、本業と趣味の漫画とのことを簡潔に説明してくれて本業アカウントと趣味のアカウントを紐付けない理由も簡潔に。それでもまあ、たぶん、作家さんが期待するようには扱われていないのだろうなと思うのだけども、作家さん自身、そうやって扱われてしまうのもわかっているというか想定済みなのかもな、と思ったりもする。 作家さんが本業を明かした、というか、「見ればわかる」答え合わせを本業のアカウントに残していたのは最初にトレンド入りした2021/5/4〜【第5話】公開時のキャプションで。 当時は「続きが読みたいなら作家さんの本業名を明かさないように」と注意して回るような人もいたり、特に気にせず「〇〇先生だよね」「〇〇先生っぽい」と言っている人もいたり。作風を変えているわけでもないから、作家さん本人は「作家バレしている」と【第5話】公開時には認識していた。 その後は特に本業アカウントと趣味の漫画を紐づけるようなこともしていなかったけど、本業の連載作の読者コメントにちらほらと趣味の漫画のことが書かれてしまったりしていた。 11月の更新時に、暗号のように本業アカウントで更新のお知らせがあり。 12月には更新とともに、キャプションで「本業で本が出ました」とお知らせされていたので、作家さん自身が趣味の漫画のアカウントで、本業を公開されたのは2021/12/11。至極やんわりと「本垢に凸ってくんな(超意訳)」と添えられていた。 その本業の宣伝も、年明け早々の更新時に書き換えられていたので、その22日間で読んでいない方は、「「すでに本業を公開されていた」という事実を知らない」、ということになる。(それを知らないで煽るようなことを言っている方を見かけると「情弱乙」とか密かに思っている) そこから長く更新が停まっていて、間で、「次の更新はたぶん4月」というお知らせが本業アカウントでされていたけども、これもまた、「わかる人にはわかる」書かれ方とさりげなさで、痺れる。 予告通りの4月の更新で、久しぶりの更新ということもあってかトレンド入りしてしまい。キャプションでは簡単に「本業作もよろしく」されていた。ここで「初めて本業公開した」と思っている方も多く見かけた。「隠すのやめたのかw」的なコメントもちらほら。 あと、トレンド入りすると、読者層ではない人にも届いてしまう...

ぐずぐずに

 ぐずぐずに泣いて純に縋って純が自分を見てくれなきゃヤダヤダ、一番大事にしてほしい云々言ってるみたいな矢晴の話をずっとちゃんと聞きながらどんどんキュンキュンしてく純を見たいものだが、そこで欲情されては困るな、とも思う。ずっと我慢してくれるなら欲情していただいてもいいのだけど。矢晴が大丈夫だったらそのまま致してくれてもいいのだけども。 純はどんくらい矢晴のことが好きなのか、はっきりしてほしいが、矢晴がどんだけ純のことが好きなのかはっきりするほうが先だよな、とは思う。でも、たぶん純が先に好きって言わないと矢晴は好きって言わないかなー。もー。 あああ、次の話でぐずぐずに泣いてる矢晴を見たい。ぐずぐずに泣いてる矢晴を膝に乗せて抱いてる純を見たい。見たい、見たい、見たいー! そんなシーンがあったらいいなあ。

助けない

 矢晴は、うつによる思考でもあるのか、「人を信じない」純のことも信じてない。そしてまた、「人は人を助けない」と思っている気がする。「善意は存在しない」とも思ってるのかなー? と思える。そんでもって、理想として「人は善意でもってすべての人に救いの手を差し伸べるべき」みたいな思いにも囚われてそう。 純自身は、古印葵への愛だとか好きな気持ちからのエゴ、我欲といったところから矢晴を助けたい、困窮から救いたい、と思っていると思うのだけども、矢晴には、何もかも信じられない状態であろうから、「善意で人を助ける人間は存在しない」から「純はなにかしらの欲望でもって矢晴を利用しようとしている」という考えになっているんじゃないかなー? と思える。そして矢晴としては「それが性欲であればいい」と思っているとは思うんだけど。 純の言う“慈愛”は矢晴の思う「慈愛」ではないけども、そもそも、純が矢晴を助ける動機に「慈愛」はない。純の行動の動機としてはまず第一に「大好きな古印葵を助けたい」第二に「あわよくば一生一緒にいて欲しい」になるのかなー? 純自身が孤独になりたくなくて、矢晴を利用しようとしてるなら、ここまで健康に気遣うこともないんじゃ……? とも思えるけども、寿命を縮ませるような状態を継続させると一緒にいられる期間も短くなっちゃうしな……とは思う。 矢晴の言った『愛される弱者しか救われないって話ですか?』はずっといろいろと形を変えて表現されてる気がするんだけども。 世の中、他人や社会的弱者が救われるかどうかとかはどうでもいいけど、純は矢晴のことが好きだからいろんなことから助けたいという我欲でしかないわけよ……と、思うので、矢晴もそれに甘えてくれてもいいのにな……と思っちゃう。 矢晴が他人に善意を振りまきたいんだったら純に頼って元気になってからやればいいじゃん? とは思うんだけど、でも実際のところ矢晴もそこまでの善意持ち合わせてないと思うんだよねえ……。自分に善意がないから純から施される善意のようなものが嫌なのかなー。

【感想】第16話 上薗純、曰く その(4)

 思いがけず早い更新、思いがけず純曰く、そして、思いもよらなかった純の傾向で、かなり動揺しながらも、なんだかんだと落ち着いてきたので、感想書く前に更新が来た、ということがないように先に感想を書こうと思う。 はてさて、【第16話 上薗純、曰く その(4)】 表紙の全開の幸せそうな笑顔の純が花に埋もれて、棺桶にいるような気がしてしまう切り取られ方のカットに純の先行きに不安を感じる。以前の純曰く(1)(2)で見せた憂いを帯びたシリアスな表情に比べて、かなり知能指数の下がった風味の全開の笑顔。これはこれでかわいいけども。 花に関しても知識がほぼなく、また絵になってしまうと余計に判別がつかないので、純を取り囲む花々にもなにかしらの意味が込められているのかもな、とは思うが、よくわからない。 そして、本編。 『実在する人間に欲情したことがない』というセクシュアリティに関する悩みであるのかどうなのか、ちょっと保留しておきたい気分になるモノローグから、純のこれまでの心境が語られて、「他人をもっと特別に見たい」「ずっと一緒に居られる人がほしい」といった純の望みが語られる。 「ずっと一緒に居られる人がほしい」=「死ぬまで孤独じゃなくなる約束ができる相手」ではあろうけども、純はなんだかいろいろ順番ごっちゃでとっちらかってる感じがする。 【第15話】で矢晴に『もうそれ性欲だろ』と、思春期からこれまでの人生で渇望していたラベルをもらったからか、『もう何も怖くない』という思考とともに『私』『それがいいな』と。矢晴視点からは恍惚とした表情だったけども、純視点では自身の表情に関する認識がないからか黒ベタで。 純はなにが怖いんだろう……とは、ずっと思うのだけど、孤独が怖いのか、他者と違うことが怖いのか……。 驚いたような怯えたような表情の矢晴が怒りを取り戻して殴る。『ムニッ』がえらいことかわいい。手加減したのかどうなのか、非力。たまらん。 矢晴は『違うなら違うって言えよ!』と言うけども、違うと言われたらどう思うんだろうか……安心するのか? そうだって言われても違うって言われても、矢晴にとっちゃどっちもドツボな気がするんだけど、さすがに純は軽く想定を超えてくる。 『正しい正しくないの話じゃない』〜『私はあなたの言葉を着たい』と、古印葵への狂信、狂気が恐ろしい。ただなあ……、古印葵の言葉で思考した...

価値基準

 矢晴にとって、自身の価値は、0かマイナス。人間として何も生み出さず、稼げず。承認と対価を得る活動ができなくなってて、純になにもかも依存して生かされてるだけの社会のお荷物、みたいに思ってそう。 純にとっての矢晴の存在は、対価の上限がないくらいに高価値な気がするんだけども。 「0か100か」は典型的な認知の歪みになるのだろうけど、矢晴は過去作ですら純の稼ぎに遠く及ばない発行部数だから、完全に無価値(0)として扱ってる気がする。 発行部数自体、「それを求める人間が何人いるのか」っていう承認が目に見える形になってわかりやすい指標になってるから、自身の自己肯定がなかったり自己評価の基準がなくなってたりすれば、そういうわかりやすい指標を物差しにしてしまうのもわからんでもないが。 矢晴が純と同じ王道バトル漫画をやってるなら、一応の目安にはなりそうだけども。かといって、別にうん万部、うん十万部と売上げなければ存在価値がないという話でもなし。 純にとって矢晴は唯一無二で、ほんのりそれを感じ取って、やや自己肯定が育ち始めたところで純に『それに私は大きい家に好きな人を集めて一緒に暮らすのが夢なんだ!』って言われて『自分の価値がすごく下がった気分になるのはなんでだ?』と、また自身の価値評価が0になって。 今は、純にすら嫌われる存在に成り下がった、成り果てた、みたいに思ってるだろうけども。 純に嫌われる(0)、純に好かれる(100)みたいな思考になるのも、ちょっと大変なんじゃないかなーと思ったりもする。

比喩表現

 Twitterで興味深い考察を見かけて、なるほどなるほどと思いながら、違うことを考える。 純の言葉の比喩表現。 顕著なのは【第13話】の過去回想の『マイナス思考で頭の中がからまったイヤホンケーブルみたいになっちゃいます』と、同居21日目の『固い瓶のフタは急に開く!』だろうかな? わりと独特な比喩表現を使うな、という印象はある。漫画のセリフっぽくもある。 矢晴が比喩表現を使うのは【第13話】の『水面のない海で溺れてる時知識なんてほとんど無力です』、【第16話】の壊れた車の話。どちらも純視点。 とすると、純曰くは、上薗純の語りによって矢晴の言葉も脚色されているかもしれないな、とも思える。 漫画として演出されている上に、キャラクターそれぞれの語る話としての脚色が違って、とか漫画がうめえ……としか言えないが。 これが実は矢晴視点と思っている話を純が描いていて、純曰くを矢晴が描いている、だったりしてもおもしろいかな、と思い始める。 矢晴視点のほうが「言葉が親切」だから、というだけのことだけども。 でも、矢晴は【第11話】で『こっちの脳はまだ5駅前で停まってるのに』とか『新幹線(こ)の席は暖かくて座り心地が良いせいか』と言っていたりするし、純が矢晴に言った『マイナス思考で頭の中がからまったイヤホンケーブルみたいになっちゃいます』『目の前にあるものを意識してみてください』は矢晴視点で『その絡まったイヤホンケーブルみたいな頭の中を見てないで』『目の前だけを見てください』と変換されているものの、言葉が同じだから、純の言った「からまったイヤホンケーブル」なんだよなあ、と、浮かんだ仮説はすぐに却下されることとなる。 やっぱり古印葵は比喩使わないで、矢晴と純は比喩使う、みたいな感じだったりするんだろうか。 純のその独特な比喩表現は誰の影響なんだろう……? と新たな疑問を。

次の話

 矢晴が純に縋った次の話が、気になるなる。 さすがに1週2週では次の話は来ないだろうなあと思うのだけど、気になる気持ちはわかるし、わかる、はよ読みたい。 【第16話】で純に対して恐怖を感じる理由を明らかにして、純から約束もらえたんだから、次の話では、矢晴がなぜ酒を飲んでしまったのかの話を純にしてあげてほしい。そしてそれは必然的に、矢晴の純への気持ちを告白することになるからさー。 もう、はやいとこ矢晴から純に告白しとこ? それからじゃないと純は矢晴への気持ちがどんなものかって考えないからね! 純が「矢晴が言ったからそれは性欲」と思ったとしても、矢晴が望まなければ実践にまで至らない気がするし。兎にも角にも、矢晴からでないと話が進まん気がする。 勢い余って矢晴が押し倒して行為に及ぼうとするのに、純の純はうんともすんとも……ってところも見たくなってきた……。 あと、見上げた矢晴のかっこよさに惚れ惚れして反応しちゃって「嘘つきめ」とか言われちゃってるような純も見たいかもしれん。 はー……、ガタイいいのにかわいい攻めに、小さいのに強くてかっこいい受け……いいわぁ……。

もうそれ性欲だろ

 と、矢晴が言った。 矢晴には「離したくない独占欲」と「依存を超えた好意」があると思うのだけど、それもやっぱり「性欲」に集約されそうな。 もともと性的に意識してるの矢晴だけだしなあ……。 純は、とりあえず自認している傾向的には、矢晴にすら性欲を抱いていない・欲情することがない、にはなるけど、もともと馴れ馴れしいからかボディタッチが過剰だし、ふつうに愛情込めてハグするから、ボディタッチが苦手な矢晴はそれを「性的なアプローチ」ととらえてもおかしくないのかも、とは思える。 尊敬やら憧れやら大事にしたい思いから抱きしめたりする純と、ボディタッチ自体に不慣れで、相手の身体を触るのは性的な行為のときだけみたいな状態だったかもしれない矢晴では、純の行為に性的なものを感じちゃうかなー、矢晴。 同居してからのボディタッチでは、純自身が『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えてて、より一層、愛情込めたボディタッチにはなってたかと思うけど。 でも、それ以前に同居当日の夜に襲われるーーって思い込んだ矢晴が逃げてるから、3日目夜にそう考えてる純が性的に思えるようなねちっこい触り方してきたから意識しだした、というわけでもないあたり。矢晴よ……。 そして、『もしかしてこれが…目的ですか?』と言う矢晴の言葉にまったくピンと来ない感じの純がまたかわいいんだけど。純め……。なんだよ、『あれれ???』って、こんちくしょうめ。『そっちからよりかかったんじゃ?』とか、てやんでえ。てやんでえ…………うぅ……。 それにしても、矢晴は同居してからの1ヶ月、純に触られるたびに「えっちだ……」とか思って過ごしてきたのかしら。一番えっちな感じだったの同居6日目だけどなあ……。あれは平気そうだったのに……。 違う話になるけども、純が矢晴の療養計画立ててる時に矢晴のことを指す言葉として「彼」と言ってるのが好きで。「あの人」みたいな遠さのない、「古印先生」と崇めるでもない、かなり自分に近い位置に置いているような「彼」。今時期の矢晴に対しての「君」と並んで、好き。 矢晴は純を「あいつ」と言うのに対して、純は矢晴を「彼」と言う。矢晴は純に「お前」と言うのに対して、純は矢晴に「君」と言う。良いわぁ。

なにが重要か

 【第15話】の『……なんでお前全部平気なんだ?』という矢晴の問いに『なにが重要かは人によって違うからじゃない?』と答える純が好きで。 純視点で見る矢晴もけっこうえげつない雰囲気がありーの、矢晴視点で見る矢晴もそれなりにクズな部分が見えーの、みたいな感じで、よくこんなんで純は矢晴に幻滅しないな……と思えたりもするのだけども、純にとっては矢晴の人間性のうちのクズな部分はその魅力の前に些末なことなのであろうかな、と思える。 矢晴が失禁して、汚物に塗れたとしても、洗えば済むし、と思っていそうだし。矢晴にとっては、洗えば済む、という問題ではないのだろうから純が『え? 別にいいよ!』と言ったのに対してあんな顔になるのだろうけど。 その後の会話で、矢晴は純に「なんで純は私の世話ができるの? 好きなの?」と聞きたい感じの質問をしてるけど、「他人を」「赤の他人の」とか言わないで、ストレートに聞けばいいのにねえ……と、今も思う。 けど、純はこの矢晴の質問を「チワワ何匹」「恋人は」と同列に見てないというか関連してると思いもしない感じだから、矢晴が純に好意を超えたものを持ち始めてる、とは認識してないのかなーみたいな感じがする。 純にとってはお互いの好意が合致するよりも、矢晴が安心して過ごせるほうが重要かしら? とは思える。この家で安心して過ごせると矢晴が認識してくれれば、ずっと居てくれるわけだし。 キミたち、ふたりとも、遠回りし過ぎだよ! みたいな気分にもなるけども。 矢晴にとって重要なのは、純が矢晴を矢晴個人として好きになってくれるかどうか、な気がするけど。矢晴が気づいてないだけで十分矢晴個人として好きな気がするけど、純にとってはいまのところ「人間に欲情しない」認識があって、矢晴にも欲情してないらしいから、矢晴はそれは不満なんじゃ……? とも思える。 純の官能スイッチどこだ? って思うと、それは古印葵の漫画だよなあ……とは思えて……。 とりあえず、純が古印葵の漫画で抜いてる現場を矢晴に目撃されて欲しい……。

ジャンルの

 それぞれジャンルによって定義がある。 数多ある恋愛小説のなかで、「ロマンス小説」というからにはハッピーエンドでなければならない。とか。ハッピーエンドじゃないならロマンス小説じゃない、とかの話題はちょっと前に見かけた。 「BL」は「ボーイズラブ」だから、「男性同士の恋愛・性愛」が描かれるもの、と認識している。性愛については、とりあえず置いておいても、恋愛は欲しい。 そして、「ブロマンス」については、「男性同士の度を超えた友情と信頼関係」だけども、恋愛・性愛には発展しないものだから、BLをブロマンスと言われると私は怒りがわく。 ついでに、私はその設定に恐ろしく拒絶反応を抱くので好んで読むことをしないが、オメガバースなんかは、本国のスラッシュ愛好家(腐女子)のうちの「左右固定派」が攻めと受けを固定化するためにひねり出したものかと思うので、日本の腐女子が攻め受けの設定をわやくちゃにしているのを見かけると、ちょっとかわいそうになるし、それはジャンルとして異端で冒涜で、ジャンルを名乗ってはならんものになっているかと思う。 という、前置きが長くなった。 とりあえず、今回【第16話】で、まだこの先ちゃんとBL展開ができそうな余地はあるにせよ、私がひどく狼狽えてしまったのは「ボーイズラブで同性愛以外のセクシュアリティがぶっこまれるとは思っていなかった」からではある。もしかしたら、探せば実はあるのかもしれないけども。 恋愛物語の主人公が恋愛不能者だったりしたら、その時点で物語が破綻してやしないか……? となるし。とはいえ、愛を知らないものが愛を知っていく物語、はわりと多くあるかな、とは思うので、描きようではあると思うのだけど。 描きようではあると思うのだけども…………、むずかしかろうもん……?

似たようなことを

 『けど この先 私がお前の好きな何かを』『ある程度の知能を使ってボロクソに言った時』『お前の目から私が幼児に見えなくなった時』『お前はあの時みたいに後先考えずに頭の回転早くして言葉だけ探してボロカスに言い返す! そんで「矢晴、今、四階みたいだな」って思うんだ!』 と、かなり被害妄想入りつつ、純の反応を決めつけつつ、可能性に怯えている矢晴だけども、「矢晴が純の好きな何かを侮辱する」的なことは、すでにやってんだよな……と、思ったりした。 ただ、似たようなこと、とは思えるけども、「矢晴が純の好きなものを扱き下ろして侮辱する」のと、「矢晴が純の好きな古印葵を捨て去ろうとした」は違うっちゃ違うので比較対象でもないが、「矢晴が純の好きなものを〜」的には似たような部類に入れちゃってもいいかなーくらいに思ったり。 その時の純は語気は荒くなれども、矢晴に古印葵を放り投げることを思い留まらせる感じに必死な説得にはなってたけど。 ここからかなあ? 純が矢晴のことを「君」と呼び始めるのは。と思うくらい、ここも重大な転機にはなってると思うんだけども。 もし、今後、矢晴が純の好きなものを扱き下ろして侮辱したとして、純はどんな反応をするだろうか、は、わかんねえなあ……としか言えないけど。 同じものが好きじゃないことに寂しそうな反応はしそうかな? 純が四階にしたのは、自分の好きなものをボロカス言われたから、だけではない気がするからそのままの反応を矢晴に対してするのかどうか、というと違う対応にはなりそうだしねえ……。 「矢晴を助けた」「古印葵を守った」「四階の社会不適合な部分を指摘した」純の対応については欠落した状態で、矢晴の恐怖心になってるかなーって思うから、矢晴が思うような『後先考えずに頭の回転早くして言葉だけ探してボロカスに言い返す!』とはならんとは思うんだけどなー……。うーん……。 後先考えてないのは矢晴だろうに……と思うけど、それは矢晴も自覚してどんどこ自分を責める材料にはしてるなあ。大変だよなあ……。

好きすぎてパート12

 【売れうつ】全体好きだけど、好きすぎて、好きと嫌いの乱高下みたいなことになってるなと思っている。 嫌いという嫌いではないけども、穏やかでいられない感情というのだろうか、なんだろう。 思考と感情を外に出そうとキーボード叩いてるから、以前に書いたことを忘れていることも多いので、前にこんなこと書いたっけ? なんて書いたっけ? と探して読んだり。このタイトルって何のこと書いてたっけ? と読んでみるとタイトルから想像できることでないことを書いていたり。わりと自分でズラしてるところもあるのだけど、後で読み返した時に騙された気分にもなる。書いている内容には頷くことしかないんだけど。そりゃあ自分の考えしか書いてないから。 わりと1話おきくらいに、感情が高ぶりすぎてフルスロットルになるのと、落ち着いてるより落ち込んでいて比較すれば少ないな、みたいな放出量の差があるなと思っていて。今回の【第16話】は少なめ方面のような気がしている。けど、多いは多い。 いい加減落ち着いて、1日1個程度になろうかな、と思っている今日もすでにいくつめだ、みたいな状態で。 後になればなるほど、先の話で語られたことが鮮明になったり、詳細になったり、影響してきたり、があるから、振り返る量も増えるなあ、とは思う。書きながら自分の気持ちと読んだ話を整理しているわけだし。 普段の思考が毎日毎日24時間みっちり「死んでほしい」と「死にたい」の間に、去年から「売れうつ大好き」が挟まっていて、たぶん売れうつのことを考えているときだけが生きてるんじゃないかと思うんだけど。その全体が、自分の“壊れた車”なんだろうなと思う。それはそれでもう手遅れなので壊れたままでいいかなと思っている。 もし自分に純のような存在が現れたらずぶずぶに甘えて何もしないでズルく生きていくだろうから、甘えてしまうことに抵抗を示す矢晴はすごいな、と思ってもいる。

電気ケトル

 なんか純の家の電気ケトル、うちにあるのと同系統のやつな雰囲気……とコーヒーを淹れるためにお湯を沸かしながら思っていた今。 電気ケトルなんだったら、その場で沸かせばいいじゃないか、とも思うんだけど。 たぶん、薬飲むためだけのコップ一杯分のある程度冷めたお湯、が欲しかったんだろうなと思うと、沸かしたてのお湯では不向きだし、余剰が出るし。それだけだったらレンチンのがいいんだろうなあと思ったりもするけども、今どき「チンッ」って鳴るレンジはないのでは……? と明後日にも行く。結局、純すらも忘れてしまったんだから、悪手だったレンチン。矢晴が忘れてしまっても純は覚えておけ……。 矢晴が薬を飲むのに白湯で、というのは良いことだなあと思ってるんだけど、「薬をお湯で飲むなんてヤバイ」というのも見かけて。その「ヤバイ」が「とてもいい」なのか「とても悪い」なのかで違うけど、どっちだろ? と思ったりもしている。 もともと矢晴の部屋に用意されてる小さい冷蔵庫のなかの水は、薬飲むときとかにも使ってね、って話だったけど、白湯に切り替えたのはいつからだろうかな? 夕食後の薬はその場で白湯で、それ以外のときは冷蔵庫の冷たい水だったり……? 純はやっぱり常温の水も用意してあげてほしいなと思ったりもするけれど。 ここで純すらもレンチンで作ったお湯の存在を忘れてしまったから、この先の服薬管理はもっと純もがんばって忘れないような仕組みを考えそう。がんばれよ、純。

この夜の

 同居1ヶ月目のこの夜の、寝室に向かってから矢晴が純を引き留めたこの時間までの2時間足らずで、純と矢晴の関係が大きく転換したというか、一歩前に進んだというか。 矢晴が純のことをなにが原因でどんなふうに怖いと思っているか、を話してくれたことで、とりあえずふたりの関係において、矢晴の恐怖を純が知ることができたし、純はそれをしないことを矢晴に約束した。 約束自体は、矢晴がその約束を信用できるかどうかにもなるけども、純はその都度、約束してくれると思うし。 純は純で、矢晴の言ったこととそれに対する自身の反応と自分の悩みとなんだかんだ、認識して、自分と矢晴と古印葵への崇拝・狂信を見つめ直すみたいなことができたのかなー? 結局のところ、まだまだ、お互いはっきりと話し合わなきゃいけなかったり、見つめ直して話したり、しなきゃいけないことはいろいろありそうなんだけど。と考えると、「セリフが多すぎて65話くらいに」はむっちゃ納得するし、そんだけこのふたりの会話が見れるのか〜と思うとむっちゃワクワクする。 矢晴は純のことが好きかどうかを話してやらなきゃならんし。 純は、自分の父親とその友人との関係について矢晴に解きほぐして説明してもらったほうがいいし。性欲と欲情と〈それ〉に関してのどうこうも、どうにかこうにか細分化してひとつずつ考えたほうがいいし。 矢晴は現状、病によってネガティブ方向への思考が止まらなくって壊れてる、みたいなところがあるけども、純は誰にも指摘されることがないけど壊れてるみたいな感じがあると思うし、自身が異常かもと思いながらもそれを表明できないから、と歪んでいく部分があるのかなーと思うからそこらへんを矢晴との関わり合いでどうにかこうにか……? 矢晴のほうが大変そうでいて、純のほうが抱えてるものは多すぎる感じがするわね。 そうなんだよ、むしろ、「人に嫌われる言動として発露」するほうが場合によっては助けてもらえるかもしれない(多くの場合嫌われるだけで助けられることはない)けど、どこにも発露しなくて静かに壊れてくことのが多いんじゃないのか……? と思うから、矢晴の四階の話はいまいち。たぶん四階に限定するために一側面を決めつけてる感じにしか思えないんだろうな、私には。 余談で終わった。

この世の基準を私寄りにするしかない

 という、かなり傲慢な純の思考。それによって行なった古印葵の布教活動はけちょんけちょんな結果に終わって、純は「古印葵を認めない世の中が悪い」方向に思考が行ってたと思うんだけども。 それだけ自分自身に絶対の自信があるのかなーとかも思ってたんだけど。そこらへんも矢晴の言うところの“壊れた車”になるのかなー? とかも思う。 純は自分の精神衛生上、元気がなくなるようなことはしないと言う。嫌なことは深く突き詰めて考えないという性質を持ってるから、好きなこと好きなものは突き詰めて考えて再現できるようになりたいと思って考えるけど、嫌いなこと好ましくないと思うものは突き詰めて考えない。だから矢晴が四階のことを話したときには『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』と感動している。あんな嫌な奴のことまでそんなに深く考えるの? という衝撃と尊敬だろうかな。 純は、単純な考えなしと言うよりは、見たくないものから目を背けがち、といったところか。そこを「見ろ! 考えろ!」と迫るのはちょっと酷じゃあないですかね……矢晴さん……という気分にはなるけども。 今の矢晴は「古印葵だから」というのもあって、純に興味持たれてるけど、いつなんどき純の興味から外れるやも、という恐怖はやっぱりずっと矢晴のなかに在り続けそう。それは同居迫られた時に矢晴自身が言ったけど純に通じたのかどうかは謎い。いまのところ純が矢晴に幻滅した気配はない。 純は、矢晴に言われて理解できたことはしっかりと受け止めるし、矢晴と接する上で自分で気づいたことも受け止めてるから、矢晴が都度純の“壊れた車”を直していって、純も矢晴を治していくような感じになるのかなー。

死んだと思って…死んでない

 勝手な解釈、仮説によって、「純は、好きになった人が死ぬ・いなくなるから、それがトラウマで、人を好きにならないようにしている」として、【第4話】の『古印葵が死んだとしてもこうして話せるなら』と【第10話】の『まだ古印葵は死んでない』を思い出し、読み返し、勝手に感動を倍増させている。 自分が好きになった人はどんどん死んでく・いなくなってく、古印葵もいなくなった。病を得て古印葵は死んだと矢晴が言うけど、「古印葵という作家は死んでも福田矢晴は生きている」と「矢晴のなかで古印葵は生きている」のは、「純が好きになっても、相手は死なない・いなくならない・そばにいる」になるのかなーと思って。 矢晴の存在だけで、純をすでに救ってる、ということになるのかなーと思ったりして。 もし、こっから数ヶ月で矢晴が死んじゃったりしたら、純はもう一生誰も好きにならんのだろうな……とは思えるけども、2年以上かけて矢晴のことを幸せにするのは確定してるし、矢晴が幸せなら純も幸せだし、幸せになれるのねえ……と、未来に思いを馳せる。 違ったら違ったで問題ないけど、今はこの自分の解釈で、ちょっと幸せの道筋が見えてちょっとうれしい。

力の強さ

 矢晴が純に当たり散らしたのを純が『それがいいな』と受け取ってしまって、驚いたかそれ以上に怒りがわいたか、握られた手を振りほどき、それなりの勢いで純を殴る『ムニッ』というのがかわいくて。 純が飛んでくる拳に気づいて反射で避けたのもあるかもしれないけども、『ムニッ』となってしまうその非力さがかわいくて。 【第4話】では、『なんであなたがこんな目に合わなきゃいけないのか』『納得できない』〜『とにかくここにいちゃダメだ』とかなりの至近距離で純に迫られたのを、『ガッ』と振りほどいてる・押しのけているのを比較すると、かなり優しく殴ってるのが、かわいくて。 この後、純の思考では『これは慈愛』なんだよなあ、と読みながら純視点のことを思い出しつつ、さっき書いた「純が好きになるといなくなるトラウマ」を考え合わせたら、「純が個人的に好きだといなくなるから、広く大きく個人への愛ではない“慈愛”と思い込んで死なない・いなくならないように予防線を張っているつもり」なのでは? と思い至った。 話を戻す。 で、そんな非力な感じの矢晴が、【第16話】で純のパジャマの裾を掴んだ時の力強さよ……。と感動する。 軽く見積もっても、純の体重って矢晴の2倍近いでしょ? それをパジャマの裾を掴まれた純が『ぐっ』となって『び〜〜ん』ってなるの! 矢晴よ……がんばってるな……。と、うるうるくる上、あの表情が、も〜〜! かわいい! こんな必死に縋る矢晴見ちゃったら、純はすぐにでも矢晴のこと抱きしめちゃうでしょ! もっともっと愛おしくなるでしょ! とウキウキするけど、漫画の作りとして、毎度盛り上がりを一回落とされるからどうなるのかわからん……ドキドキする……。

問題の切り分け

 純はなんだかいろいろととっちらかってこんがらがってる感じがすごいする。 純自身、なんだか人を好きにならないようにしている感じがするのは、もしも学生時代の眼鏡くんが初恋だったら、「大好きなお父さんが死んだ」「好きになった眼鏡くんが死んだ」というのが深層でトラウマになってそうな気がする。そんでもって、「古印葵を好きになって追いかけてデビューして、古印葵に会えたら古印葵がいなくなった」んだから、より強固になりそうな、気もする。 「新しい家族が欲しいから人間に欲情しなきゃいけない」的な考え方も、「家族がほしい」の部分ですら、「同一戸籍に入れる婚姻関係を持てる相手が欲しい」のか「一生一緒に添い遂げられる相手が欲しい」のか「自分の血を分けた子供が欲しい」のかで、必要なものが変わってくる。 純は一人っ子だから、父親がすでに亡く、母親もそれなりの年齢で、自分が新たに家族を作らなければ一族がそこで途絶える可能性もあるけども。純にとっての家族は血を繋がなければ、よりは、自分自身の孤独に起因するみたいなところがある気がする。ので、「ずっと一緒にいられる誰かが欲しい」になるわけで。 「友達は〈それ〉ができるから、新しい家族を作ってそっちに行ってしまって、自分が孤独になる。自分は〈それ〉ができないから孤独」というのもやっぱりなんだか、〈それ〉ができるかできないか、に問題を集約させるのもおかしな話よね? とは思える。 人を好きになろうとしない、なら、欲情するほど好きな人間がいない、結果、これまで人間に欲情したことがない。ということにもなる。 純が無自覚で、矢晴のことを古印葵への崇拝以上に好きにならないようにしている、という可能性はあるかなーと思って。 2次元でしか抜かない、2次元にしか性欲が向かないのも、好きになったら失うかもしれない人間じゃないから安心とかいう逃避だったりしたりする? とかも思ったり。3次元よりも2次元が好き、はふつうにあっていいことでもあると思うし。 生まれつきの性的指向で「欲情しない・しにくい」のか、別の要因なのか、単純に好みの問題なのか。そもそも性欲があるのかないのか。家族がほしいのか、孤独になりたくないのか、好きな人と添い遂げたいのか。矢晴が好きなのか恋してるのか愛してるのか。 純のそういうとっちらかったところを、矢晴が解きほぐしてあげてほしいわぁ。

恋愛の

 創作BLだから、男性同士の恋愛物語を期待するわけですよ。 BLだからといって、別に性行為に発展するのが絶対というわけではないのでそっち方面はあったらいいなと思うけど、今のところ、純の『実在する人間に欲情したことがない』によって、性行為までは厳しそうだな……という気にはなってきて、まあそれはそれでいいけども、とどうにかこうにか、気持ちの整理がついてきたような、つかないような。(作家さん、その昔、超えっちい人外BL描かれてたらしいから、そっち方面も期待するじゃないですか。その人外BLもとても見たいと思うし! その時代に生きてなかったのが悔やまれるレベルっすよ!) でも、純は「欲情したことがない」って言ってるけど、「恋愛できない」とは言ってないから! 恋愛にはなるはず! まさか、看板に偽り在りなオチにはならんはず! と、踏みとどまっている感じ。 読み始めた初期、BLといえども、このふたりにはそういう方面なくてもいいな(性的消費したくないな)と思っていたのが嘘のように、できれば見たい、是非見たい……見せてくれ! になっている自分がおもしろいな、と思う。 そして、そういう方面の可能性が潰えた(ように思う)だけで、この狼狽えよう……。 そんでもって、純が「人間に欲情したことがない・しない」という話を聞いた時、矢晴はどんな反応をするんだろうかなあ? というのが、わりと不安な感じはある。 「二次元でしか抜かない」は、単純にオタクの好みの話で済ませれそうだけど、けっこうデリケートな話になっちゃうしなあ……。それを憐れまりたりしてもやだしなあ……とか、いろいろ考えちゃうけども、まあ今後の展開を待ちたいところ。 純の性的指向が、細分化されてるどこらへんなのかによってもいろいろ違ってくるように思うんだけども。 知性に欲情・恋愛するタイプの性的指向もあるというのを見かけて、純がそのタイプだったら、矢晴が古印葵として表出できる知性を失った時には純に捨てられちゃうんじゃ……? と思えたりもする。 あれとこれとは違う、と区別区分で細分化されて名前がついてるけども、それらにも当てはまらない場合だったらどうなるんだ……? とか思うと、矢晴が言ってた病気の話は純の性的指向にも当てはまる話になるのかなー。

生への執着

 生きていたいという気持ちがあるにはあるけど、それ以上に死にたい病なんだろうかな、と思うんだけども。 純は矢晴を生かすため、生存させるために、人間ドック連れてったり、病院通わせたり、いろいろ調べて勉強して世話をしてると思うのだけども。 たぶん、矢晴が純から「生きていろ」って言われたと認識できたのは、同居21日目なんだろうな、と思う。 同居を迫られたときには『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』って、現状この先1年も生きてないだろうと予想されるくらいの期間限定に思えただろうし、純の家で微睡んで穏やかな安らぎを得たときも『違う世界に来たみたいだ』『ここで死ぬならいいかもな』っていずれすぐ来る死の瞬間を迎える場所として選んだみたいなもんだし。 同居21日目に純から「どんな形でも生きていろ。瓶のフタが開くまで」と言われた感じには受け取っていると思うのだけども。 やっぱりあんときの矢晴、お前死ぬんか……? みたいな印象だったのあながち間違いでもなかったんだな。純のショックはそりゃあそう、くらいに。 とはいえ、やっぱり何も生み出さずに無益に生きてる、世話されてる現状は、嫌なんだろうなあ……、矢晴。 死にたい気持ちを引き留めてくれた人に懐いてる、感じにはなるのかなーって思うんだけども。純のことが好きになってるの。独占したい気持ちとかいろいろ欲深くなって、それがまた嫌なのかなー、浅ましくって。 それにしても、たった3週間で、矢晴を死から生へと反転させた純の手腕と魅力よ……。とか思うんだけども。それができるの純が矢晴にべったりしてても3ヶ月位はかかるかと思ってた。 そこは漫画的な超展開だったりする……?

要約すると

 編集部で四階に怒ってる純見たらむっちゃ怖くて、自分も四階みたいに攻撃されるかもしれないって思った。自分が壊れて四階みたいになったら純に絶対嫌われて攻撃されるし、純が四階みたいになったら自分を嫌って攻撃してくる。それが怖くて怖くて仕方ない。絶対そうならない確証なんてないんだから。でも、純に嫌われたくないし離れたくない。 ってことになるんだろうなと思うんだけども、回りくどいし、引き合いに出されてボロカスに言われてる四階がかわいそうになるくらいボロクソ言われてるなあ……という感想を持つのは異端であろうか。 矢晴ったら、純のことむっちゃ好きだよねえ。好きになったよねえ。 矢晴がもし性的にどうこうされるのが嫌な人であったら、現状、純が「人間に欲情しない」という性質はピッタリなんだけど。 性的にどうこうされる恐怖心があの蟲なんだったら、「二次元でしか抜かない」発言で矢晴が安心して、恐怖心が立ち去った、という読み方にはなると思うけど、でもなんか違うよね……。あの顔は安心した顔じゃぁない。

怒らない

 純は、矢晴に怒らない。矢晴がどんな失敗、失態をしても怒らない。 失敗、失態に対して怒る必要がないし、やってはダメなこと(酒を飲む)に関しては、穏やかに制止する。 矢晴は、たぶん、怒られる=自分を見てもらえる的に考えちゃってるような気が、する。気を引きたい子供が悪さするような。でも、怒られるのも怖くて嫌なの。 矢晴の思う怒られそうなことして、怒られるとかやっぱりダメ人間みたいに思って不安と恐怖でドキドキする感じ。純は怒らないからホッとするけど、今度は怒られないことにダメ人間だから相手にされないみたいに思ったりするみたいな。怒られたら「こんなダメ人間でも相手にしてくれる」って安心するのかな。 純の「怒らない」は「相手にしない」ってことじゃないけど、矢晴には「相手にされてない」ように思えてるのかな。純は怒らないけど放置もしないのに。 「幼児や病人として扱われて、一個人として相手にしてもらえてない」、「漫画家の古印葵は憧れの眼差しで見られてる」って感じだろうなーとは思うんだけど。 純に甘えて穏やかに過ごしたら、矢晴の失敗、失態も減る気がするんだけどなあ……、変に反発するから失敗したって思うんじゃないのか……? とか思ったりもするけども。 この矢晴の、怒られたいし怒られたくないし慰められたくないし優しくしてほしいし優しくされたくないし…………みたいなぐちゃぐちゃなの、むっちゃわかるけど、純はかなり良い対応をしてくれてる気がするんだー。たまに華麗に地雷踏むけど。 いやでも、矢晴の心のなかの、まともな足場のほうが少ない感じの地雷原で、たまにしか地雷踏んでかない純ってすごくないか……?

部屋を荒らしたのも

 怒られたかったからかー! と【第12話】を読んで改めて思う。お酒欲しくて探したのもあるんだろうかなとは思うけど。 この直前くらいが同居21日目になるはずで。純が矢晴の人生放棄するような投げやりな感じを、むっちゃ真剣に叱って引き留めたからだ。 また叱られたかったんだ。 たぶん、きっと。 とすると、同居21日目の『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』のシーンで切れた縄は、ほんとに矢晴の気持ちから「死」という選択肢がなくなったってことなのかもー! と、はしゃいでいる。 全然違うかもだけど。 ついでに、【第12話】で、矢晴に『それって普通だよみんなそうだもの』と語りかけ、『目に見える現れ方がみんな違うだけでさあ』と言ったところ。『身体の外側のことはいくらでも見せてよ』にもつながる言葉なんだろうけど、純は純自身の悩みの答えをすでに持っているんでは……? という気になった。 全然かけらも関連しないかもだけど。なんとなく。そう思った。ということを書き残して、後で関連してたら「やっぱりー」って喜んで、関連してなかったから素知らぬ顔をしようと思う。

■【売れうつ】の二次創作(26)(小説)

 こないだちらっと考えてた、純に「恋」という言葉を教える矢晴を考えてたけども、なんでか考えてた地の文が全部なくなって、方向性も違うものになってしまって、なんでだろうかな、と若干途方にくれている。 それなりにBLのを書きたかったのに……そのうちリトライできたらいいな。 ■

ストーリーの類型

 才能のある者を才能ある者が劣等感を持って羨望する、とか、羨望されている才能ある者が劣等感を感じている、とか、ストーリーの骨格なり外装なり、すでにあるものに照らし合わせれば、似たものの寄せ集めのようにも見えてしまうけど。 そういえば、なんとなく、矢晴が読んだ部分の「シヴァ・アンバー3巻」の『[原始動物に戻れば 幸福は一瞬にして達成し得る]』の部分、山月記の《己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。》に近い話? とか思ったりしたのを思い出した。 山月記もそこまで深く読み込んだわけではないけれど、よそに行って詩をつくり名を遺そうとしたけどうまくいかずに獣になって、その場に残って出世した友がどうこう、と。 A誌から去ってうまく行かずに病んだ矢晴と、A誌で売れっ子になった純、とかって照らし合わせればそれなりに類型になるかしら? と思った次第。 類型、というかオマージュ、下敷きかもしれないな、とも思ったりする。

漫画家と幼児と病人

 矢晴は純に自分のことを「福田矢晴」という個人の大人として見てもらいたいんだろうなあ。 純が漫画家・古印葵として矢晴を見てる時は、うっとりと憧れた顔してるけど、普段の矢晴にはふつうにニコニコしてるだけだし。 粗相しても怒られないから幼児扱いされてるとか、自力で動けない・食べれない時に世話されるのは赤ちゃん扱いされてるみたいだし、苦しんでる時背中さすってもらったりするのは病人扱いされてるみたいだもんね。 引っ越してきた時も、「矢晴さんが引っ越してきた〜」じゃなくって『憧れの古印先生がくるから! うれしくて!』って飛び跳ねてたし。え、でも、その時の矢晴ったら、むちゃくちゃ可愛い笑顔で微笑んでるじゃない……耳まで染めて照れちゃって……改めて見たらむちゃくちゃ美人でかわいいんだけど……あれ……こんなにかわいかった? 当時……あれ? え、マジで……? くらいかわいい……。なにこの可愛さ……。純のこと、むちゃくちゃ愛おしそうに見てない? ねえ……、かわいい……。 取り乱した。 なにもかも世話されるのはそりゃまあ大人としてちょっとイヤかもしんないけどさ。純がもし矢晴のこと叱ったら、「叱られた、ダメ人間だ、この世の終わりだ、死にたい」って方にいくだけじゃないの? 純に叱られなくたって自分責めるし、褒められたって自分責めるじゃん。 幼児や赤ちゃんみたいだって思ってるのは矢晴だけだと思うしさ、病人扱いされてるって病人なわけだし純の家で療養してるわけだからさー。そこはもう、純に身を任せちゃいなよー。 って矢晴に言いたい。 【第14話】〜で、純が矢晴のことを「君」って呼ぶのがとても好きなんだけど、かなり対等になってきた感じがするから、純が矢晴のことを「君」って呼ぶ時はむっちゃ矢晴個人を尊重してる感じがする。【第16話】の部屋から出る時の純なんかもう、たまらんくらい矢晴のこと大事にしてくれてて。いつから純は矢晴のことを「君」って呼ぶようになったんだろうなあ……。気になる。 あと、 純はこっそり矢晴の笑顔をかわいいって思ってるけど、口に出して「かわいい」って言わないのは、矢晴がそれを「子供みたいで」とか「赤ちゃんみたいで」って曲解するかもしれないからだったりする……? もういっそのこと毎日「矢晴がかわいい」「矢晴が好き」 って言ってあげたら矢晴うれしくなるんじゃないのー? って純に言い...

不純

 純は古印葵の漫画が好きになったときには、「欲情しない」悩みを持っていたはずで。 単純に、古印葵のファン、として追いかけてたけど、授賞式でその姿を見てさらに好きになったけど、彼女と一緒にいる矢晴を見て、「欲情できない“異常”な自分とは違う、古印葵は“正常”な人だ」と思ったりして、 矢晴のアパートで同居を迫った時に見下ろした泣いてる矢晴を見て、「自分と同じところに堕ちてきた」とかいう歪んだ欲望に取り憑かれちゃったとかしてない……? 『これは慈愛』の歪んだ正体、そんなだったりしないよね……? とか想像しちゃって、ワクドキしちゃった。 そんな感じのバッドエンド一直線系統も好きなもんで。

ドキドキして眠れない

 『ドキドキして眠れない』はもう恋だよ! 恋! その駆け出す足の勢いは恋だからな! でも、そこで彼女と一緒にいる矢晴を見て、恋の自覚が生まれる前に失恋してるのか……。 そこからずっと古印葵に一途だし、漫画家だから家にこもりっぱでアシも在宅デジアシだから、出会いもないし、合コンや婚活は好きじゃないし。 古印葵以上に心震わせる人との出会いがなければ、そりゃまあ、20歳以降のこの6年間だけで考えても、『実在する人間に欲情したことがない』にはなるなー。 思春期から古印葵に出会うまで、の期間についてはどうだったんだろうかな。 欲情しないから恋愛関係にならない、はそもそも順序がおかしいからなあ。 恋もしなけりゃ、人間の裸体にも興奮しない。2次元ならイケるのか……? これが「人間の女に欲情しなけりゃダメなんだ」みたいな思い込みから女しか見てこなくて、全然ピクリともしない自分は欠陥品、みたいなところで、実は男ならイケます、とかやられてもイヤなんよ……。無性愛の系統かと思ったら同性愛でした、とかイヤなんよ……。 たぶん私の想像なんかかすりもしない次元で、最高なものが出てくると思うんだけども。

仕立て屋さん

 アフゴン2巻の発売日なので予約したのを取りに行かねば……と思うのに、出かけられないでいる。 矢晴は言葉を紡いで服を仕立てる仕立て屋さんで、純はそれを買って着るだけの人なのね。というのが、『私はあなたの言葉を着たい』という純の言葉からの連想で。 矢晴にとっては、言葉は自分の内側から溢れ出るもので、それを考えて取捨選択して紡ぎ出すもの、という感じがする。 純にとっての言葉は『生まれた時人は服を着ていなかったように』『思考も言葉を持たずに生まれそして言葉を選んで着る』『人間の脳はそういうものだと思う』『私はあなたの言葉を着たい』というもの。自分で選ぶ、という時点で、すでに言葉と思考を獲得しているような気がするんだがなあ……。ついでにもう、古印葵に出会うまでの20年で、純の言葉の系統は完成されていたんでは……? とも思っちゃうし。 古印葵を紡ぎたい純にとっては、今までの人生で獲得した言葉では紡げないから、古印葵の言葉を着たい、のかな? と思える。今までの人生で獲得した言葉も、誰かの言葉で自分のじゃないみたいには思ってるのかな? 本の受け売り多いし。それが純の言うところの“再現”なのかも。そんなふうだから変なジャケット買わされるんだぞ? とかまで思った。 先の記事を書いた後、「純に恋を教える矢晴」が見たいなあ、とちょっと文章が頭に浮かんだのだけど、それでは結局、「矢晴の言葉を鵜呑みにする純」でしかなくて、たぶんそんなふうに「矢晴が純の心を解きほぐし、言葉で教える、伝える」という展開はないんだろうな、と思った。(それはそれとして見てみたい)

性欲

 矢晴は性欲を『きったねえ欲望』と形容し、純は「人に向ける」性欲を渇望している。 実際に純に芽生えるのかどうかはわからないけども、純の人格形成における“欠落”として『実在する人間に欲情したことがない』という純の性欲を、矢晴はどう受け止めるのかが気になる。 矢晴にとって、愛から生まれた性欲は“きれいなもの”で、支配欲と執着から生まれた性欲は“きたないもの”という区分なのかどうか。 この先の話でわかるんだろうなあ、と思うんだけども。 純自身に性欲がないのかどうかも疑問なんだけども。「2次元でしか抜いたことがない」というのが本当なら、性欲はある、自身が魅力を感じる媒体には欲情する、それが人に向かないだけ。という話で、別段、これまでそこまでの魅力を感じられる「人」に出会ったことがなかったから、欲情したことがなかっただけ、という話にはなる。話にはできる。 だから、「人に性欲を向けたい」という渇望が矢晴の口から『逃がしたくない支配欲と執着の過ぎた好意が同時にあったら』『もうそれ性欲だろ』と、前提条件を満たしているのかどうかは謎だけど、「人(矢晴)に対して性欲を向けている」認定されたのなら、それはそれは嬉しくなるか。そうなっちゃうか。 むしろ、矢晴が言った“性欲”を満たすために、前提条件をすべて満たそうまで出てきちゃうんじゃないか。それはヤバイだろ。とは思うけど、そういう方向の話にならなかったので一安心。 あと、『欲情したことがない』と言うけど、「恋愛がわからない」かどうかも謎だなあ。純はなんだか、まずはそこから、という気はする。 相手がもっと特別に見える=欲情、より前に、「恋」や「愛」の概念とか感情についてが問題な気がする。見た限りでは、絶対矢晴(古印葵)に恋してるし、愛情深いし。これまで人に強烈に惹かれることがなかった、とか、対人間への感情がそもそも希薄だけど興味はある、くらいだったりとか。「恋」や「愛」を経ないで一足飛びに「欲情」とか言ってるから、話がおかしくなるんじゃないのか、純? みたいな気分になってきた。 【第6話】のクラスメート、やっぱり純の初恋の相手だったんじゃないか……? 恋と自覚する前に相手が死んじゃったから、感情を確認する前に封印してしまったとか……と、どうにかBL展開に持っていけるようあれこれ考える。 あと、「人間に欲情しない」で考えられることとし...

怖いお前

 【第16話】で四階の話になったとき、なんか唐突だな……と思ったんだけども、【第15話】で『怖いお前は私の勘違いだって』『騙したな』『今度はちゃんとお前の顔を見てやるぞ騙せないようにな』『お前の本性気付かせてやる』からの『それがいいな』で【第16話】の『私はあなたの言葉を着たい』で、「矢晴が純に気付かせたかった本性」ではない「本性」が出てきて、毒気を抜かれて落ち着いて、議題が「怖いお前」にシフトしたからなんだな、と、今頃気づく。 性欲云々は間違ってたけど、純の本性は出てきたもんね。結果オーライ? でも、【第15話】で矢晴が見たのん、純の怖さじゃなくて、エロかっこよさじゃ……? 性的に襲われる、捕食される、攻撃される、怖い、みたいな感じの連想になるのかなー。 【第13話】で同居4日目に記憶の擦り合わせしたときは、【第7話】の純の印象と言動の記憶を正しただけだから、根本的なところはそのままだったもんね。 今回、なんで純が怖いのか、って話を受け止めた純が『言ってくれてありがとう』『私はなにがあっても矢晴を攻撃しないって約束するよ』って言ってくれたから、これから先は「怖いお前」は出てこなくなるのかなー? そう簡単には行かない気がするけど。 引き留めた矢晴の泣き顔がむっちゃかわいいから、泣きじゃくる矢晴をなだめながら一緒にキッチン行って薬飲ませてあげておくれな、純。

それ

 【第15話】【第16話】は『〈それ〉』という指示語が多くて、「〈それ〉」が指し示すものはそれぞれあれども、「〈それ〉」が本当には「何」なのか、はわからない。 純の頭のなかの辞書がよくわからないのは意図的にズラされているからなのか、純自身がそれらを表現する言葉を持っていないのか。 【第15話】で純が矢晴の言葉のなにをもって『それがいいな』になったのかもわからない。ピンポイントで「性欲」でいいのかどうか。「これとこれが同時にあるからそれは性欲」と矢晴は言ったから、矢晴の言う「性欲」が成り立つには条件が2つあることになる。純には「逃したくない支配欲」と「執着の過ぎた好意」があるのかどうか。執着の過ぎた好意は、確実にあるけども。 『実在する人間に欲情したことがない』に続く『〈それ〉』は「欲情すること」なのか。「性欲」=「実在する人間に欲情すること」でいいのかどうか。「誰かを特別に愛すること」のようにも思えるし、「人間と性行為をすること」のようにも思える。「家族」として「伴侶」がほしいだけなら、性行為は必要ないが、「自身の子供」が欲しいのなら「異性と性行為をすること」が必要になる。 『矢晴は…』『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』『相手の脳を再現することだよ』とここで「〈それ〉」=「相手の脳を再現すること」と言うけれど、私には矢晴が「四階の脳を再現して解き明かした」ようには思えないので、「〈それ〉」が本当に「相手の脳を再現すること」なのかどうかもわからない。 ここでは余談になるけれど、私には矢晴が言ったことが「人に嫌われる言動をすれば誰も助けてくれない、助けてくれない世間が悪い」と聞こえてくるし、そもそも矢晴も「助けない側」ではないか……? と思えるので(今病んでいて助けられる側であるということでなく)。実際なにをどう助ければいいのかもわからないが。本人の資質によるところを「不出来」として「矯正」すればいいのかどうか。矢晴の思い描く世界には、品行方正で博愛な善人しかいないのか? と極論に走りたくなる。 話を戻す。 純の言う「相手の脳を再現すること」がもしかしたら「共感」では……? と思ったけども、純は【第5話】で『人間ってあるあるネタとかモノマネ芸人が好きじゃない?』『共感することを好む生き物でしょ』と話しているので、純のなかに「共感」という言葉は存在して、ち...

矢晴には

 純は矢晴には攻撃的にならないよ! 信じてやれよ! と、ほんとに思うんだけど、矢晴だから信じてくれないのもわかるんだぁー。 純が四階をやりこめたのも、矢晴を守るためだったんだしさー? ちょっと過度に攻撃的でヤバイ奴認定できるくらいではあったけど。 将来的に、もしかしたら、なにかの拍子に反転してしまう可能性がまったくないとは言わんけど、今現在、矢晴のことを大事にしてて、古印葵を大事にしてる純は、矢晴には攻撃的にならないよー。 っても、矢晴はその可能性が怖いんだから、仕方ないよね……信じられないのも。 あと、やっぱり、「自分が古印葵じゃなくなったら、純が興味を失うだろう」ってところが一番怖いんだろうなあ、とも思う。もう純のことが好きになっちゃってるから。 そもそも古印葵じゃなかったら、純が興味を示してないわけだし。古印葵だったからうつを患って誰もいなくなったときに、純が現れたわけだし。 でもでも『古印葵が死んだとしてもこうして話せるなら』『私はあなたを一ミリも忘れたくない』『この世があなたを見放して孤独にさせたなら』『孤独があなたを殺そうとするなら』『私があなたを忘れないでいることで』『あなたを守ってあげられる』って純の気持ちと言葉は本物だから、思い出してあげてよ……、矢晴……。その直後に死ぬほど怖い思いしてるけどさ。 純は矢晴を守りたいんだよ。 『矢晴が契約書になる?』『ここに』『印鑑捺そうか』『ハンコもペンも使わずに…』ってうなじを触るけど、うなじへのキスは「守りたい」って意味があるという説もあるようだし(執着とか欲望とかの文字も見えたけど)。 もし、その知識(うなじへのキス=守りたい)を純が古印葵の漫画から得てたとしたら、いいのになあ……とかも思ったりする。共通言語になるし。

矢晴の説教

 便宜上、矢晴の話(饒舌に語ったり、激情に任せて訴えたりの長話)を“説教”と表現する。 私は、矢晴は好きだけども、矢晴の“説教”は嫌いなのかも、と思う。 心を抉られるから直視したくないとか、耳を塞ぎたいとかかもしれないし、作者の思想を矢晴を通して表現しているのが鼻につく、とかかもしれないし、正論だろうけど……と反発したい気持ちがあるからかもしれないし。ただ単純に、長台詞が嫌いなのかもしれないし。 と、理由を考えてみるけども、どれもしっくりは来ない。 全部が全部嫌い、というわけでもないと思うけど、どうだろなーって感じはある。 【第16話】の四階の話も、そもそも言い出しが、『あのクソ編集を……四階をお前がボロカスに言った時』とチクチク言葉満載で始まる話ではあるし。『どうして四階はクソになったか?』『不出来を他人に助けてもらえず壊れていったからだ』と、そもそも「四階はもとから壊れていたけど誰も援助しなかった」という前提が、ちょっと、なんだか、受け入れられない。 『不出来が原因で歪んだ思考が人に嫌われる言動として発露したら誰もそいつを助けようと思わない!』は、「愛されない弱者は救われない」に通じる話だけども、そもそも、周囲が「こいつはおかしい(不出来)」と気づくのは「嫌われる言動として発露した」後で、「そこで誰かが助ければ壊れた車を修理できる」「そこで誰も助けなければ誰も止めない壊れた車になる」という分岐があるんじゃないかしら? と、自分で書いていて、矢晴が最初に言っていた部分は、前提ではなくて、分岐のひとつ(誰も助けなかった場合)の結論だったのかな? と気づいた。 だからといって、やっぱり、矢晴が四階に寄り添ってバックグラウンドまで考えている優しい人、とは思えないんだけど……。人間誰しも壊れた車を持っていて、いつ何時四階みたいなクソになってもおかしくないぞって話だし。そもそも、四階みたいの初めて会う人種だったってあたりがひっかかるー。B誌の編集の色眼鏡も四階と同じ人種に思えるしー。 この矢晴の話を聞いた後だと、純が四階をこてんぱんにやりこめた攻撃性は、矢晴に罵詈雑言かました四階への単純な復讐ではあったけど、「不出来を指摘し気付かせた」行為にもなるからなあ……と思えて。ここまで育ってると手遅れではあるだろうけど。いやはや、四階、純の言うことに青ざめて上司に謝れ言われ...

生来の福田矢晴と古印葵

 純が惚れ込んでいるのは、古印葵の漫画ではあるけども、それを生み出す古印葵=福田矢晴にも相当惚れ込んでいると思う。 純が、矢晴のことを『古印葵福田矢晴は』『思っていたより饒舌だ』『あんなに饒舌なのに』『言葉を削って画で伝える漫画を描くのはそういう性格だからか』と【第13話】で語り、『古印先生の作品ってセリフが洗練されてて必要最小限で全部がちゃんと話にハマってて空気ができあがってて…』と【第3話】で褒めている。 だから、純が惚れ込んでいる古印葵の漫画の言葉部分は、矢晴が煮詰めて固めて厳選した矢晴の言葉のエッセンスになっているかと思う。 漫画のなかに描かれない言葉は画に込められていて。 そして、たぶん、普段から矢晴はかなり言葉を選んでしゃべる人でもあるかと思う。ただただ思うままに言葉を垂れ流すのではなくて。 そして純は『創作者のフィルターを通って濾過されたものが作品のこだわりとして表れる』『私は矢晴のフィルターが好きだよ』と、矢晴のフィルターを通して古印葵として出力されるものが好き、と言っている。 純は、【第15話】で寝室に向かった時には、「矢晴は薬を飲んでいて症状がマイナス20くらいにはおさまっている状態」と思っていただろうから、矢晴が純に対して言ったことを、「ある程度まともな矢晴=古印葵の言葉」として受け取ってしまったし、自分が一番求めている言葉が飛び出してきて、嬉しくて舞い上がってしまったし、という状態だろうかな。 矢晴が薬を飲んでいないことを思い出して、今の矢晴が「症状がマイナス100の状態かもっとマイナス」と気づき、「矢晴のフィルターを通って濾過されたものでない原液の言葉を古印葵の言葉として受け取り喜んでしまった」という感じで反省モードに入っているかな、と思う。 もともと矢晴のなかにはかなりいろいろなものが氾濫していると思う。それを、矢晴自身が出力する時に言葉を選んで表現できている状態が、生来の福田矢晴になるかと思う。そこからさらに言葉を削って表現したものが古印葵なのだから、純が惚れ込んでいる古印葵はあの寝室にいなかった、ということになるかな。 えい、もう、純のおバカ! でも気づけてえらいぞ!

罪な男……

 純は古印葵のことが好きになって、古印葵を追いかけて、どうにかこうにかお近づきになろうとしたと思うんだけども。 同じ雑誌に載りたくて、月例賞に応募して。同じ雑誌でデビューできればなんかの機会に会えるかもしれないし。でも、純がデビューできたら、古印葵はどっか行っちゃって……。1度目の古印葵の喪失。 3年後に同じ雑誌に古印葵が戻ってきたけど、連載はすぐに終わっちゃって、その後の掲載もなしで消息も知れず……。2度目の古印葵の喪失。 古印葵に会えるかもって話になった編集部で担当から、「古印葵は死んでるかも」なんて聞かされて、恐ろしいまでの喪失感を抱かされ。 矢晴の預かり知らぬところでとはいえ、純を捨てまくってきたのは矢晴のほうではないか……、みたいな気分になっちゃう。 こうして並べると【第13話・前編】の純の回想シーンでの『今すぐ引きずり出さないとこの人本当に〈消える〉』が、これまでは喪失してもなにかしらまた出会えたりしてたし生きてるだろうと思ってたけど、本気で「死んでしまってこの世から消えてしまう」という現実を感じてしまったのよなあ……。すでに何度も喪失を味わってるわけだし、あれこれ考える余裕もなくなるのもわかるわぁ。 純が「一生一緒にいてくれる相手が欲しい」って気持ちからの『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』だとしても、やっぱり、古印葵を失いたくないが主で、自分の欲は二の次になってたと思うなあ。

特別

 【第16話】で純の語りで『〈それ〉ができると他人がもっと特別に見えるらしい』と言っているから、ある程度、他人を「特別」に見れるのかな、と思う。 古印葵は格別に特別視しているし、心惹かれるもの、好きなものはふつうにあるし、友達になれる人間は他人と区別した特別だろうし。 純のセクシャリティの取り扱いがどんなものになるのかは、これからの展開次第になりそうだけども、恋愛感情や性的欲求を「人間に」抱かない・抱けないのか、これまでそこまでの対象に出会ったことがないのか。 2次元で抜く発言が、本当のことを言った(ここが晒した恥かしら?)としたら、「人間には」欲情しないけど、「2次元には」欲情できる、ということにはなる。そうなら、欲情がどんなものかは知っているけど、人間には欲情したことがない、ということになる。 3次元の人間よりも2次元のキャラクターのほうが好きとかはわりとふつうにわかるんだけどもなあ……とは思える。私も比較的オカズは2次元のほうがいいし。 人間は裏切るけど、2次元は裏切らない、みたいなことではないみたいだしな……、純。 人間は好きだけど、もっと特別に思う人が欲しい。特別な人とずっと一緒にいたい。できれば死ぬまで仲良くして欲しい。くらいなのかなー? どうなのかなー? 自分は人間そこまで好きじゃないし、比較的色情狂の部類になりそうな気がするから、「性的欲求を抱かない」とか「人間大好き」とかだと、がんばって想像してみてもまったくわからん……。

言葉

 純は『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』『私はあなたの言葉を着たい』と、古印葵の紡ぐ言葉に狂っているけども。 もしかしたら、“慈愛”という言葉も、古印葵の作品に見出した言葉なのかもしれないな、と思い始める。 純は、作中描かれた内容を見る限りでは、父親の友人が言っていた『死んだら骨は拾ってやる』という言葉と行動に納得がいっていない気がする。 それを数年〜十数年抱えてきて、それに納得がいくような言葉を探して本を読んできたけども、自分の心を納得させてくれるような言葉は見つからず。 古印葵の作品に触れ続けることで、初めて、それに“慈愛”という名前をつけることができた経験があったのだとしたら。 と考えてみる。 古印葵がつける名前・言葉なら、と盲信してしまうのも、無理からぬ事……とも思える。 古印葵の紡ぐ言葉の調べが脳に気持ちよくて、古印葵の描き出す世界が脳に気持ちよくて、で好きなのかなあとも思ってたんだけど、【第16話】を見ると、もっと根が深そうな感じで。ファンやオタクが神と崇めるよりも、ヤバい領域から崇めてる雰囲気。

上薗純が言うことには

 【上薗純、曰く】が完全に上薗純の視点だけで描かれているわけではないとすると、やっぱり、【第6話】の第4の壁を突破してくるようなモノローグ部分は、矢晴の語りなのかな? と思えて。そうだとすると、純が矢晴を助けたいと思った意思決定にこのモノローグを加えると話がおかしくなっちゃうな、と思って。 【第16話】の激情にかられて雨に打たれて水のうねりで純を飲み込もうとしてるような、その水の感じと、【第6話】の水を前に立ち尽くす人とのシーンが似てるしな〜とか思って。 あともういっこ、水のシーンがあったような気がするような……? と思ったけども、ざらっと見た感じでは、【第13話】で矢晴が『けど、病症が強く出てる時は』『目を塞がれて思い出せる余裕もない紙の上の字も頭の中の字も読めない』『水面のない海で溺れてる時知識なんてほとんど無力です』と言っている時の背景の水くらいかな? 【上薗純、曰く】では矢晴のうつ症状は、水で表現されるのかな。とも思える。 純の寝室で、外では雨が降り出して。うつは気圧の変化でも症状がひどくなるようで、薬も飲み忘れてるし、外は雨だし、のダブルパンチで、純は古印葵に酔っててまともに話聞いてくれないトリプルパンチだったのかなあ、とか思う。 ここで、純は矢晴から離れないと矢晴が良くならないと思って離れようとするけども、矢晴が引き留める。 すでに【第1話】で同居は1年後も継続していることがわかっているから、純は矢晴に引き留められて同居を継続することにした、というのが次の話になると思うのだけども。 次の話はどっち視点なんだろう。この感じだと、この1ヶ月目の夜のシーンは矢晴→純→矢晴…みたいに交互に来そうな気がするけども。

マジの目

 純はふだんわりとふんわり優しい感じ、おちゃらけてはいないけど明るい感じで矢晴に接していると思うのだけども。すごい真剣な目をすることもちょいちょいある。 【第4話】純が初めて同居を持ちかけた時、『私は本気です』『あなたをこんなところから出したい』とかなり至近距離で見つめる。 【第13話・前編】『こっちを……』『私の顔を見て確かめてください』と告げた時。矢晴には見えてないけども。振り向いた矢晴がその顔をしっかり見て、安心したんだったらいいのにな、とは思うんだけど、はっきりしない。 【第13話・後編】矢晴が『私は漫画を描かなくて済むんだ』と話したとき、そこまでの至近距離ではないけど『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』とかなり真剣な、また苦々しげな表情で言う。ここでけっこう強めに叱られたこと、矢晴はどう思ってるんだろうか……。 【第16話】『私はなにがあっても矢晴を攻撃しないって約束するよ』からの『矢晴が契約書になる?』とうなじにキスマークなりなんなりで約束の刻印をするという提案をした時、けっこうな至近距離で真剣な目で見つめる。 「攻撃しない約束は絶対」というのと、「矢晴が望むなら」の両方を、その真剣な目で伝えているとは思う。 純の真剣な目は、純の言うことが本心で本気、というのが矢晴に伝わってるとは思うんだー。純かっこいい。 いやはやほんと、普通に純、色々考えててかっこいいのに、古印葵に狂ってるとなんであんな……? 【第15話】のラストページが遺影みたいで、【第16話】の表紙が棺桶に入れられてるみたいに思ってるんだけど、もしかして、「古印葵に狂ってる純を葬る」(封印する)みたいなこと示唆してたりする……? とか、ちらっと思ったんだけど、どうなんだろうか。あの全開の笑顔は古印葵に狂ってる顔よね……?

恥ってなんだ

 【第16話】で純の言った『お互いの恥を晒し合ったんだそれで勘弁してよ』と言うのが気になるんだけども。 この寝室に入ってからここまでの時間だけのこと、で考えても、「純の恥」と思える部分がわからない。 『実在する人間に欲情したことがない』というのは純のモノローグで、それを矢晴に伝えてはいないはず。むしろ、それを伝えていたら、こんな展開にはなってない。ただ、矢晴は自身がぶつけた「性欲」という言葉がむっちゃ鋭いブーメランになって突き刺さって精神的に死ぬかもしらん。 純が古印葵の前だと考えなしのポンコツになることを露呈したこと、は恥になるかもしれない。 純が矢晴の病症からもたらされたかもしれない矢晴の言葉を「良い」と言ってしまったこと、は『私は反省しなきゃいけない』と言っていると思うんだけど、これを恥として晒したとは言えない気がする。 矢晴の恥、はなんだろう。妄想に囚われている姿を見せていること、だったり? 矢晴の恥の部分は、昼間の粗相の話かもしれない。 恥ってなんだ……?

【第6話】の

 純の学生時代(中学生なのかな?)のクラスメートが死んだ挿話の後の、 『絶望してる時に自分を優先順位の一位にしてくれない人間しか周りにいなかったらどうなるか』『知ってるか?』 『存在を忘れられて「たかが」金もなくてどこへも行けなくて選択肢もろくになくて』『「たかが」がないだけでどんなに惨い身体になるのか』『知ってるか?』 『消えた人間から無能の烙印を押されたのだからせめて上からモノを言うのをやめろ』 のところ、私は初読時から、変にこっちに向かって飛び出してくる(第4の壁を突破してくる)感じが好きではないのだけども。 このシーン、「夜の海の浜辺に立ち尽くす人影」のような心象風景になってるけども、これ、もしかして、この水は矢晴の激情で、立ち尽くす人影は純自身で、語りは矢晴のものなのか? と思った。 もしそうなら、私、最初っから、矢晴の“説教”嫌いなのかもしれないな……と、思い始める。 そういえば、【第6話】のもともとのキャプションからいつ今のキャプションに書き換えたのかは定かではないが、今回の【第16話】の内容から考えると、あらぬ誤解を受けないように配慮的に、そりゃ書き換えるな、と思った。

上薗純を構成するもの(メモ)

純曰くそれぞれで印象が違うし、語られる話も違うし、後々1本につながるのかなーと思うけども、今は点でバラバラだから、メモ。 子供時代:父親を亡くした。父親と友人との友情を見た。「死んだら骨は拾ってやる」=『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』=“慈愛” 学生時代:勉強を教えてくれたり、絵を褒めてくれたクラスメートが死んだ。『私もみんなもこいつの親も』『こいつを思い出さなかった』 学生時代:自身が実在する人間に欲情しないことに気づく。『〈それ〉ができると他人がもっと特別に見えるらしい』『私には友達がいるから別にできなくてかまわない』 大学時代:古印葵の漫画と出会う。 アシ時代:古印葵と同じ雑誌でデビューしたくて月例賞に応募する。授賞式で古印葵を見る。サインをもらう。 デビュー当時:古印葵と同じ雑誌でデビューしたが、古印葵がいなくなった。 連載開始〜:連載作にて古印葵への手紙をしたためる。コミケで布教。 売れっ子漫画家時代:  :『〈それ〉ができれば新しい家族を作れるらしい』『私には友達がいるから別に大丈夫』  :『〈それ〉ができる友達は家族を作って私のもとから離れる時間が長くなる』『私には漫画があるからたぶん、大丈夫』  :『〈それ〉さえできればずっと一緒にいられる人を得られるかもしれない』『  』  :古印葵の布教活動をする。古印葵の連載は4話で終わる。電子の単話を購入。  :毎週、打ち合わせに編集部に出向く。 現在:福田矢晴=古印葵と知り合う。古印葵に罵詈雑言を放った四階をやり込める。  :福田矢晴に同居をもちかけ、『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』と告げて死ぬほど怯えられる。  :翌日再訪し、『私がここから去ったら――干渉しなくなったら――』『この事実が〈存在しない〉ことになる?』『今すぐ引きずり出さないとこの人本当に〈消える〉』と考え、矢晴を説得し、同居にこぎつける。  :矢晴に「性欲だ」と言われて、自身の「人間に欲情しない」性質が「ない」というラベルをもらった気持ちになる。『私にも〈それ〉ができると』『あなた自身であなたの美しい世界で』『証明してくれるなら』『もう何も怖くない』 『彼の肉には一ミリも興味も性欲もない』『ただ、共通の秘密をもってはしゃぎたいだけなんだ』 ・命よりも重い漫画はこの世にない 好きなこと・幸せなこ...

純の主体性のなさ

 【第16話】は純視点だから、矢晴の気持ちはわからない。 とはいえ、矢晴は純の『それがいいな』に対して『それ〈が〉いいってなんだよ……?』と怒るし『違うなら違うって言えよ!』と怒鳴る。 純の『私はあなたの言葉を着たい』に、この世の終わりみたいな絶望した顔をする。 『考えないからそんなことを言えるんだお前は!!』と、純が「考えない」ことを責める。 それに対しての純の感想が、かなり明後日の方向だから、『なにが再現だなにがならないだお前の低解像度でモノを語るな!』と激昂させる。 純の主体性のなさと考えないところ、話の通じ無さに、矢晴は絶望して怒りがヒートアップした、感じに思える。 薬を飲み忘れていたから、矢晴がまともだったらもう少し言葉を選んでいたかもしれない事柄を激情に任せて言ってしまって、その自分の言った言葉がそのまま自分を傷つけるみたいな状態にはなってたのかな、矢晴。 『私の性格は君にとって良くない』『矢晴の言う通りだ』『私は反省しなきゃいけない』『我欲に走って言葉をほしがって君を傷つけた』『私と一緒に住む君は不憫だ環境を変えよう』って、純はとても素敵で頭良くて矢晴のこと大事にしてくれてるのに、古印葵に酔ってる時の純はいったいなんなんだ。ものすごい差だな。 ほんとに古印葵に狂ってるときの純は矢晴にとってかなり悪い、一緒にいたら矢晴は余計に病む、ようには思う。 ただ、こうしてすぐに引き下がる決断ができる純は、矢晴を任せるに足る男、とは思う。 【第16話】は純の独白のない矢晴視点で見たかったなあ、と知りたくなかった事実から目を背けようとしてるのもあるけども、理路整然と自身を反省して離れていこうとする純の言葉を矢晴がどう聞いていたのか知りたいな、と思う。 「言い過ぎた」「嫌われた」「捨てないで」「嫌だ嫌だ行っちゃ嫌だ」って感じに縋る矢晴がかわいいから。 『矢晴が契約書になる?』で真剣な目で見つめられた矢晴は純の「矢晴を攻撃しないって約束する」って言葉をちゃんと信じれたんじゃないかな? と思うし。 純が古印葵に狂うのをやめれば万事うまく…………? やめれるもんではないが。

墓穴

 【第15話】で矢晴が掘ってしまったであろう墓穴を【第16話】で純に速攻で埋め戻されてさらに小高い山にされ、コンクリで固められてしまったような、途方に暮れるこの気持ち。BL展開ムリやんけーー!! とちゃぶ台ひっくり返して暴れたい気持ち……。はやく次の話で可能性を見出させて欲しい……。 純が古印先生にときめいてるポイントは『性欲を慈愛だとか清潔な言葉で飾りやがって』『きったねえ欲望を蓮華座に乗せてんじゃねーよ糞野郎』って言葉の使い方や組み立て方の方面ってことでいいのかどうかも、よくわからんくなってきて。 どこらへんから『私にも〈それ〉ができると』『あなた自身であなたの美しい世界で』『証明してくれるなら』が発現するのかがいまいち掴めん……。 ついでに「証明してくれるなら」ってなにをどう証明できるんだ……? 矢晴がラベル貼るだけでいいのか? なんだ? 矢晴に『もうそれ性欲だろ』って言われた瞬間には、自分のなかに入っちゃっててその後の矢晴の言葉を聞いてなさそうな雰囲気に思えてきて。 罵倒に興奮する変態のがいい……。(個人趣味) 今回の更新お知らせ、今日の昼くらいに見たときにはまだあったけど、今見たらなくなってた。毎度、颯爽と……。

夢を……見ていたかった……

 (完) みたいな気分になってはいる。 矢晴が純を好きになっていって、すでに何年も前から矢晴のことが好きだった純が矢晴の気持ちに応えて、でも、矢晴は純のことが好きだけど純が矢晴のことを好きというのが信じられなくて、信じてもらえるように純が真剣に矢晴と向き合って、なんだかんだで、矢晴は漫画を描けるようになって自身と自信をもって純と恋愛できるようになる、的な。 いや、これからそうならないと決まったわけでもないけども。 簡単に書いた大筋だけなら、今とこれからとそんに変わらん気もするし。 いや、すまん。私の思い描く大筋のなかには、確実に性行為が含まれるし、矢晴が純へ向ける好意も性愛込みだし、純が矢晴に向ける好意も性愛込みでないとならんのだ……。 むしろ、矢晴に欲情してしまってがんばって理性で抑える純がいてほしいのだ……。 取り繕える言葉や行動はいまいち信用しきれないけど、純が矢晴に欲情するその身体反応は信じられる矢晴が見たいのだ……。(そういうのを書いていた) でもまあ、そんなすぐにラブラブハッピーになりそうな感じじゃ、60話↑なんて長編にはならんしな……そだな……うん……。 うん……。 はよ……続き……読みたい……。

理解あるうんちゃら

 ちょいちょい、【売れうつ】を読んでないというか、読もうとしない層から、「どうせ理解ある彼くんがどうこうってやつでしょ」的なコメントを見かけていて。 私自身はその手の「理解ある彼・彼女が、支えてくれたからうつから立ち直りました」系のものに興味がないので読まないから、「理解ある彼くん」がどんな存在なのかとかもよく知らない、わからないのだけども、それを唾棄する層がいるらしいことは見かけた。それらに興味がない私は、唾棄する側にいるのかもしれないな、とも思う。 「そろそろ、独りでうつから立ち直りました系のものが見たい」とかのコメントも見かけたことがあるけども、独りで立ち直った人がいないから存在しなくて、立ち直れなかったから【第12話】で矢晴の言うところの『死人に口なし』なのではないかな? と思った。 理解あるうんちゃらを知らないので、比較して、純が理解あるうんちゃらなのかどうか、の判断はつかない。 とはいえ、【第16話】によって純の一部分が明らかになったことで、ボーイズラブにもならない共倒れの未来しか見えなくなってきた気分になってきたから、むしろ、純がただの理解あるうんちゃらだったらよかったのに……とまで、思いもする。 「純が支えてくれたおかげで立ち直れました」「矢晴のおかげで人に欲情できるようになりました」が終着地点になるのかどうかもわからないけども、現状「無/非性愛者」として純が描かれてしまったので、「無/非性愛者という異常者から、性愛者である正常者になれました」系の着地をされたらとても嫌だなあ……とは思っている。さすがにそんなひどい着地をするような作家さんではないだろうとは思っているけども。 純が自分のことを包み隠さず矢晴に言って、矢晴から「それが純」というラベルをもらって自己受容……? というのもなんか違いそうだし。 自己受容ってなんなんだ……? それっぽい定義のそれっぽい言葉で書き散らして考えてくと、言葉そのものがわからなくなる……。合ってるのか……? わからん……。

婚姻届と指輪

 【第16話】の『〈それ〉さえできればずっと一緒にいられる人を得られるかもしれない』と婚姻届と指輪が差し込まれる。 生涯一緒にいる(予定)の契約としての婚姻届は、わかる。そこに一緒に置かれている指輪が3つもあるのが、公的な婚姻では……ないな、と思える。ここで純が結婚したいのは、友達なのかな、いつも遊んでる3人で、みたいな。 純は生涯一緒にいられる唯一人の人生の伴侶が欲しいわけではなさそう。何人でもよかったりしそう、なのかな。 他人を特別視したことがないから、運命の相手がどうこうみたいな思考にも至らない感じだし。 純は一生一緒にいられるなら、男でも女でもかまわないのかな、と思える。人に欲情したことがないから、相手の性別は関係ないもんな……。でも、相手に求められても欲情できないから応えられなくて破綻しそうだから、できれば男、“友達”がいいんだろうかな。 孤独にしないでって泣いて縋りたいのは純のほうだろうけど、みんな純よりも大事な人ができて離れていくから自分は独りでしかたない、〈それ〉ができないんだから。って感じの諦めモードかしらん。 かまわない→別に大丈夫→たぶん、大丈夫 っていうのが、かなり大丈夫じゃない感じの。空白の部分、なにを考えてたんだろうな……、足も揃っちゃっててずいぶんと心細げな感じがするし。 でも婚姻届を出す結婚をしたところで、離婚届が存在している以上は永遠でもなし。永遠に離れないと誓ったところで、心が変われば誓いもなくなるし。むしろ、矢晴が言ったように「自分と相手を動けないほど縛りたい」気持ちがあるのかもしれない。  でも矢晴が『縛らなきゃ成立しない』って言ったのは極論な気がする……相手がいないと成立しない→相手が逃げたら成立しない→動けないほど縛らなきゃ成立しない……くらいになるのかな。 でも純はそれを絶対に成立させるために相手を縛ろうとは思ってない、思えない感じの諦めがありそう。 んー。でも、純さ、矢晴に『矢晴が望めばなんでもするよ』って言って、矢晴がセックスしたいって言ったら、矢晴相手に欲情しないから、まずは2次元見てきて勃起させてどうにかこうにか行為の形にもってって、みたいなことになるん? そんなん矢晴、満足しなくない? なんでもできてなくない? なんでもできなくない?

寄り…添う……?

 なぜ、こんなにも四階のことを考えてしまうのか。 わりと多く、「矢晴はあんな状態でも四階に寄り添った思考をしてて優しい」というような感じのコメントを見かけて。 寄り…添う……? とあまりにも自身の感想と違うので、なにがどう……? と探求したくなっている。 先に四階のことについて書いた後に、矢晴の語り出しを間違えていたことに気づいた。それを含むと、「寄り添って優しい」という感想が生まれるのかどうか、と考えてみたものの、私にはその発想はないようで。 そも、『噂話でしか聞いたことのない――目の前に存在するとは想像できない――』『初めて会うタイプの人間だったからか――』と、矢晴にとって四階は未知との遭遇だったのだし。 矢晴は自身が四階のようになって純の攻撃対象になってしまうことを恐れているし、誰しも四階のようになる可能性があることを認識しろと純に言っているとは思うんだけども。 【第14話】の『愚鈍と不出来を肯定され』と【第16話】の『不出来を他人に助けてもらえず壊れていったからだ』が私のなかではつながってしまって、矢晴が「純が不出来を肯定して助けないから私は壊れる」と言っているように聞こえてきてしまったりもしているから、そこらへんで感想の違いが出てるのかなあ……? やっぱりここまでひどく言われる四階がかわいそうになるんだけど……。別に四階のことが好きなわけでもないけども、むしろ、よくいるタイプじゃない? とも思うし。そういうよくいるタイプが、もとより壊れてるのに誰も助けなかったから余計に壊れた、という話をしているのかもしれないなあ、とか思わんでもないけども。 矢晴の『誰かが助けないと自分の中に助けるべきものがあることすら人間は気付けないから!』と、純の『そういう人って治療が必要だと思いますけど…』『性格上自分から病院へ行くなんてしないんだろうなぁ』と対比してみると、「四階に寄り添う矢晴」「四階を放置する純」みたいには、思えそう……? かな? 私が読んだ矢晴の話を、極端なまとめ方をすると、「四階はもともと異常者で、誰もその異常を正さなかったから、よりいっそう異常者になって、異常者だから誰も助けない」「私にもお前にも四階のような異常者になる可能性がある」「私が四階のような異常者になればお前は私を助けないし攻撃するだろう」「お前が四階のような異常者になれば私を攻撃するだろ...

あなたの言葉を着たい

 純の『私はあなたの言葉を着たい』という言葉が怖い怖い。 狂い過ぎだよーーー! という気分になる。もとより「自身の言葉での思考を放棄」している感じがしてしまう。純の頭の中の辞書は古印葵の単行本2冊分しかないのか? みたいにも思えてくる。 矢晴が古印葵として紡ぎ出す言葉に強烈に惹かれているのはわからんでもないけども。 おかしいな、普段の純はあんなにいろいろ考えて、ちゃんと言葉にできてるはずなのに。そこに純の思考は乗ってないのか……? 祈りとはなんだったんだ……という気分になる。 古印葵の言葉でラベリングされたのが、それはそれは気持ちがいいんだろうな、とは思える。それが自分に欠落していると思っているものだったから。そのラベルによって欠落のない人間になれるから。みたいなところ? 純の古印葵への狂信のレベルを甘く見すぎてたぜ……って気分になった。しかも、古印葵の紡ぐ言葉に気持ちよくなってるのかと思ったら、違うところでさらにびっくりだ。 ふだんの純と古印葵に魅了されてる純と、ほんとに人格すら違うくらいに違いすぎんか……? 大丈夫か……? たぶん、矢晴が好きな上薗純は、ふだんの純だぞ? 『もう何も怖くない』って言ってる純が怖いよー! うえーん! 純がなにを怖いと思ってるのかわからないのが怖いよー、うえーん。 扱ってるものが重すぎて怖いよー、うわわーん。

2時間前

 純が矢晴の様子のおかしさに薬を飲んだかどうかを思い出す。 2時間前。今の時点からの2時間前……? と思うとお風呂はいる時間がなさげに思えて、寝室に向かう2時間前かな……? とか考えてみたりする。 寝室に向かったのが夜10時なので、そこから遡って2時間前として、夕食は7時過ぎ〜くらいかな? お湯がないからレンチンで、と。ふたりしてテレビに夢中だったのか、夢中ではないけどなんとなし「薬を飲もうとした」行動を「飲んだ」と思い込んでしまったか。 私はついうっかり、レンジがありそうなキッチンからはその角度でソファー見えんのでは……? という方向に意識が行ってしまい気付かなかったが、純と矢晴のソファーに座る距離が縮まっているとTwitterで見かけて、なるほど! 近い! 好き! と思った。気付かせてくれてありがとう。 ひとしきりテレビ見て、8時過ぎ〜9時半ぐらいにはお風呂に入ってるかなあ? と思えるのは10時くらいで『お風呂の2時間後が入眠に最適で〜』『早いけど横になるか』と純が言っているから。 今の時点がたぶん夜11時を少し過ぎたくらいではないかと思うので、早く気付けてよかったね、一緒に寝ることにしててよかったな、という気分もありつつ、いろいろ口走ってしまった矢晴にとってはけっこう手遅れっぽくもあり? でも純は気にしないだろうから、矢晴は泣いて縋って一緒にキッチン行って薬飲んで欲しい。 そして、リビングのソファーでさらに距離を縮めて座ってゆっくり話そ? ね? という気分ではいる。

友達

 純の友達、学生時代からの仲良し3人組なのか、メンバーが変わってるのか……。 左側の細身の眼鏡の子は、学生時代も大人になってからも同じ子っぽいなあ、と思える。 学生時代の純は右側と中央のどっちだ……? と考えると、この3人組でずっと仲良しで並びはそのまま、とすれば学生時代のほうで一番小さいのが純ということに……? こんなちっちゃめの子がニョキニョキとあのサイズに……? わお。 でもなんとなし、学生時代の純って太ってたんじゃ……? みたいに思えてきてるから、学生時代は真ん中のおっきい子だったりする……? とか思ったりもしたりする。 どうなんだろ。 眼鏡かけた細身の子なんてのは世の中に山盛りいるだろうから、たまたま、純が仲良くなった子が眼鏡の細身の子だったんだろうけど、その友達に亡くなったクラスメート重ねてたりなんかする……? とか変なことまで考えちゃうけども。 純は矢晴に『純って恋人作らないの?』って聞かれたときに『漫画描いて趣味して友達と遊んでたらもう時間なくない?』って答えてたけども、【第16話】の純の語りを聞く分には、「恋人はつくれない」「友達も遊んでくれなくなった」が本音になるのかな、と思う。ただまあ、嘘は言ってないんだろうな。 合コンや婚活の場では、「性行為をする相手」を品定めすることになるから、純にとっては、キツイ場なんだろうなあ、とは想像できる。 純はずっと誰かと一緒にいたいけど、友達は恋人や結婚相手を見つけて、そっちに行っちゃうから純はいつも孤独になる、一生一緒にいてくれる人が欲しい、っぽいけど。 純も比較的、人間の好き嫌い激しい気がするんよね……? でも、人間が好きなのかしら……? だから、自分が好きな人を集めて暮らすのが夢にはなるんだろうかなあ……。ううん。 ……純はなにが怖いのん……? と話がそれてまとまらないまま。

四階

 矢晴は、四階に編集部で罵詈雑言を言われて、純にやり込められているところを見ただけ。 純は、編集部に出入りする中で、たまにしゃべったりもしている感じで担当との話の中で四階の話題が出たときに『愉快でおしゃべりな人ってイメージしかなかったですけど』と言っていて、担当から純の知らない社内での四階の様子を聞いたりしていて。 情報量としては、純のほうが矢晴よりも圧倒的に多い。むしろ、矢晴のなかの四階は低解像度を遥かに下回るようなモザイクではないかな。 矢晴は純に『考えろ!!』『どうして四階はクソになったか?』と言うけども、実際は「四階個人」の話はしてない。 そもそも、ここの話、『不出来が原因で歪んだ思考が』という始まり方に、私はちょっとなにか、なんだろう……物申したい……? けど、まとまらない、みたいなところがある。 「人に嫌われる言動をするから誰も助けてくれない」は「愛されない弱者は救われない」に通じる話ではあると思うのだけども、なんだろうかな、ここの矢晴の話は私には「人間はみな平等に愛されるように不出来や歪みは矯正するべく介入すべき」みたいに聞こえてしまって、いるような気がする。 ここの話の核は、「四階みたいに攻撃的な人間になる」とか「四階みたいに人に嫌われる人間になる」なんだろうな、とは思うのだけど、クソの代表にされている四階がちょっと不憫に思えたりはする。ただまあ、純が『治療が必要だと思いますけど…』というくらいに歪んでしまった人間として描かれて、純と矢晴がともに知っている事例になるのだから仕方ない。 【第6話】で四階の話をあんなにページ数割いてやってたの、ここにつながるわけね〜といまさらながらに納得したりしている。 純は矢晴の話に『矢晴は……』『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』『相手の脳を再現することだよ』と言うけども、この時の純は矢晴が四階のすべてを理解して語っているみたいに見えてるのかな? と思うと、純の言う“再現”についてもちょっとじっくり聞きたくなる。この子はなんか、言葉がいろいろ違う気がする。だから、「古印葵の言葉を着たい」になるのか……と、納得もする。

【感想】第15話 蓮華座・ロンリネス

 \祝/600記事目! 思いの外はやくに【第16話】が来てしまい、【第15話】の感想も変わってしまいそうな衝撃の展開だったし、来る前に感想書きたかった気持ちもあれど。 600記事目に感想を上げるつもりで、感想を書く。(この16話にどっぷり浸かりたいけど浸かれない浸かりたくない感じ、ううううん)感想ってどんな感じで書いてたっけと、【第14話】の感想見たら400記事目とか言ってて、え、間に200記事あんの!? と別の衝撃を受けてきた。 「14話まではほのぼのライフ」のほのぼのライフが終わってしまった【第15話 蓮華座・ロンリネス】。なかなかの急展開。 表紙は菩薩の純が怯える矢晴を手に乗せて愛で、食べてしまう。矢晴の心象であるのか、純が矢晴を取り込んでしまう示唆であるのか。純は菩薩的な善人ではないということか。私には解釈しきらないので色んな人の解釈を聞いてみたいところ。 本編は【第14話】での『一緒に寝る?』からの続き。矢晴の衝撃を受けた表情が何を思っていたのかも語られず、さくっと『修学旅行の夜みたいで楽しそうじゃん!』と軽く始まる。 【第16話】まで読んでしまった現在、修学旅行……ううう……だったらよかったのに……まで思うが、それはそれとして。 かなりコミカルな、ほのぼのライフの続きのような雰囲気で純の寝室に。矢晴は湯冷めの予防で厚着している。ここまでの着込み方だと、純の服を着込んでいるのか……? というサイズ感。 純の寝室に入ると柄の大きな壁紙が目に飛び込み、その中央に額に入った蝶の絵なのか標本なのかが象徴的ではある。 小さな本棚に古印葵の単行本がしっかり並んでいて、かなり読み込んだ形跡もあるのが、純がほんとに古印葵のファンなのだということが実感できる。矢晴にもそれ見て実感して欲しいと思うがちらりとでも見てくれたのかどうかすらわからない。矢晴はなんの反応もしてないし、このところの数話の描かれ方だと、状況説明的に見てないものも差し込まれるから。 純の大きなベッドを矢晴が『お前のベッド私の前の家くらいあるじゃん』って、さすがにそれは大きすぎな気がするけども、かなり大きいベッド。『寝相がベイブレードだから広くないと落ちちゃうの』と言うが、純のこの身長で寝相がそんなでは、この家を建てる前はどんな寝方をしていたのか気になってしまった。かわいい。 布団に入るからと湯冷め予...

契約書

 【第13話】によって【第7話】の矢晴と純の会話の大部分が訂正され、矢晴の病気による妄想の度合いや記憶の改変の程度が示された。 そのため、矢晴の言っていることのどこまでが正しく、どこからが妄想によって改変されてしまったのかの判断が難しい。 【第7話】で『口約束がNGなら…』『正式な紙の契約書を作れば』『一緒に暮らしてくれるってことですよね?』『書類の作成に弁護士挟みましょうか?』と純が言っていて、『作りましょ! 作りましょ!』とはしゃぐ。 【第13話】では『信じてください裏切ったりしない確かなものにします』『だから作りましょうちゃんとした約束を作りましょう』と言っている部分が対応していたかと思うので、「弁護士を挟んだ正式な紙の契約書」が作られたのかどうかは定かではない。 【第7話】の前日。編集部でふたりが会って、純が徹夜で大掃除をした朝。同居を迫った純の『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』が約束として生きていたのが、ちょっと驚きだったので、「契約書」もかわされたのかどうか……謎……と思っていたけれど。 【第16話】で純が『私はなにがあっても矢晴を攻撃しないって約束するよ』と言ったことに対して矢晴が『約束だ!? また弁護士通して契約書か!? 馬鹿にするな!』と純を締め上げるから、やっぱりちゃんと同居に対しては、正式な契約書でもってスタートしたっぽいな、と思う。 ただ、矢晴の記憶のなかでは、純がはしゃいで逃げ道塞いで無理矢理契約させられた、みたいになっているのかもしれないな、とも思える。 と、ながなが書いたのは、半分本題で半分前置き。 【第16話】での「契約書」のポイントは、『矢晴が契約書になる?』からの一連が醸し出すエロさ加減と、なにがどう“本気”なのか、とかとか。 『口約束は信用できない!』と言いながらその前段で弁護士を通しての契約書を交わすことについて『馬鹿にするな!』と言っていたり。一筆書けば満足するのかどうかというと、それもまたなんだかんだと破れるものだから的に拒絶しそうな、なにを言おうと何をしようと、「約束」自体を信用しない感じ。 『矢晴が契約書になる?』『ここに』『印鑑捺そうか』『ハンコもペンも使わずに……』と、矢晴自身の体に約束を刻みつける提案をして、かなり真剣な表情で、かなりの圧で矢晴を見つめる純。 それがキスマークでも歯型でも、どっちにしろエロい...

好きすぎてパート11

 今回、ちょっと重すぎて、【第15話】の単話感想すらまとめてないうちに【第16話】が来てしまって、と、気持ちも追いついていない感じもあり。 だって、【第14話】から【第15話】までが111日で、【第15話】から【第16話】までが21日って、早すぎだよーーー! って気分にもなる。だからといって遅くしてくれってわけでもないが。タイミング的には2巻発売後に来るかな? って思ってたから思いがけずに早くに来ててビックリしすぎた。 これまで、あふれる気持ちをどんどこキーボードを叩いて吐き出していたけども、なんというか、【第16話】はうかつなことを言えない雰囲気があるので、思いつくまま気の向くままが難しい……。テーマがむずかしいんよ……。 もうじき600記事目になるので、そこに【第15話】の単話感想を出せるようにと、あわてて準備した。そして、この記事は、600記事目までの数合わせも兼ねている。 ここ数日で再度書き進められるようになった二次創作が、実用性はないけどもエロしかない話を書いていたので、【第16話】で純の性的傾向が明らかになったことで、またちょっと進められなくなった。1R終わったところで次のシーンへのつなぎ方どうしよっかなーって止ってたところで、衝撃の『実在する人間に欲情したことがない』って言われちゃっては……、ばりばりに欲情していただいていたので、これは……ダメだな……になってしまった。うううん。 純が矢晴に欲情できるようになるまで、しばらく留め置いておく。ことになる。 なかなかね、本編でそっち方面がばっちり出るわけでないから。それでも十分エロい雰囲気かもしだしてくれるからいいんだけども! でもなんか、ちょっとそういうのも妄想するじゃない。妄想したら書きたくなるし。頭の中で妄想するだけだと霧散するから書き留めておかないと、ってのもあるけども。 はーーーーー、純、そっちかーーーーー! というBL的にはある種ない方向だったから、これまた先が見えなくなってしまったな、と思っている。

心象

 【第16話】では、矢晴の心象、純の心象がそれぞれ背景に描かれて。 矢晴視点の通常回とも純視点の純曰くとも、ちょっと違うような……両方が融合したような……という気分にはなった。 「純曰くでも矢晴の心象、視点が挟まれる」のが毎度あるとするならば、ということで、これまでの純曰くを見返してみると。 私は当時そのコメントに対して懐疑的だったのだけども、【第6話】の最終ページ、上のコマが矢晴の見た純、下のコマが純自身の認識という説は正しいのかも……? とも思える。でも、前のめりになってた純が矢晴の反応にスンってなった感じだよなあ、と改めて見ても思うので、どっちが正解かはわからない。 【第13話・後編】の切れた縄について。切れた縄が矢晴の心象であるなら、縄は死の象徴として繰り返し出てくるので「死の選択がなくなった」とも、関係や気持ちの「断絶」とも読めるかもしれない。縄が絆であったら、絆が切れるとも読めるかもしれないけども、それ以降、矢晴の純への気持ちが急速に進んでいるような気はするので、「断絶」などといった絆が切れる方面ではない、気がする。 さて、【第16話】の矢晴と純のそれぞれの心象。 外で雨が降り出して。部屋のなかで話すふたりは浅い泥水に座っている。純がそれを掬って見ているのが、おもしろい。 矢晴にはかなり強い雨が降る。純には音が聞こえているが、降り注ぐことはない。届いていない。 最初は足首ほどの深さだった泥水は純の太腿ほどまでの深さに。純の心象ではその泥水に矢晴の言葉への歓喜か蓮の花が咲きはじめ。 純は蓮の花が咲く中、青空を見上げ、細工物のような蓮に埋もれて笑顔で矢晴を讃える。 そんな純への激昂からか矢晴にうちつける雨はさらに強くなり、その濁流が純を飲み込んだのか覆い隠してしまっただけか。 矢晴の激情に任せた言葉がだんだんと自身を責める言葉に変わっていき、水は引いていき……。 純の想像する矢晴の激情のイメージとするには、うちつける雨は矢晴を傷つけるもののように見えるので、違うと思うんだーという、私の純への盲信から、これは矢晴の心象、とか思っちゃってるわけだけど。 矢晴の言葉は、純の心象のなかで蓮の花として咲いていたんだろうな、というのが、『今の矢晴の言葉は』『病症がもたらした言葉かもしれない……?』の背景に泥水の水面に映り込んだような濁った感じの逆さの蓮の花で表現...

低解像度

 矢晴がどれだけの解像度で世界を見ているかとかの話じゃなくて。 【第16話】で矢晴が純に対して『お前の低解像度でモノを語るな!』と言ったときに、【第6話】で純が『消えた人間から無能の烙印を押されたのだからせめて上からモノを言うのをやめろ』と考えていたのを思い出して。 ここしばらく、純の子供時代(父親を亡くした)から学生時代(クラスメートが死んだ)が純の性格形成の中でつながるものなのかどうなのか、と考えていたから、似たような言い回しに思い出しただけかなとも思うんだけども。 【第6話】の純の思考は、純自身にも向いているとは思うのだけども。純自身が自分に対して怒りなりなんなり何らかの感情をもって思っていることを、【第16話】で矢晴からも突きつけられた感じにもなるのかなあ? 矢晴は純が考えないから簡単に言うみたいに責めて、『考えろ!!』って言うけども。んー、純は純でそれなりに考えてると思うんだよなあ、というか四階に関してのことだと、【第6話】の『そういう人って治療が必要だと思いますけど…』『性格上自分から病院へ行くなんてしないんだろうなぁ』が何通りかに読めてきて、どれが正解かよくわからなくなってきてしまって混乱しだした、私が。 矢晴が純に考えさせたいのは、『けど矢晴には攻撃的にならないよ』と断言できない、将来的にどうなるかわからない、ってことだろうと思うんだけど、それを今考えろは酷だわよ? というか、ふつうは考えそうもないことだし。自分自身すら信用してない考え方になることな気がするし。ここらへんやっぱりうつ故なのかなあ? むずかしいわあ……。でも、純の「攻撃的だと自覚している上で、矢晴には攻撃的にならない」というのは「矢晴を守るよ」になってると思うんだよなあ。 ただ、純はこの夜の矢晴の言ったことはすべて一旦思案の外側に置く気がするから、この先、まともな思考で対話できるときに改めて考えたりとか話したりとかするのかな。同じ話題をちゃんとした対話で上書きできたら矢晴に良さそうな気がする。

いい子だけどやっぱりちょっと

 純ったらもう、ほんとに頭良くっていい子なのに、古印葵への崇拝入ってるととたんに知能が下がりすぎになっちゃって……。 その態度の差が、矢晴に『だって漫画家じゃない私のことは幼児や病人として見てるからな!』って言わせちゃうのかしらねえ……? 矢晴と「対話」してると思っての、「矢晴(古印葵)はそんなに深く物事を考えられていてすごい!」ってのがものの見事に矢晴の地雷を踏み荒らし、みたいになって。 そしてまた、過分に矢晴の物言いにはうつ故の被害妄想的な思い込みと断定も含まれていて。 だんだんと、今の矢晴おかしくね?って気づいての頭良い純が出てきてホッとしたけども。 ところで、『お互いの恥を晒し合ったんだそれで勘弁してよ』の「お互いの恥」の純の恥の部分ってどこなんだろ……?

性的指向

 純、そもそも恋愛できるんか……? まで思っていたのが、【第16話】で、『実在する人間に欲情したことがない』と純自身が語るので、実際のところ、純の性指向はどこなのか……と、多彩に名称をつけられて区別区分され、名前が出来たことで世に認められ始めたセクシャリティのうんちゃらもんちゃらに、純のことも区分しなければならないのかどうなのか。と悩んでいる。 そもそもBL、同性愛についても昔の主流は「禁断の愛」であって、異常とされていたもの、という感じがある。今はかなり市民権を得たし、「禁断の愛」や「男なのに男を」的な表現はついぞ見かけない。当たり前の愛の形、みたいにはなっている。とても良い。 ただ、BLは「男性同性愛を描いた物語を女性が性的消費しているもの」であって、現実の同性愛者に寄り添うものではないという意識はずっとある。 さて、本題。 【第12話】での矢晴の病気の話で、私は「人はなんにでも名前をつけてわかった気になる」という話にも聞こえていた。から、純の指向がなんであるのか、についても「これがそうだ!」と決めつけたくはない。実際わからないし。 可能性がありそうないくつかの分類でいくと、 ・恋愛感情も性的欲求も抱かないアセクシュアル。この場合、BL発展してしまうと、そちらの界隈から非難が起こりそうな気がする。 ・流動的なグレーセクシュアル。この場合、これまではそう感じたことがないが、矢晴には、が成り立つ。 ・性的欲求は抱かないが恋愛感情は抱くノンセクシュアル。この場合、恋愛発展は可能だけど、矢晴が欲求不満になりそう。 ・強い絆で結ばれている人にのみ性的欲求を抱くデミセクシュアル。この場合、恋愛になるのかどうかよくわからんが、矢晴とより親密になれば性欲うんぬん出てくるかもしらん。 ・強い絆で結ばれている人のみに恋愛感情を抱くデミロマンティック。この場合、矢晴とより親密になれば恋愛発展は可能だけど、矢晴が欲求不満になりそう。 ただ、結局、どれかに該当して、「純は〇〇」と名前をつけて分類されることになるわけよねえ……というのが、んん……となんとも言えない気分にはなる。

縋る矢晴

 【第16話】の最後の見開き。純のパジャマを引っ張って全力で引き止める矢晴がとても良い。 言い過ぎた、嫌われた、捨てられる、とかいろいろ渦巻いていそうな。 そんな良いシーンなのに、私はついうっかりと、さっき純パジャマのボタン止め直したのに……とか思ってしまって、自分の思考で台無しにした……。ということを書いてしまうと、ここを読んでる方のそのシーンへの見方が台無しになるかもしれないなとわかっていながら、ここに書く。 この後、次回、どうなるのかな? と想像するに、矢晴が子供のように泣きじゃくって純に謝り倒して捨てないでと縋り付き。純は矢晴をなだめるために一緒にキッチンへ向かって薬を飲ませ、リビングで落ち着くまで肩寄せあってゆっくり話して……、くらいだと、私の心が落ち着く。ついでに、薬が効いてきてちゃんと話せるようになった矢晴に対して、トクンと尊敬とも崇拝とも違う気持ちを芽生えさせて、これが恋……? みたいなことをしてくれると私が嬉しい。けど、そうなると次も純曰くじゃないと、って感じになるな。 矢晴視点の話で、前半の流れは同じで、純に対しての不信感が一掃されていく感じとかでも私が嬉しい。 この2話(15・16話)でずっしり重くて、なかなかにして受け止めきれないから、ちょっと甘くふんわりしたとこが見たい……。重い……。辛い……。好き……。

意気消沈

純が『私はあなたの言葉を着たい』と言っているところと、それを聞いた矢晴の顔と。多くの言葉が重なっていて、じっくり比べて見てみたいと思うものの、詳細までは追いきれず。 わかりやすいところでは矢晴のコマでは『意気消沈。欲望。苦悩。夢想。敗北。落胆。……』の行があるのだけど、純のコマでは見当たらず。 矢晴のコマで純の吹き出し位置の言葉に性欲や愛憎やら集中していて、純のコマの最後の3行は矢晴の方にはなくて……。コマの大きさで入り切らなかっただけとかかもしれないけど。 それぞれのコマにある言葉、ない言葉が、なにかしらのキーになったりするのかな……? とも思ったり。 なんかこう、気になるのは、『ホームシック』という言葉だったりはするけども。 言葉の羅列のなかで中央にあって、ぱっと目に飛び込んできて。 純は亡くした父親や、それができれば新しい家族がつくれる云々と考えているあたり、「家族」になにかしらありそうな……。帰りたいけど帰りたくないみたいな気配を感じてしまったり。 お母さんがお父さんの友達と再婚してどうこうとかあったりする……? という気持ちがまた強固になってしまうのだけど、正解はどこだ……。

欲情

 【第16話】で純は『実在する人間に欲情したことがない』と語るけども、するってーとつまり、前回の『生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』が「襲わないよ」の方便でなく、「非実在」だから欲情できる、ということだったりはするのかな? どうなんだろう……? 『実在する人間に』と限定するからには、「非実在」なら、となりそうではあるけども。ただ、それだけだったら、自分の性欲は2次元にしか向いてないってだけの話にはなるから、『〈それ〉ができると』『〈それ〉ができれば』という拘り方にはならない気がする。 純にとっては、性欲がどうこう欲情がどうこう、できるかどうか、よりも、「生涯を共にできる人が欲しい」が重要な気がするな、とは思う。 『それさえできればずっと一緒にいられる人を得られるかもしれない』への空白が、純が実際なにを思っているのか、気になるなる。 結局のところ『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』は矢晴を守る・孤独にさせない約束じゃなくて、純の利己的で一方的な拘束にはなる。弱っている矢晴につけ込んで。でもやっぱり支配欲とは思えない。 純が矢晴に『もうそれ性欲だろ』って言われて嬉しくなって、『私』『それがいいな』の裏側が『もう何も怖くない』っていうのが、むしろ怖いけど。 純にとって一番怖いのはなんなんだろう……? 「人に対して性欲がなくて欲情できない欠陥品」みたいに思うことなのか、「人と性的に繋がれないから生涯孤独」ということなのか。 矢晴のうつだけでも相当重い気がするのに、純もじっとり重いわね……。

四階みたいに

 【第15話】で矢晴の言っていることが論理的に破綻しているような気がして、純が四階に言ったことを想起していたりしたけども、今回の【第16話】で矢晴自身が自分が純に対して言っている罵詈雑言を「四階みたい」と表現していて。 矢晴の言動のどこからどこまでが病症により出てきている言葉になるのかは定かではないけども、最初に激昂して純に「性欲だ」と断定している部分からもう、「壊れた言葉」なんだろうかなと思う。 落ち着いて話しているような部分も、最初は本当に落ち着いて理性的に言葉を選んでいたのだろうけど、だんだんと言葉を選べなくなって。そして、考えなしの純の言葉が拍車をかけて。という感じなんだろうと思うのだけど。 壊れているようでいて人間の本質を突いているようで。どこが壊れててどこが壊れていないのかがわからないから、じっくり考えたいような気もするし、壊れた言葉を鵜呑みにしてしまう危険性を考えるとじっくり考えたくはない、感じ。 それにしても、壊れた状態でここまで広範囲に思考を広げてそれを言葉にできてしまう矢晴がすごい……。薬飲んでちゃんと調子のいいときにちゃんと対話して欲しい……。 矢晴が薬を飲んでないことに気づいた純が、『その言葉を私が「良い」と言ってしまったらそれはつまり――』と、汗かくところが、いいなと思っていて。つまり「病気のままでいろと言ったことになる」みたいな感じかなー? 純が気付かずに壊れた矢晴を肯定し続けなくてよかったよね。うん。 それはそれとして、矢晴のなかの純が怖かったのは、矢晴の前で四階をやりこめた純の自業自得でもあり、と。そっかそっか。

またトレンド入り

 前回に続いて今回もトレンド入り。すごいねえ。 前回「毎回トレンドに入るから更新確認しなくて済む」的に言われる方も多かったけども、それまでのトレンド入りは毎回ではなかったのだけど、前回今回で連続トレンド入りとなると「毎回」が現実になりそうな……? 前回、トレンドに入ったときにしか気付かない方も多く見受けられたし、トレンドに入っていたからと新規で読まれる方も見受けられた。「4話までしか読んでなかったけどまだ続いてたんだ」と言われてる方は初回のトレンド入りのときに読んだけど、その後は思い出しもしなかったのね……と、純曰くその1の純の気持ちがわかる気分になったりもする。 前回、トレンド入るとTwitter爆速で流れていくから追いきれないのよ……と、落ち着いた頃合いで遡っていたけども今回もそうなりそう。 前回のキャプションで、「本業の作品もよろしくね(意訳)」ってされてからのTwitterでの盛り上がり方やらでなにかしら思うところが、という感じの今回のキャプション。 Twitterで「とうとう白状した!」などと悪しざまに言われてるのは、一読者としてこの作品も本業作品も応援している者としては不快ではあったけども。そこらへんともまたベクトルの違う感じの、「思うところ」かな? とは思う。 最初に本業を公開された時のキャプションでは、「本業垢に趣味垢のことを持ち込まないでくれると心穏やか(意訳)」といった感じではあったけども、宣伝と共に消されてしまっていたので、前回のキャプションで「初めて本業を明かした」とはしゃがれる方も多かったし、「凸ンな」とも言われてなかったので、ちょっとした祭りになっちゃってたよなあ、とは思う。 初回トレンド時の、いわゆる「学級会」もなんだか違うんじゃないか……? という感じ(「学級会」にして騒ぐから余計に広がる)はしたけども。トレンドと話題に乗っかる感じのニュースサイトで「正体は!?」なんてのもされてて。それはまた【上薗純、曰く その(1)】でどうこうされてたりはして、その時のキャプションもなかなか大変な感じではあって。 というのを、遠巻きに眺めている外野の私自身のことも、騒いでる方と同じ穴の狢じゃろうて、とは思ってるので、“委員長”めいたことを言うわけでもないが。 外野の感想としてしたためた。

だい16わ!!

 うわわっわーーーー! ついさっき確認した時なかったのにーーー! 出かけなきゃいけないけど、読んでから行く……行きたくない……ずっと読みたい……読む…………。 純、切ない……。かわいい……。ううう……。そっちかぁ……。 出かけないとならないから、出かける。初見感想は後で書く。 帰ってきた。から、読みながら初見感想。 思いの外、早い更新なうえ、早く来た純曰く。その4。 表紙の純が、嬉しそうな満面の笑みのわりに、花に埋もれた姿が棺桶の中のようで。 『実在する人間に欲情したことがない』と純の性的傾向が語られ。そっちかーー! と驚きつつも、納得する感じ。 中高生の頃の純は、ぽっちゃりさんだったっぽいのかな。純のこの語り口だと、2次元で抜く発言も嘘っぽいような気がしてくるけど、どうなんだろう……? 純の言う「それ」は「性行為」になるのかなー。純、孤独……さみしい。【第15話】の感想を次の話が来る前に書きたかったけど、先に次の話が来てしまったので感想で書きたかった【第15話】のタイトルの【蓮華座・ロンリネス】のことをここで書いてしまう。Twitterで「蓮の台の半座を分かつ」という語を言ってらっしゃる方がいて、それをタイトルのロンリネスと合わせて考えたら、「半座を分かつほどの相手が欲しいけど、純は孤独」なんだよなあ、と。その答え合わせ的に【第16話】で、純は「人間に欲情しないから独りでいるし、生涯の伴侶も得られない」と思っているということが語られて。切なさ倍増な気分でいる。 純の行動原理やらなんやら、ほんとに矢晴の言う「性欲」ではなかったけど、「矢晴が言うから」『私』『それがいいな』になっちゃうその純の気持ちーーー! でも殴られちゃった。殴られてないけど。 純の変態性というのか、狂気というのか、たぶん純の素、真性なんだろうけども。『私はあなたの言葉を着たい』ってのがこれまた、かわいいけども! それを聞いた矢晴の顔が。恐怖とかじゃないし怯えてもないだろうけど、呆れてるわけでもなし……?  外で雨が降り出して、ふたりの心象も雨の中、泥の中。 矢晴が編集部での出会いから話す。矢晴が純と「対話」するのはこれが初めてなんだろうなあ、と思うんだけど、これは「対話」になっているのか……? って感じの純の反応。と、さらに激昂する矢晴。ここの会話というか、矢晴の言うこととかは初見では把握...

目次ページの

 目次ページのトップ画の。 純の足と、純を見ない横たわった矢晴の絵の。矢晴が握ってるものがなんなのか、ちょっと気になる。 蜘蛛の糸だったり……? 切れた縄だったり……? 手放さないプライドの切れ端とか……? なんなんだろうかな。

独占欲

 純に独占欲があるかどうか、というとあるのかな……ないのかな……くらいの、ふんわりした感じになりそうな。古印葵を独占したい、とか、福田矢晴を独占したい、みたいな気持ちは今のところ見受けられず。矢晴を独占したいという思いがないのは、現状が専有状態だからなのかもな、とは思う。そして、純は古印葵を世に広めたい。 矢晴のほうはといえば、かなり純を独占したいという思いに駆られているように思う。純から『それに私は大きい家に好きな人を集めて一緒に暮らすのが夢なんだ!』と言われて、『自分の価値がすごく下がった気分になるのはなんでだ?』って思ったり、『きっと私みたいなのが家にたくさんいたら純が私の話を聞いてくれる時間はなくなるのだろうな』と考えたり。 ビデオ通話中の純の通話終了を階段で待つ180分とか、純を責めたりとか、『純にとって私はチワワ何匹分だよ?』とかとか。 純にとって特別な人になって純を独占したい気持ちがもりもりとわいてきてるのを、純が矢晴を逃げられないように甘やかして支配してると言い換えてしまう矢晴がかわいい。 純の『私生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』って言葉に布団から抜け出していった蟲の姿に、矢晴の百年の恋が冷めた雰囲気をも感じたりはするけども。

好きすぎてパート10

 【売れうつ】が好きすぎて、色んな人の感想などが見たくてずっとTwitterを遡ったりしてるけども、ちょいちょい現れる「ブロマンスだから」という言葉を見るたび、怒りがわいてしまう。純はブロマンスの必須条件とも言える「度を超えた男同士の友情」は好きそうではあるけども、なんで【創作BL】と銘打たれたものを「Bromance」と紹介したりすすめたりするのか。詐欺じゃないか! と。「Bromance」のどこをどう略したら「BL」になるのかと! このふたりのどこに、度を超えた友情や信頼関係があるというのか! 矢晴なんか恋心抱いてるのバレバレなのに、純のこと1ミリも信用してないじゃないか! みたいな気分になっている。 と、サムネ表示用の前置きをした。 こないだ、本編で純がパジャマのボタンを外して肌を見せてくれたことに昇天し、また二次創作でちょっと未来の話を書いたら、かなり満足して自分が二次創作書くのはこれで終わりかも、みたいな気分が数日あったわりに、自分で書いたBL系(ちょっと性的接触がある)のを読み返したら、いいじゃな〜いって気分で盛り上がって、年越し裏バージョンがちょいちょい書き進められるようになってきた。 まだやっとこふたりが服を脱いで全裸になったとこなんだけども。 それでまあ、そういえば、と【第7話】のラスト、純に矢晴が飛び込むところの角度というのか配置というのかが、かなり謎な具合で、初めて見た当時から、矢晴が純の股間に顔を埋めようとしている! と思ったんだ、ってのを思い出した。 胸に飛び込むってより股間にダイレクトアタック! って思った。思ってた。思ってる。 ここからすでにサービスショットだったかな?

矢晴のフィルターを通った純

 とりあえず、爆速で流れて追いきれなかったトレンド入りあたりを遡れた感じかなあ、と。 いろいろな解釈や表現があって、興味深く。 エロカッコイイ純に当てられて論理ハチャメチャになってるように思える矢晴の言ったあれこれも、純にとっては「大好きな矢晴のフィルターを通って濾過されたもの」なのだから、純にとっては『それがいいな』にしかならんわよねえ……うっとり。という気分。 矢晴には純がこう見えている。それだけでいい。らしい。 同居4日目に矢晴に『矢晴さんってあまり目を合わせてくれないじゃないですか』『矢晴さんの中では私はどんな顔をしてるんですか?』って聞いて『にゃはって言って私を嘲笑ってる』『ずーっと見下した目をして私で遊んでる』はがんばって訂正して、矢晴を安心させていたというのに。 同居1ヶ月目の夜には『怖いお前は私の勘違いだって』『騙したな』『今度はちゃんとお前の顔を見てやるぞ騙せないようにな』『お前の本性気付かせてやる』と、むっちゃかっこいい顔で見つめられて。 『もうそれ性欲だろ』からの『えっ』って純の表情変化が「バレちゃったー」なのか「これってそうなの?」なのか「矢晴ったら性欲だなんて言っちゃうの? 照れちゃう」なのかなんなのかは、私には読み切れないけど、ちょっと俯いて真っ赤になっちゃう純がかわいいことだけはわかる。 矢晴が純をちゃんと(ちゃんと?)見てくれるだけで、もう満足なんだろうかな。あぁもぅ純、かーわいいー。 “支配欲”だの“性欲”だので、“慈愛”も“安心”も糞食らえみたいになっちゃったこれからの生活がどうなるのやらって感じはするけど、まったく変わらなさそうな気は、すごくする。 それこそ、『それがいいな』の後、気持ちよくなって満足した純がそのまま入眠してしまって、取り残された矢晴が悶々と眠れぬ夜を過ごしてしまう図まで想像してしまうけど。 一線! 一線超えて! 楽しみにしてるの! 次回ログイン必須だったら超歓喜だけど、それはないかなあーどうかなー。

欲情

 純が「2次元でしか抜かないオタク」であるのはまったくもって問題ではないのだが、「2次元にしか欲情しない」なのか「性処理は2次元で充分」なのかが知りたくなる今日このごろ。 後者っぽいなあとは思うんだけど。恋人作ってどうこうしてうんちゃらするような時間はないから、2次元でパパっと済ませちゃう合理性。 これ3次元に向かってたら、セフレはいるけど恋人はいない、みたいな状態にはなりそうだけど、人間の品定めを好まないんだから、セフレにしていい人間みたいに選ぶこともなかろうて、と思うと、人間相手にするより2次元のがいいってなりそうな。 あと、純の対象が女なのか男なのかでも変わりそうだけど。恋愛対象は男だけど、それが叶う出会いがなかったから今の今まで恋人はなし。 恋愛や欲情する対象は男だけど、「2次元でしか抜かないオタク」だから、矢晴を襲うこともないから大丈夫だよ、って話なら、その性欲を向けてこいって言われたら喜んでー! ってなるだけで万々歳なんだけど。純の恋愛対象、男がいいな。 そもそも、牧野先生が『古印先生って男の人だったんだね名前と作風で勝手に女の人かと思ってた』って言うくらいだから、純もその日まで古印葵が男とは思ってなくて純粋に「古印葵の漫画が好き」だったのが、男だと知って「古印葵が好き」になったように思うし。 でも、矢晴には女性の恋人がいたから、純は矢晴の対象外だってことがわかってしまって、失恋して。 だったら、恋愛方面では実らなくても、友情なら育めるはず! の今。今がチャンス! ただ、矢晴の言う『逃したくない支配欲と執着の過ぎた好意が同時にあったら』『もうそれ性欲だろ』というのには、やっぱり違うなあ……と思ってしまう。断定してしまいたい矢晴の気持ちもわからんでもないけど。「純の好意は性欲に裏打ちされている」くらいなら納得できるけど。支配欲ねえ……とものすごくそこでひっかかってしまう。 まあ、純への気持ちが性欲先行してそうなのは矢晴のほうなんですけど。

純の理想

 理想の漫画家は古印葵。『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』けども、『古印葵みたいに絵が上手くなりたい』『もっと色んな事を考えて答えられるようになりたい』と思っている。 純の理想の関係は『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』ができる関係。「キツい洒落が言い合える」「常套句の冗談」だけど「約束した」「慈愛」あたりの言い方は過分に、純の子供時代の屈折と誤解が山盛りになってそうだけども、父とその友人の長年培ってきた友情自体は、子供心にも純の憧れにはなってたのかなあ? とは思う。 純は矢晴とそんな理想の関係を築きたい、だけなんだろうなあと思うんだけども、長年培ってきた気の置けない気心の知れた親しい友情関係に対して、出会った翌日に約束先行では、到底そんな関係になれるはずもなく。 矢晴のことが好きで世話したい、世話できるけど、『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』って矢晴に言われちゃってるから「矢晴のことが好きだから」って言えない。矢晴のことしか助けない純は、排他的で残酷だから。 矢晴は純と性愛含めた恋愛になるなら、純の家に暮らしてる大義名分が立つとも思っているような気がしないでもないんだよなあ……と私は思ってしまうのだけども。恋人同士が一緒に暮らすのは自然だし? 一緒に寝るのも自然だし? 純は古印葵の漫画に心掴まれて、初めて矢晴を見た時から矢晴に恋してると思うんだけどなあ。今はもう『それと』『いっぱいこんな顔が見たい』って矢晴の笑顔にぞっこんだし。ただそこに性欲が乗るのかどうかは純次第な感じはあるけど。 LOVEだよ、LOVE。 余談。最近、どうにもOやAを見ると入れ替えたくなって、LAVEなんて単語あるのかしら? って思って調べたら「洗う」とか「沐浴する」とか出てきて、純は矢晴を洗ってあげてたなあ……と、思いを馳せ。こじつけすぎだよ……。ははは。

蓮の台の半座を分かつ

いろんな検索語で遡っていたので、一番件数の多そうな語を後回しにしていたのだけども。やっとこそこらへんも遡れる(数が少なそうな検索語での遡りが終わった)ようになったので、Twitterで遡っていたらば。 「蓮の台の半座を分かつ」(はすのうてなのはんざをわかつ)なる語を呟いている方をお見かけし。  「死んでからも仲睦まじく」……、「善悪にかかわらず運命を共にする」……、「一蓮托生」……、ふわわわわ、と語釈を見て、悶えているところ。 矢晴、蓮華座ってどこからもってきてん!? みたいな気分ではあったから、ふわー! なるほど!! と膝を打ち。自身の無知蒙昧さに腹も立ち。 それがいいな。 いやんもう、純……切ない……。

【感想】第14話 一生・ベイビー (再)

 【売れうつ】1周年記念で、「設置しているアンケートの5月4日までの集計によって、ピックアップして感想を改めて書く」と決めていて。4件の回答(うち1件は自分)により、【第14話 一生・ベイビー】がトップになった。ので、感想を書く。(日付超えてからもう1件回答いただいたけど、結果としては【第14話】がトップで変わらず) できるだけ、前回と違う角度からの感想を書きたいなと思って、改めて前回の感想も読み直している。初見感想からも見ていくといいかも、とは思ったが、量が多いんよ……と、思う。それよりやっぱり本編読もう。 さて、感想。 やっぱりこの表紙がかわいい! 伏し目がちの矢晴の、やわらかい色合いと、笑顔にも泣き顔にも見える表情がたまらんの。本編ではジャンバーだけで寒そうだけど、この表紙ではマフラーしてて、それもかわいい。顔つきだけで言えば、それなりにお肉ついてて赤みもさしてて、かわいらしい赤ちゃんな雰囲気もありーの。 前回、【第13話】で純にお風呂で洗われて、お風呂で純に言われたことのいろいろは矢晴の心に届いているのかよくわからんな……、というくらいに落ち込んだままの矢晴。ソファーに臥して、純の心配をしている、というよりも粗相してしまったことに一番心囚われて落ち込みすぎてる気がする。夜までずっと気にしてるもんな……。 ソファーの前のガラステーブルにはテレビのリモコンとティッシュと純の漫画の3巻。【第2話】のときと、置かれてる向きとリモコンの配置が違うんだが……とかは些末なこと。表紙絵も違……。 戻る。 付箋つきの「シヴァ・アンバー 3巻」。純が設定確認用の資料にしてそうな雰囲気。矢晴が想像する純の行動がとてもかわいい。 『1年で一生遊んで暮らせる金額を稼いでいる漫画はさぞ面白いだろう』という思考が、矢晴の劣等感を示してるのかなーという感じがするけど、面白いかどうかは向き不向きがあるからなあ……と思っていると、『けど読みたくない』『もしも全編読んで話を好きになれなかったとしたら?』と続いていくのが、矢晴が純を失いたくないみたいに思っていることのあれそれかしら? と思わせる。 でもなんだかんだといろいろ考えながら、その思考とは裏腹に本を手に取る矢晴が、好きだわ〜。純に興味があるのか、漫画を読むという行為に向かえるほど心が回復したのか。両方な気はするけど。 言い訳しなが...

憧れてるポーズ

 純の憧れてるポーズは祈りにも似て。 編集部で初めて矢晴と話す時、憧れの古印先生に自分がどれだけ古印葵が好きなのかを語る口調は早口で、頬は紅潮し、憧れてるポーズ。 同居21日目に矢晴の話を聞いている純は頬を染めうっとりとした表情で、憧れてるポーズ。 同居1ヶ月目、一緒に寝ることにした寝室で、矢晴に詰られ、その表現に古印葵を見出してか、憧れてるポーズ。 古印葵に憧れてる純はかわいいんだ。 同居21日目にはかなりしょっぱい感じで矢晴に『なんなのその顔とポーズ?』『祈ってる?』と言われてるけども、同居1ヶ月目の寝室で矢晴が防御姿勢をとってたときに純が『なにそのポーズ? 三戦?』と、矢晴が言ったのと似た言い回しをしているあたり、純は矢晴の言葉を無意識に取り込んでしまっている感じがするなあ、と思う。「あそぅ…」もそんな感じだし。

下心

 純の行動に、下心があるのかどうか。 語釈によれば、下心は「表に出さずひそかに考えていること。本心」と「悪巧み」とあるので、純にあるのは悪巧みではないほうだけど、矢晴には悪巧みがありそう、と受け取られているような気がする。 ただ、純って、矢晴を家に同居させたいって思っての【第4話】で、本心全部言ってる気はするんだよな。その裏側にある“慈愛”はその発想に至る体験というか記憶というか自体から歪みまくってはいるけども。愛はまっすぐだと思うんだー。 「どん底で弱った人間を自分の思い通りに操りたいと思ってる」って矢晴は思ってるような気がするけど、純にとっては「好きな人がどん底で今にも死にそうだから助けたい」ってだけだと思うし。「なんで矢晴を」には「好きだから」しか言いようがないし。 とはいえ、ここで語りたい「下心」は「恋」の話だったりはする。 「恋」は「戀」で、糸と刃物と口と糸と心臓。糸言糸に下心。と文字の成り立ちを見ていたら、「古印葵を紡ぐ」と「言葉のナイフ」と連想し。 矢晴の紡ぐ言葉に心臓貫かれてるねえ、純! と、心わきたつ。 【第15話】の激昂した矢晴の、それが性欲かどうかについては議論の余地がありすぎるくらいだけども『性欲を慈愛だとか清潔な言葉で飾りやがって』『きったねえ欲望を蓮華座に乗せてんじゃねーよ糞野郎』の言葉選びときたら、純がぽーっとして、ドキドキして紅潮してうっとりしちゃうのも、わーかーるー! くらいには、素敵だし。 「糞野郎」なんてひどい言葉で罵ってんのに、純が恍惚としてるなんて、矢晴にとってはこの上ない恐怖体験になってそうだけどもさ。

上下左右

  以前 に「単純に「攻と受」というよりも「top and bottom」(別の意味も含めて)みたいに思えてしまったりはするなあ、と考えたりはする。」と、純と矢晴の関係について考えているわけだけども。 そんなことを言っていながら、矢晴の言う『逃したくない支配欲』には、そうかぁー? と、ものすごく疑問視して、それはなかろうもん、みたいな気分でいたりする。 純が矢晴の質問に答えて、明らか「全方位に善人」ではなく「矢晴限定」なことに、その実、ちょっとした罪悪感のようなものを感じているあたりの繊細さがかわいらしくて、ますますいい子だなあと思う。矢晴の言うところの「好きなものしか愛せない弱い人間」だもんね。 もともと、かなり序盤から、「好みとしては、うつ×売れ」という方はちらほら見受けられ、【第15話】の純の反応をふまえて、「うつ×売れになっちゃうの?」的な方もちらほら。わーかーるー!って気分にはなる。 このふたりのパワーバランス的に優位になるのは矢晴だし、矢晴のが強いし。私は、強いほうが受けになるのが好みなので、「売れ×うつ」というのは変わらないのだけども。「パワーバランス的に優位=攻め」とする向きがあるのも、わかる。 まあ別に、どっちでもいいのよ、ふたりが幸せなら、とかまで思ったりもする。 【第15話】でBL方面に急激に進もうとしてるように見える。ソウイウコトになる場合、気になってしまうのは、矢晴の体のかたさだな、と思って。【第11話】の差し替えられた表紙の前屈具合から見て、開脚も厳しそうだな……と思うと、正常位は無理そうよねえ……。

羨ましいと憧れと

 純が『私は心底……う』と言いかけて『幸せそうで』『憧れたんだ』と言い換えた。 純の話を聞く分には、そして、回想部分までを含めても、憧れるか……? と疑問しか出なかったりするんだけども。 言いかけた言葉が「羨ましい」として、「憧れる」との違いはといえば、羨ましいには妬みの気持ちが含まれて、憧れにはそうなりたいという理想が含まれる、といった感じなのかな。 純は極力ネガティブな言い方はしないように、チクチク言葉は使わないように努めている感じがする、とすれば、「羨ましい」を「憧れる」と言い換えたのかな? とも思える。前の晩にチクチク言葉満載のこと言って、矢晴に怒られたし。 いや、羨ましいか……? 純の話を聞く分には、どうしたって、病気で死にかけてる大好きなお父さんに、その友達が「さっさ死ね」みたいなこと言ってきて、「死んだら骨拾う」言ったのに結局拾わんかった嘘つきやんけ……。みたいにしか思えず。それを必死でどうにかこうにか美談風に思い込もうとしている純の健気さは感じる。 純の話を聞かずに、単純に、病気で余命幾ばくもない男に、その友人が「死んだら骨は拾ってやる」(後のことは任せておけ)と言った、というエピソードは、確かに、長年育まれた友情を感じられると思うのだけども。 ここで純が『焼いた骨は家族しか拾えないし常套句の冗談だって分かってたよ』と言ってしまうと、矢晴に言った『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』も常套句の冗談になってしまうんじゃないのか? 大丈夫か、純!? と、心配になる。

抜くのか……

 純のことを何だと思っているんだ、ってくらいに好き勝手考えてきて、この子は頭の中だけで完結できそう、まで思ってたから、『私生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』という言葉に、純潔なのね! という喜びとともに、「抜くのか……」という謎のがっかり感を得た。 いやまあ、健康な男子ですしね、そりゃね、毎日生産されるもの適度に放出しとかないとね! とは思うものの、抜くのか……。 とはいえ、その対象の2次元は「古印葵作品」の可能性も大アリだし? ちゅーて、そんな直接的な行為が描かれているわけでもなさげなちょっと異色の恋愛漫画で抜いてるって、そんな変態的な……じゅるり。 ああ、でも、ごくふつうに、純が布団のなかでもぞもぞハァハァしてる感じのところは、見たいね! オカズが古印葵作品だろうと、なんだろうと。 とはいえ、望海可純の同人時代の『隣に越してきた大学生がチョロすぎる』とかはタイトルからして面妖本な気がするしなあ……とは思ったりはしたから、やっぱそこらへん、ごくふつうの2次元エロ好きの男子な感じだろうかなあ……? 2次元でしか抜いたことがないオタクでも、こんだけの美貌備えてたら女子が群がりそうな気もするけど、そこらへん見向きもせず……、ここまで純潔で……。 抜きもしない、完全に性的なことに興味ない子だったら、そもBLにならんだろうしなあ……。でも「2次元でしか」発言自体が、矢晴を安心させるための方便だったりする可能性とかあったりする……? とか、まーたぐるぐるしてるけど。 ここらへん、というか、純の性指向についてとか、次の純曰くで語られたらいいけどなあ。

外側と内側

 【第2話】【第13話・後編】の『体の外側のことはいくらでも見せてよ』『内側はいくらでも隠せるんだし』の「内側」は「心」のことであろうかな、と思うのだけども。 隠したいなのか、隠れているなのか。「いくらでも隠せる」というからには「隠したい」だよなあ、という気分にはなる。見せたくない、見せられないとも言えるだろうかな。 散歩に出た矢晴が『網膜からはがれない』と思い出してる純の顔は、ここのシーンだなあと思うと、顔を思い出すと同時にその言葉も思い出してたりするかな。 見えてる外側と見えない内側。 矢晴の内側は、いまんところ、純への恋心がつまってるはずだけども、単純に、純の人柄に惹かれて、とか、外見が好きで、とかの発端ではなく、純にどん底から救い出された(引きずり出された)、純に衣食住すべて賄ってもらってる、とかの負い目からの依存心を恋と錯覚してるのかもしれない、みたいな葛藤もありそうなのかなー。寄生虫よりも浅ましいって考えはそこらへんだろうし。 あと、純の表向きと内側が違うんじゃ……? という疑いも持ち始めたのか。 純の内側は、矢晴と古印葵への愛がつまってると思うんだけども。古印葵への信仰に近い執着と尊敬と憧れ。古印葵を生み出した矢晴への好意。ここらへんは表にも出してきてる感じだけども、内側ではさらに煮詰められてドロドロのんがあるかしら。 それが支配欲で性欲かは、わからん……。 守りたい、覚えていたい、忘れない、助けたい、笑顔が見たい、一緒にいたい、とか、純は全部、自分のエゴから出てることだと自覚はしてそうだけども。それを“慈愛”って言葉でくるむからおかしいわけよねえ、とは思うけど。 きったねえ欲望……なのか……? 純の愛は美しく一点の曇りもないものだとは思いはせんけど、そこまで言わんでも……よよ……、みたいな気分にはなる。 純の言うところの“慈愛”と、矢晴の言うところの“性欲”は、やっぱり私の辞書と語釈がかなり違ってそうだから、そこらの語釈を聞きたくなる。 ピックアップして【第14話】の感想を書こうって読み返してると、毎度のことながらあっちゃこっちゃと引っ張り出して読み返しちゃうし、思ったこと吐き出したいからとすぐキーボード叩くし、むしろそれは感想でやりなさいってなこともどんどこ出しちゃうから、感想もまとまらんなあ……と思ってるところ。

それを愛というのでは……?

 矢晴が『執着の過ぎた好意』という、純の「執着」と「好意」は、セットにすることで「愛」というのでは? と思った次第。矢晴に対して性的興奮を覚えるかどうかは別問題として、純の行動は古印葵と福田矢晴への愛でしかないと思うんだけども。 矢晴が勝手に『逃したくない支配欲』とセットにするからややこしいことになるだけで。 純に優しくされて甘やかされて絆されて、純のことで頭いっぱいにして離れたくなくなってるのを、純に支配されてるって転嫁して。 純が矢晴のことを逃げられないように堕落させたと言い募り。 いやはやもう……、読めば読むほど、あのシーン、矢晴の本当に言いたいことが「私のことを好きだと言ってよ!」に見えてしまうんだけども。 純がちゃんと矢晴のこと好きって言わないから、またややこしいことになるわけで。でも、ちゃんと聞かない矢晴もあかんけど。もう、どっちもどっちなんだけど。 そもそも、純は矢晴に危害を加えないって、同居前から言ってるんだからさ。「襲われるかも」とか思っちゃう矢晴は純のことを信用してないってことでさ。むしろ、やっぱり襲われたいの……? って感じはするけど。自分から求めたって形が嫌なんだよね……? 裏腹だもんね。 純が矢晴を安心させようと『大丈夫だよ!』『私 生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』って言うの聞いて、もんのすごい顔でがっかりしてさ。純が「大丈夫だよ、襲わないよ」程度で言っとけば、ちょっとがっかりする程度だったかもしれないけど。結局がっかりしそうなやつ。 まあ、純に恋し始めちゃったところで、「3次元は対象じゃないよ」って言われたらそりゃもうがっかり通り越して百年の恋も冷めるのかもしらん。そのうえ、“慈愛”とか言われちゃったら、何だとこの野郎、になってもおかしかない。 純のこと好きになっちゃったこの気持ち、どうしてくれるんだ! ってなもんで。 でもねえ、矢晴がもし「純のことが好きだから恋人になって」とか言って純が受け入れたとしても、「純は受け入れたけど、私のことを愛してるわけじゃない」とか思うわけでしょ? 矢晴だし。 矢晴が純の愛を知る日はいつなんだろうかなあ? とかなんとか、自分の考えに固執してるけども、さくっと次の話で、「純が矢晴を支配欲でもって支配していた」って話になってもだいじょうぶ、どんとこい! どきどきどき……。...

神託

 【第15話】の矢晴から純への言葉を、「神託」と表現しているのを、いくつか見かけて。そりゃもう、純にとっての古印葵・福田矢晴は神だしなあ、と思う。 それはそれとして、私は以前に、純から矢晴への祈りの言葉を、「神託」だと解釈している。 なんだこの 神 vs 神 は……。とか思って、ちょっとおもしろがっている。 いまのところ、お風呂で純が言った祈りの言葉は、あんまり矢晴には響いていない感じはする。さすがに、自分の粗相で落ち込んでやさぐれているときに、あんな前向きな言葉をかけられても、目の前の暗黒しか見えまいて、と思うので、今すぐに反応がないのは当然だろうなと、思う。 対して、矢晴の言葉は、その場でものすごく、純に響きまくっている。あんな熱烈に見つめられて、情熱的に言われちゃったら、ねえ。 この矢晴の純への言葉は、解釈が分かれていて、見ていて面白い。 ・矢晴が純の深層を暴き立てて、純が開き直った。 ・矢晴が純の言動を決めつけて、純が受け入れた。 大雑把にわけると、こんな感じになるかしら。みんなの解釈を詳細に分類してみたい気持ちに駆られるが、かなり多いからまだ追いきれてない。

■【売れうつ】の二次創作(25)(小説)

 ふたりの未来のほのぼのライフ、のつもり。 幸せになった後、数年〜後くらいのイメージで。本編ではまだやっとこ「ふたりの関係が“始まった”な……」みたいなところなのに、ついうっかり、もっともっと先を考えてしまった。というよりも、こんくらいふんわりしたところに着地して欲しい願望。 ■

支配

 矢晴は「純に支配されている」と思っている。 だから、それに合致するようにあらゆる事象や純の言動を組み立てて、論理展開しているように思うのだけど。 私は過分に純に感情移入しているから、純のやっていることが“支配”には見えていないのだけども、矢晴から見れば“支配”なのかな? と、“支配”寄りに考えてみる。 今の矢晴は、純に生活の全てを賄われている状態に依存して生かされている、と思っている。だから【第14話】で『好きでもない作家に依存しなければならない現実に私の心が耐えられなくなるだろう』と考えている。 『なにをしても怒られない』〜『いずれ思考も放棄するだろう』と、純の行動が矢晴の思考を奪っていくと考えているように思える。純が矢晴を甘やかし『逃げられないように堕落させ』、自立思考のない状態に陥らされて、純の意のままに動かされる、生かされる、というのは、確かに“支配”なのかもしれない。 『赤子のように世話された』り、『えらい』と褒められたり『ハグしに来なよ』と言われたり、純が矢晴を子供扱いしているように思えるから『なあ……私のこと幼児だと思っているのか? お母さんごっこか?』と問う。そこから【第15話】の『お前はこっちの要求次第でどう操るか考えて』『母性ぶって支配しようとしているんだよ』に至るのかな? “慈愛”という語も「親が子を慈しむような愛」という意味だし。 純の話す父親とその友人の話、純が『心底私は……う』と言い淀み、『幸せそうで』『憧れたんだ』と、父親とその友人の関係に「憧れた」と言うのは、「父親とその友人のような関係に、矢晴となりたい、理想の関係」という受け取られ方をしたのか、矢晴は『相手を思い通りに……理想の一部にしたかったって素直に言えよ』と言う。 ここは急に論理が跳ねたな、という印象だったけども、まあこねくり回せば納得できんこともない、と思い始める。 純の理想が『死ぬまで孤独じゃなくなる約束』をできる父とその友人のような関係、としても、純と矢晴の出会いからこれまでの期間を考えても、馴れ初めを考えても、「若い時分から意気投合し長い年月で育まれたであろう友情」には到底なり得ない。ただたんに、その約束をしたからといって、理想は叶えられないが、純は矢晴と『約束』をすることで、「理想の関係になっている」と思い込んでいるフシはある。 純の理想に合致するように、...

なんでも、なにしても

 【第15話】の純の『矢晴が望めばなんでもするよ』『なんでもするし』『なにしてもいいよ』のエロさ……。 実際のところ、純は矢晴に「なんでもする」。金も出すし、世話もする。 ただ、ここの言葉、矢晴の聞き間違いでないのだとしたら、矢晴の『……襲われるのかと思った……』からの 『大丈夫だよ!』『私 生まれてから今まで2次元でしか抜いたことがないオタクだから!』と、矢晴を落胆させての、 『けど』 『矢晴が望めばなんでもするよ』『なんでもするし』『なにしてもいいよ』という流れで、明らかに純も「性的接触」について話している。 矢晴の聞き間違いでなければ。いやあ聞き間違いであろうはずがない。ただ、あそこまでねっとりとしたエロさ加減を純が醸し出していたのかというと、若干、矢晴フィルターによる誇張があるかと思う。矢晴のスケベ。 純の言葉を劣情を催した腐女子フィルターにより翻訳してみると、「矢晴がヤりたいならヤるよ」「私が攻めでもいいし」「私が受けでもいいよ」ということにはなる。ただ、そこに「矢晴のことが好きだから」「矢晴のことを愛してるから」という言葉が足りない。 純は矢晴のために性的接触を行うのも吝かではないのだろうが、矢晴にとっては、食事をさせる・運ぶ・風呂に入れるなどと同等の、「純が行う矢晴の介護」と同列に扱われていると感じられたのだろうなと思う。 恋愛漫画を描く、恋愛映画が好き(と思われる)な矢晴は、恋愛にそれなりの夢を見ているような気がするから、「愛し合う者同士が結ばれる」のを是とする、んではないかなあ? と思うんだけど。 愛し合ってないのにソウイウコトするのはきたない、とかまで思ってたりする? 今のとこ、肉欲にかられているのは矢晴だよなあ、とは思う。心のほうは、曖昧にしたいらしいし。むしろはっきり自覚した後、純が別に恋愛方面で矢晴のこと好きにならないと知ったら辛いし。現に「二次元でしか抜かないオタク」という事実を知ってがっかりしたし。 純は純で、古印先生大好きだし、3次元を性的対象にしてないって思い込みもあっただろうし、そも人間好きそうな感じもなく、恋愛に興味もなさそうなのは相手が3次元になるからだろうし、2次元相手は性欲の発散だけで相互の恋愛には発展しないし。 純にとって、相互で作用できる関係って、矢晴が初めてになるのかな。でも今のところ、純は「古印葵である福田...

エントロピー

 タイトルはなんとなく到達してしまったところで、本文には関係ない、と思う。 もともと、今回【第15話】のタイトルの『ロンリネス』って「孤独じゃなくなる約束」の「孤独」にかかる言葉なんだよねえ? と思いながら、ロンリネスの語釈を見てて、ふんわりと美ネスみたいに「ネス」がついた「論理」で「論理ネス」だったりする……? と考えてしまい、「ネス」の語釈を見ようとしたら、科学用語の略称を見てしまい、そっちを辿っていったら到達したのがエントロピーだったというだけのこと。 論理ネス、だった場合には、古印先生の論理の組み立てに関わる語になりそうだなと思ったけども、まあ、いまいち繋がらない気がするので違うだろうな、と思っている。むしろ、なんだか論理レスだと思うし……。 さて、ロンリネス。 「孤独、孤独感、寂しさ、ひとりぼっち」といった意味。 父親を亡くした純の寂しさ、ひとりぼっち感とか? 純の父親とその友人のエピソードを考えるに、純はけっこう人間不信になってそうな……とは思えたりするので、そこらへんの孤独感とか? 父の友人は「死んだら骨は拾ってやる」と言ったのに、ほんとには骨を拾ってくれなかったから、あの約束は嘘だった。でも、その約束をした父と友人の関係を肯定するために、純は自分自身を騙すための論理を組み立てている。それが「死ぬまで孤独じゃなくなる約束」をするということ。その約束には愛情が必須。その愛は“慈愛”。――ってな感じかなー? goo辞書にあった語釈では[下の者、弱い者にめぐみや心をかけ大切にすること。また、その心。]とあり、これは、矢晴は怒るわ、そりゃ怒る……とは思った。 激昂した矢晴、「性欲」に関わる部分はどうなの? とは思うけども、純の“慈愛”への切り込み方は正しい感じ。『そもそも自分の口から言うのがおかしい単語だろ』には同意しかない。 純はなんとなく“慈愛”を「至高の愛」とか「至上の愛」みたいに思ってそうな雰囲気があるなと、改めて思う。 そして、という繋がりでもないが、今回の【第15話】は、矢晴視点のエピソードになるはずであるけれど、純の父親のエピソード部分は、矢晴が知りようもない純の過去回想までが含まれる。ちょっといつもと趣の違う構成になってるな、と思ったりした。 そして、純が父親の友人を見上げる角度や友人の言葉から、純がかなり小さいことがうかがえる。半ズボ...

好きすぎてパート9

 トレンドのおかげで爆速で流れていたのもずいぶんと落ち着いたので、検索しては遡り、遡り……初期まで遡ってしまう。以前よりも検索に使う言葉が増えてきたので以前見つけられなかったものも見つけられ。古い感想とかたぶん今は消されてしまったものも多いんだろうなあ……と思いつつ。(消さないで……お願いだから消さないで……)と思いはするものの、その思いが気持ち悪がられて消されそうな気もしてしまう。 とりあえず、今日、日付が変わるまでのアンケート結果でピックアップして感想を書くエピソードを決めるけども、結局のところ4件の回答からは増えてないので、増えないのかな、と思ったりする。別段こちらにアカウント情報が来たり公開されたりするようなアンケートではないので、気楽にポチポチと回答して欲しい……。 自分で書いてる二次創作の件数が、各話の感想を書いた件数を超えてしまいそうな感じになってきて、書きかけも止まっているけども、また別の話を書き始めてたりして、結局超えてしまいそうだなあ……と思っている。 できればラベル付きのは感想が一番件数が多い、という形にしたいなと思っているけども。よくよく考えれば、このブログ、全体が感想文なんだから、ラベル付きでどうこう言わなければ、感想が一番多いのだった。とは思う。 先月、更新あっての記事数が89件になっていて、あと1件できりのよい数字ではないかと、ちょっとがんばれなかった自分に後悔した。いや、そんながんばるものではないが。 そんな感じで、やっぱり毎日【売れうつ】にどっぷりハマっている。

嫌いだったら

 【第5話】の『もし私の漫画が嫌いだったら』『私が原因で来ないかもしれません』と、純が思ってしまう根拠はどこだ、と考えると、純のデビューと矢晴がA誌を去ったのがかなり近い時期、というのがあるかしら、と思う。 望海可純の漫画が原因で、古印葵は望海可純と同じ雑誌に載りたくないから雑誌を離れた、ようにも見えるし。ここらへん、矢晴が雑誌を離れた理由が詳しく知りたいけども。今のところ語られた中では、矢晴が雑誌を離れた理由のなかに望海可純は入ってない。 単純に、純が「望海可純が古印葵に会いたがっている」という情報を古印葵側に伝わらないようにと予防線を張るための方便として言っていた可能性もあるけれど。 あと、望海可純が漫画のなかで「古印葵への返歌」を行なっていたこと。それに対して古印葵からなんの反応もなかったことで、2つの可能性を考えられる。1つ目は「古印葵は望海可純の漫画を読んでいない」2つ目は「古印葵は望海可純の漫画で作品を使われたことに対して怒っている」。 もし、2つ目が当たっていた場合には、「望海可純が古印葵に会いたがっている」という情報が古印葵に伝われば、「絶対に会わない」となる可能性が高い。 実際のところ、矢晴は純の漫画を2話目か3話目までしか読んでいないのだから、「返歌」の存在すら知らないのだけど。【第14話】で『もしシヴァ・アンバーが嫌いだったなら』と矢晴は考えているから以前に読んだ時の記憶も朧げになっているんだなあと思う。 話を戻して。 それから、純がちゃんと古印葵を布教できていなかったことで、純が勝手に「神の怒りに触れる」的に思い込んでいたりとか……? とか考えてみたりする。 だいたい時系列で並べると、 望海可純デビュー E・B大賞授賞式 古印葵がA誌を離れる 望海可純が連載開始 (3巻収録分で古印葵作品への返歌 古印葵の連載、4話で終了 望海可純が布教開始 古印葵と会う という感じ。授賞式で会っているかと思ったけど、編集部で『はじめまして』と挨拶してるから、授賞式で会ってないかペンネームで挨拶してないか、どっちだろ、と思いつつ。 「漫画が嫌いだったら」と限定するあたり、心当たり的にはやっぱり「返歌」に関してなにかしら思うところが……? とは思えるけどなあ……。 この同居生活で、この先、矢晴が漫画を描き始めるきっかけとして、純のシヴァ・アンバー全巻読ん...

本性

 矢晴は『お前の本性気付かせてやる』と言っていて、「正体を」「暴いてやる」とかではない、ちょっと不思議な言い回しをしているなと、思っている。 本性も正体も似たようなものではあるけれど。 本性が生まれ持った性質、もとの正体、本心。正体がほんとうの姿、本心。 化け物が本性をあらわす、というと、生まれ持った化け物の姿をあらわす、ということにはなるかしら。 純の子供時代のあれそれで、ずいぶんと“慈愛”が歪んでいるから、矢晴が、本来の純の持って生まれた子供の性質を気付かせてくれるというのなら、純にとって、とても良い話にはなるなあと思ったりもする。 子供の性質がどうのというと、この昼間に公園で、純自身が『子供の性質は人間の持って生まれた性質だよ』『性質は成熟過程で薄まりはしても消えはしない』『みんな死ぬまで持ってる 君も私も』と言っているから、自分のなかの子供の性質に自覚的でもあろうかと思う。 じっさいのとこ、矢晴が言っているのは、「きたない欲望を持った本心を隠して、きれいな言葉で飾り立てた偽善者め!」的なことになるかと思うのだけど。 純はいい子だよ……。

母なる海、希望の海

 お母さんごっこや慈愛のことをまとめようかなと思いつつ、Twitterで興味深いお話をされているのを、うんうんなるほど、といつもこっそり拝聴している。なるほど。 逆読みやアナグラム、ひとつの事象・名前にいくつもの意味を込められる作者さんだから……、うんうん、なるほど……と、ずっと頷いている。 で、本題。 矢晴は純から『赤子のように世話された』と言い、ベッドで歯磨きされ、台車で運ばれ、おにぎりを口に押し付けられている。 純は矢晴がうめいているだけで意志を汲み取り、それが正しく矢晴の意志なのかどうかはわからないが、『矢晴の五臓六腑は働いてるよ 食べてるところ見せてほしいな〜』とか『働いてないのに風呂を使うと光熱費がかさむって? 矢晴の服も皮膚も洗われたいって言ってます』とか、扱いが確かに子供なんよ……子育てなんよ……、とは思う。 ただ、なにかしら人の世話をするときに警戒心をときたいとか安心させようとかがあると、子供を相手にするような言葉使いになるものなのかしれないなとは思う。ことさらに謙って相手を崇め奉る方面よりは健全では……? とも思えるのだけど、どうなんだろう。 矢晴の粗相を、怒りもせず、風呂に入れて体を洗ってやり、汚物に汚れた衣服を素手で洗い、といったあたりも、「母親が赤子のおしめを変えて、それを洗う」といった感じの印象を矢晴に与えているのかもな、と思うのだけど。我が子の汚物は触れるが他人の汚物は触りたくない、のはごくふつうの感覚になるのかもしれない。 そしてまた、純は矢晴が『なあ……私のこと幼児だと思ってるのか? お母さんごっこか?』という質問に対して、『人間ってみんなもともと子供だろ?』と返す。「幼児だと思っていない」「お母さんごっこではない」とは言ってないところが、ちょっと巧妙かもしれない。 純にとっての「慈愛」がどういう意味かはよくわからないが、矢晴が受け取った「慈愛」という言葉は「親が子供をいつくしみ、かわいがる」=『母性ぶって支配しようとしている』になるのだろうなと思う。 子供扱いしやがって、ムキー! みたいな気持ちもあるかもしれない。矢晴は性欲もちゃんとある成人男性だもんね。

スイッチ

 つい最近に更新があって、次の更新までまた数ヶ月とかかかるかなーと思えているので、比較的のんびりおだやかな気分でいる。それはそれとして、続きが知りたい気持ちはずっとある。 矢晴の「湯冷め」が普段は3時間放っておけば治る、3時間耐えている、ということだけども、純の対処で15分ほどでおさまっている。 矢晴は「湯冷め」が起きないようにと厚く着込んでいるけども、着込んだまま布団に入ってもやっぱり「湯冷め」が起きるのでは……? と思える。 さて、なにが効いたのか。 純は低血糖を疑って、引き出しに常備してあるらしいハイチュウを矢晴の口に詰め込んだ。 純は矢晴を温めるために地肌を露出し、矢晴の手を地肌に触らせ、矢晴を抱きしめて体温を分け与えた。 けども。 たぶん、純の対処はべつに役に立ってなかったんじゃないかなあ? とは思える。 矢晴の症状は自律神経のバランスの乱れで起きるらしいけども、純がパジャマのボタン外してシャツまくりあげて露出した肌に興奮して、抱きしめられてさらに興奮しちゃったから、乱れてた自律神経が性的興奮やら緊張方面にスイッチした結果、興奮に伴う体温上昇やら血行増進やら、肌が触れ合うことによるオキシトシン増量やらが起こって3時間が15分で済んじゃったんだろうなあ〜と、ニマニマしながら考える。 純の対処方法自体は別に役に立ってなかったけど、純が肌を露出して矢晴に触らせたことが、とても良い結果を引き起こしたことになる。 矢晴が着込んでいたダウンや手袋靴下も脱がしてあったことによって、抱きしめたときにより密着できたわけだし。よきかな、よきかな。 わりとこういう状況、私が愛好している商業BL系統だったら、抱きしめてる純がつい勃起して、それに気づいた矢晴がドギマギして、純が超絶セクシーな顔と声で「……いい?」とか聞いちゃって問答無用でヤッちゃう展開になりそうだったりはする気がするけど。または、矢晴がつい勃起しちゃって、「そのままじゃ辛いよね」とかって純が“お手伝い”するパターンとかとか。 さすがに【売れうつ】はそうはならんのよ……、とがっかりしつつも最高の展開でうれしくなっている。

上薗純の家庭環境とか

 円満で幸せな家庭で育ったのかなあ〜とか思っていたら、案外、辛い環境ではあったのね、と。 父親を幼いうち(どう高く見積もっても10歳くらいまでと思われる)に病気で亡くしている。胃弱のおじいちゃんと、お母さんがいる。 実家には、献本を送って親戚に配らせる、と言っているので、叔父叔母等の親戚はある模様。 純は一人っ子だから、なんでも話せる弟が欲しかった、と今でも思っていると言う。 一人っ子で、父親も亡くしているのでは、かなり寂しい子供時代〜だったのかなあ? とは思う。 父親を亡くしたことと関連し、父親とその友人のエピソードが、純の人格形成にかなり大きな影響を与えている。 純の話した内容からは、純はその友人に対して、ずいぶんと“暗い”感情を持っているようではあるがそれを無理矢理“明るい”感情へと転換しているフシがある。 もしかしたら、母親がその友人と再婚した、とかあったりするのかな? とか、ちょっと考えたりした。もしそうだったら、純が都会で一人暮らししているのとか、「配らせる」という言い方とか、ちょっと納得いくかもな、とかなんとか思ってみたりする。 純は父親を亡くしているが、学生時代にクラスメイトも亡くなっている。そこまで親交が深いわけでもなかったようだが(純の誤魔化しでなければ)、勉強を教えてもらったり絵を褒めてもらったり、修学旅行では同じ班だったりしているので、ある程度親しい。 【第6話】のこの学生時代の挿話と、【第15話】の父とその友人の話を考え合わせると、純の内面で「死」や「孤独」がどう捉えられているのか、少しわかるのかもな、と思う。